紅林の懲罰交代・二軍降格報道を受け、「これまでも中嶋監督と紅林は色々あったよなあ…」と思いこの記事を書いてみることにしました。
強烈な師弟関係の2人だけあって紹介したいエピソードは山ほどありますが、特に象徴的なシーンをいくつかピックアップしてみます。
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2020年のエピソード
高卒ドラフト2位の紅林は、バファローズ二軍監督・中嶋監督のもとでプロ野球生活をスタートします。
高卒ルーキー紅林を二軍で全試合起用
紅林にとってのプロ野球で初めての「ボス」は中嶋二軍監督でした。
球団の方針ではあったと思いますが、中嶋監督は紅林を開幕から使い続けます。(中嶋監督はシーズン途中で一軍監督代行へ)
結果的に紅林は高卒ルーキーながら二軍で全試合出場を達成します。
<2020年紅林二軍成績>
試合数86、打率.220、1本塁打、20打点
一軍スタメンに抜擢
辞任した西村監督に代わり、8月21日以降は中嶋監督代行が一軍を指揮していました。
二軍戦の全日程が終了した11月3日に、紅林は初めて一軍に合流します。
同日の楽天戦で8番ショートでスタメン起用、見事にプロ初打席初安打を記録しました。
最下位バファローズの消化試合ではありましたが、結果的に一軍で5試合に出場。
高卒同期の宮城の白星にも貢献するタイムリーも放ちました。
ただ二軍でフル出場していたとはいえ、二軍でも2割台前半の高卒ルーキー。
「数年後の紅林が楽しみだな」くらいに当時は思っていた方が多いのではないでしょうか。
2021年のエピソード
中嶋監督が正式にバファローズの監督に就任。
優勝争いを繰り広げる激しいシーズンの中で、高卒2年目の紅林を中嶋監督は我慢強く起用し続けました。
ショートのレギュラーとして我慢強く起用
中嶋監督は紅林を球団初の「10代開幕ショートスタメン」として起用します。
しかし開幕戦ではタイムリエラ―、打撃も常に2割前半で低空飛行とあくまでも「育成」としての起用と見られていました(ファンからも「一軍はまだ早い」という声が多数ありました)
それでも中嶋監督は我慢強くシーズン通して紅林を起用。
時には故障した吉田正尚に代わって3番で起用される場面もありました。また、球団史上初となる10代での2桁本塁打を達成しています。
<2021年紅林成績>
試合数136、打率.228、10本塁打、48打点
なお、中嶋監督が紅林を起用した理由は、2024年にパ・リーグTVに企画された「パ・リーグ FANS MEETUP 2024『監督編』」の中で語られています。(以下、一部抜粋)
小久保監督「紅林選手がデビューしたとき、プレーを見てまったく使っている理由が分からない選手。失礼ですけど、肩は強いんですよ。でもいまみたいになるとは思わなかった。それをなぜ出だしで使おうかなと思ったのか、その理由をすごく知りたいです」
中嶋監督「フレームの大きさとか、体の強さはあったので、そこが魅力だった。抜擢しましたけど、鈍感力というか。あんまり動じずにいろんなことにチャレンジしてくれるっていうのは、なかなかウチのチームにはいないタイプだったので。これを使っていったらほかががんばるのかなと。そういう意味を込めて、とりあえず夏まではと思って使いましたけど、バテなかったので。そのまま最後までいきました」
中嶋監督は「ボーンヘッドがあって、その日の晩は明日こそ絶対外そうと思うんですよ(笑)。次の日起きてスタメンを考えるときに、いや、今日はやるんじゃないかとか。そういうことを考えさせてくれる選手。まあ、あんまり褒めたくないので。たいしたことないです」
見るものの心を打ったサードライナー
- ロッテとの優勝争いの中で迎えた9月9日神戸でのロッテとの直接対決
- 前日はロッテに敗戦
- この日は8回までリードするも、9回に平野が1発を浴び同点に追いつかれる展開
- 2アウト1塁2塁、一打サヨナラの場面で紅林に打席が回る
ロッテ守護神・益田の低めの変化球に粘ったあとの5球目、うまく捉えた打球でしたが結果はサードライナー。試合は引き分けと終わりました(当時は延長戦なし)。
完全に「育成枠」として起用され続けていた紅林のあわやサヨナラという打撃、そして紅林の悔しそうな様子に心を打たれたファンも多かったはず。
これには中島監督もそっと励ましに近寄りました。
2022年のエピソード
前年の日本シリーズで打率.318を記録するなど、着実な成長を感じさせて入ったシーズンです。
初のサヨナラ打+ケツキック
4月21日のソフトバンク戦、延長11回2死2塁の場面で紅林に打席が回ります。
モイネロの初球を見事に捉え、プロ入り初のサヨナラ打となりました。
ただしここまでの紅林はミスの連発です。
同カード初戦にはタイムリーエラーで山本由伸の連勝記録を18でストップ。
この日もエラーに加えて、9回のサヨナラのチャンスで走塁ミス。
こういった経緯もあってか、中嶋監督からは喝とも言えるケツキックで祝福を受けました。
ゲレーロの死球に監督激昂
7月9日のロッテ戦、3-1でリードして迎えた8回2死二三塁の場面です。
ゲレーロの163キロの直球が紅林のヘルメットに直撃しました。
これに中嶋監督は激昂。ロッテの捕手・佐藤に詰め寄り、乱闘寸前の雰囲気となりました。
普段は塩対応、辛口コメントの中嶋監督が紅林のために戦う姿が印象に残る1シーンでした。
- この死球は被死球の歴代最速記録を更新(163キロ)
※その後2023年に森が佐々木朗希に165キロの死球を受け記録更新 - 翌日の試合前にゲレーロは中嶋監督へ謝罪。抱擁する形で和解
- 7月29日の対戦でゲレーロは打席に紅林を迎え、帽子に手をかけて頭を下げた(20日前の出来事への紳士的な態度に賞賛が集まった)
2023年のエピソード
順調に成長を遂げていた紅林にとって、2023年は試練のスタートとなります。
ルーキー以来の開幕二軍スタート
オープン戦で結果を残せなかった紅林は開幕を二軍で迎え、開幕ショートを野口に譲る形となりました。
これまで打率2割前半でも固定して起用されていた紅林に対して「もう特別扱いはしない」と言わんばかりの中嶋采配です。
これに奮起する形で二軍で結果を残し、4月中旬には一軍昇格を果たします。
その後はショートのレギュラーをがっちりと手放さず、キャリアハイとも言える成績を残しました。
<2023年紅林成績>
127試合、打率.275、8本塁打、39打点
なお、紅林は当時のことを以下のように振り返り、中嶋監督への感謝を語っています。(朝日新聞デジタル:今季の始まりは「この世の終わり」 空気を変えた紅林弘太郎の一打より)
- 開幕二軍で迎えた当時はこの世の終わりの気持ちだった
- 開幕二軍がなかったら、2割2分のままだった
初のサヨナラ本塁打+ヘッドロック
5月24日の楽天戦、1点を追う9回裏1死1塁で紅林に打席が回ります。
楽天の守護神・松井の変化球を完璧に捉え、逆転サヨナラツーランホームランとなりました。
これには中嶋監督も大喜びで、ヘッドロックで祝福しました。
直近3試合でノーヒットだった紅林は代打も覚悟していたようで、試合後のインタビューで以下のように語っています。
紅林「狙ったというか、いつもだったらあそこでたぶん代打だったんですけど、あそこで監督が僕を打席に立たせてくれたっていうことは、その期待に応えようと思って、いきました。いつもサヨナラしたとき(監督は)他の選手には抱きつくんですけど、僕はヘッドロックされて、まあ、でも、愛を感じました」
ちなみにこのホームランは球団史上最年少(21歳3カ月)のサヨナラホームランです。
※阪急時代の62年4月14日矢野がマークした21歳9カ月を抜いての記録
2024年のエピソード
4連覇を目指すバファローズ。
紅林は前年ベストナインも受賞し、侍ジャパン候補にも名前が挙がるショートのレギュラーとして始動します。
サヨナラ打+愛の無視
4月11日の楽天戦、1-1の同点で迎えた9回に、1死1塁で紅林に打席が回ります。
ここまで打率.152と苦しんでいた紅林ですが、見事に右中間を割りサヨナラ打となりました。
3度目のサヨナラ打ということもあり、コメントはこなれてきています(笑)
紅林「ハイタッチの時に無視されて…。で、ベンチに帰ってきて待っていたので、してくれるのかと思ったら、また無視っす。愛しか感じないです」
中嶋監督「去年の最後のフィニッシュみたいに、もっと良い感じで(開幕に)入るのかと思ったら全然、低空飛行で。小言をムチャクチャ言いたくなるタイプの選手ですが、きょうは良くやりました」
今季2度目のサヨナラ打+頭突き
4月24日の西武戦、平野が同点に追いつかれる展開で延長戦に突入します。
延長10回の2死二三塁で紅林に打席が回り、見事にサヨナラ打を放ちました。
紅林のサヨナラ打といえば、もはや中嶋監督の反応も注目の対象。
ヒーローインタビューでは頭突きだったことを嬉しそうに明かし、スタンドを沸かせました。
中嶋監督「本当によく打ってくれた。ああいう場面で、ちょっと期待できるようにはなってきていますけど」(頭突きに関して聞かれると)「何もしてないですよ」
怠慢守備?怒りの懲罰交代
記憶に新しすぎるため多くは語りませんが、このプレーで紅林は懲罰交代・二軍降格が報道されています。
中嶋監督「普通のプレーなのにベースに入らないとか、そういうことがまずもってありえないですよね。あんなプレーされて、誰がそんなの許します?ありえない」
チームにとっても、紅林にとっても、中嶋監督とっても苦しい時期です。
ただ、2023年の開幕二軍がそうだったように、紅林は試練を乗り越えて大きくなって帰ってきます。
「この厳しい交代・降格があってよかった」と紅林が語ってくれるように応援したいと思います。
中嶋監督は理想の上司と信じてるので…
— おりんちゅ🐃🌊 (@base_info_y) August 1, 2024
最近の過激なコメントや紅林の懲罰交代も、全てヘイトを自分に集めるための振る舞いと考えてみる。
打撃の状態や自打球の影響もあって、紅林は二軍降格でリフレッシュで良いのかも。
中嶋監督は選手ファースト!裏ではきっとフォローしてるよ#Bs2024 pic.twitter.com/xvpjmg4SrZ