2019年4月18日のプロ野球で、面白いプレーが生まれました。
そのプレーはオリックス・バファローズVS北海道日本ハムファイターズの試合、ほっともっとフィールド神戸で生まれました。
まずは動画をご覧ください。(動画はパーソルパ・リーグTV公式より)
記録はサードゴロになります。 #bs2019 #lovefighters pic.twitter.com/aRWenTlHK3
— パ・リーグ.com / パーソル パ・リーグTV公式 (@PacificleagueTV) 2019年4月18日
一二塁間を抜けたかと思われた打球でしたが、そこにはもう一人の野手が!
実はこれ、「吉田正尚シフト」と呼ばれるファイターズが独自に敷いているシフトなのです。
当記事では、吉田正尚シフトについてご紹介します。
筆者のプロフィール
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
吉田正尚シフトとは?三塁手の居場所は?
吉田正尚シフトとは、北海道日本ハムファイターズがオリックスの吉田選手対策で考案した守備シフトです。
本来三塁を守るはずの三塁手が、一二塁間を守る変則的なシフトです。
吉田正尚選手と言えば、フルスイングが魅力のオリックス屈指の強打者で、野球日本代表の侍ジャパンで4番を務めた実績もあります。
この吉田正尚選手の特徴は、強烈なフルスイング。典型的なプルヒッターですね。
プルヒッター・・引っ張り方向の打球が多い打者。左打席でプルヒッターの吉田選手は、ライト方面の打球が多い。
この吉田選手の特徴から、引っ張り方向に特化して守るのが吉田正尚シフトです。
吉田正尚シフトの場合、三塁方向、レフト方向はがら空きになるのですが、そのリスクを取ってでもライト方向を締める方が打ち取れる可能性が高いと判断しているのですね。
動画のとおり、三塁手が一二塁間を守っているという、非常に大胆な守備シフトであり、ここまで思い切った守備シフトを敷いているのはこの試合時点ではファイターズだけです。
記録はサードゴロ!?
大胆な守備シフトである吉田正尚シフトがピタリと決まったことに加え、この記録がサードゴロとして処理されていることも特筆すべき点です。
通常の守備シフトであれば、ライト前ヒットです。
内野手が捕球しアウトにしていたとしても、打球方向を踏まえるとファーストゴロ、もしくはセカンドゴロとするのが妥当でしょう。
しかしながら、今回は吉田正尚シフトにより、ライト方向の打球を処理したのは「三塁手」なのです。
ルール上、結果は処理した野手の守備位置に応じて記録されますので、三塁手の処理した打球はサードゴロとなります。
吉田正尚選手の吉田正尚シフトへの反応は?
吉田正尚シフトを見せつけられた吉田選手のリアクションは「意識しない」と淡々としたものです。
ここまで大胆な守備シフトを見せつけられると、多少は流し方向の打球を意識するのかと思いきや、「頭を超えるような強い打球を打たないと」といったコメントを残しています。
吉田正尚シフトの穴をつくのではなく、真っ向から打ち破っていく意識ですね。さすが国内屈指の強打者といったところでしょうか。ファイターズが大胆な守備シフトを敷くのも頷けます。
しかしながら、実は2019年の開幕直後、吉田正尚選手は打率1割を切る極度の不振に陥りました。
これは開幕戦で吉田正尚シフトを見せつけられたことで、調子を崩したのではないかという意見も存在します。
吉田正尚シフトのような大胆な守備シフトは普及する?
国内では、吉田正尚シフトほど大胆な守備シフトは滅多に見ることは出来ません。
プルヒッターを相手に引っ張り方向を締める守備シフトは一般的ですが、ファイターズほどの守備シフトはレアケースです。
一方で、近年のメジャーリーグでは大胆な守備シフトは一般化しつつあります。
メジャーリーグは日本以上にデータ主義が広がっており、データに基づいた守備シフトを敷くことが目立っています。
ファイターズの栗山監督も、こういったメジャーリーグの流れを受けて吉田正尚シフトを取り入れているとも言われています。
次第に日本もこの傾向が強くなってきており、観戦の楽しみ方も広がりそうですね。