プロ野球のレギュラーシーズン終了後の楽しみの1つがドラフト会議です。
期待の選手の入団チームが決まるビッグイベントで、選手自身にとっても、球団にとっても重要な意味を持ちます。
当記事では、「入札抽選制」「ウェイバー方式」「優先権」というキーワードを抑えながら、最新のドラフト会議のルールを解説します。
筆者のプロフィール
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
プロ野球ドラフト会議の概要
まずは日本プロ野球のドラフト会議について、簡単に概要を説明します。
ドラフト会議はご存知の通り、各球団が新人選手を獲得するために実施される会議です。
各球団が獲得するのはあくまでも「交渉権」です。選手には入団拒否の権利があり、指名イコール入団ではありません。
ドラフト会議は以下の流れで進みます。
ドラフト一位を入札抽選制(いわゆるくじ引き)の元で指名した後、ドラフト二位以降はウェイバー方式、逆ウェイバー方式(いわゆる早い者勝ち)で指名していきます。
全球団が入札終了となればドラフト会議は終了です。
ドラフト会議はテレビ中継されるほど注目度が高いイベントですが、地上波でテレビ中継されるのはドラフト一位の指名のみです。
そのため、「ドラフト会議といえばくじ引き」というイメージを持っている方も多いですが、実はそれはドラフト一位に限った話なのです。
以下では、ドラフト一位の入札抽選制度、ドラフト二位以下のウェイバー方式、逆ウェイバー方式などについて解説します。
ドラフト一位 入札抽選制度とは
プロ野球のドラフト会議に詳しくない方がもつ「ドラフト会議のイメージ」はこの入札抽選制度でしょう。
入札抽選制度では、各球団が希望選手を順に指名し、指名が重複(競合)した場合、くじ引きによる抽選となる仕組みです。
注目選手に複数球団の指名が集中する事も多く、抽選はドラフト会議の一番の見所でもあります。
過去、最も指名が集中したのが1989年の野茂英雄投手、1990年の小池秀郎投手で、8球団の指名が集中しています。
野茂の指名権は近鉄が獲得、小池の指名権はロッテが獲得(入団拒否、1992年のドラフトで近鉄に入団)しています。
なお、入札抽選は全球団のドラフト一位が出揃うまで繰り返されます。
1度目の入札で外れた球団で再度指名を行い、ここで競合した場合も再度くじ引きです。
1度目の入札で外れた球団によって受ける一位指名を「外れ1位」と呼びます。
2010年のドラフト会議では、オリックス・バファローズが後藤駿太を外れ外れ外れ一位で指名し話題となりました。
この年のオリックスは大石達也(西武)を6球団競合の末外れ、伊志嶺翔大(ロッテ)をロッテと競合の末外れ、山田哲人(ヤクルト)をヤクルトと競合の末外し、最終的に後藤駿太を指名しています。
ドラフト二位以降の仕組みは?
ドラフト一位の入札抽選制度はテレビ中継もされていますので、ご存知の方も多かったと思います。
ドラフト二位以降は、ウェイバー方式と逆ウェイバー方式で交互に指名が進みます。
偶数の指名順位はウェイバー方式、奇数の指名順位が逆ウェイバー方式となっています。
ウェイバー方式
ウェイバー方式は、各球団が順番に希望選手を指名します。
指名重複、競合の概念は無く、指名した瞬間に交渉権を獲得することが出来ます。
そのため、ドラフト二位以降はくじ引きは存在しません。
ウェイバー方式は直近のリーグ順位の最下位から順に指名をします。
セ・リーグ、パ・リーグに毎年交互に優先権が与えられ、優先権を持つリーグの最下位チームがドラフト二位を最初に指名することになります。
なお、逆ウェイバー方式も考え方は同じで、上位チームから順に指名する点だけがウェイバー方式と異なります。
優先権
ウェイバー制は指名と同時に交渉権を獲得出来ますので、少しでも早く指名出来る方がドラフト会議を有利に運べます。
そこで重要になるのが、この優先権です。
ドラフト二位は最下位から順に指名するとはいえ、セ・リーグ、パ・リーグそれぞれに最下位チームは存在しますよね。
どちらのリーグが先に指名するのか、という事を決めておくのが優先権です。
2018年までは交流戦の成績が考慮されていましたが、2019年以降は交互に優先権が与えられることとなっています。
選択終了のタイミング
12球団すべてが「選択終了」を発表した時点でドラフト会議は終了です。
ドラフト会議は全球団合計120名の指名が可能と上限が設けられており、各球団10名まで入札することが出来ます。
なお、他球団が10名を指名する前に「選択終了」を宣言している状態であれば、全球団合計120名に達するまでは11名以上の指名が可能になります。
まとめ:ドラフト会議の流れを図解
ドラフト会議の流れをまとめると以下の通りです。
流れを理解しておくと、各球団の指名戦略も見えてきます。
是非ドラフト会議を楽しんでみてくださいね。