野球の基礎知識

【沢村賞とは】先発完投型投手を表彰!選考基準や受賞者を解説

沢村賞とは?

当記事では、プロ野球における沢村賞について解説します。

「沢村賞ってそもそも何だ?」
「沢村賞はどうやって選んでいるの?」

といった疑問を解消できれば幸いです。

 

筆者のプロフィール

野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。

 

沢村賞(沢村栄治賞)とは

沢村賞は先発完投型の投手を総合的に評価する、NPBの公式な特別賞です。

正式名称は「沢村栄治賞」で、戦前の大投手沢村栄治氏に由来します。

 

沢村栄治(1917-1944年(27歳没))

  • 日本プロ野球黎明期に活躍した巨人の初代エース
  • 沢村の背番号14は巨人の永久欠番
  • 1934年の日米野球でベーブルースらを相手に活躍
  • 1937年、史上初の投手5冠を達成、初代MVPを受賞

 

沢村賞はこの沢村栄治氏の功績をたたえ、1947年に創設されています。

受賞者には金杯とともに、賞金300万円が贈られます。

 

野球ハカセ
野球ハカセ
エースの中のエースが受賞する賞です。

 

沢村賞の選考方法

沢村賞を受賞する選手はどのようにして選ばれるのでしょうか。

ここでは、①選考基準、②選考委員会の順に解説していきます。

 

【どう選ぶ?】沢村賞の選考基準

従来沢村賞は、以下の7項目を参考に選出されてきました。

登板試合数25試合以上
完投試合数10試合以上
勝利数15勝以上
投球回数6割以上
項目名200イニング以上
奪三振150個以上

 

さらに先発完投型の投手が減少した近年は、この項目に加えて投球回数7回で自責点3点以内の回数も考慮されるようになりました。

投球回数7回で自責点3点以内

「沢村賞はQSも考慮するようになった」とする情報を目にしますが、厳密にはQS(6回3失点以内)、HQS(7回2失点以内)とは異なる独自の指標です。

関連記事:【野球指標】QS・HQSとは?達成条件を徹底解説【セイバーメトリクス】

 

野球ハカセ
野球ハカセ
あくまでも選考基準は「参考」ですので、全て達成する必要はありません。

 

特に近年は先発・中継・抑えの分業制が進んでいることもあり、完投数や投球回数の達成が困難になりつつあります。

 

また、必ず1選手を選出するわけでもありません。

1966年(村山実、堀内恒夫)、2003年(井川慶、斉藤和巳)の例のように複数名が受賞する可能性もあります。

相応しい選手がいない場合、「該当なし」とされるケースもあるのです。(2019年、2000年、1984年、1980年、1971年)

 

【誰が選ぶ?】沢村賞の選考委員会

沢村賞は5名のOB投手から組成される選考委員会にて選出されます。

OBといっても、その名前はレジェンドと呼ばれる大投手がずらりと並びます。

選考委員会メンバー(2021年時点)

  • 堀内恒夫(委員会)
  • 平松政次
  • 村田兆治
  • 北別府学
  • 山田久志

 

1981年までは東京運動記者クラブ部長会(要するに新聞記者)によって選考されていましたが、1982年以降は現在の形式となっています。

上記の選考基準を参考にしながら、基本的にはこのメンバーの話し合いで選出されます。

 

野球ハカセ
野球ハカセ
話し合いで決着しない場合は多数決が取られるようです。

 

沢村賞の選考基準は時代遅れ・・?

 

投手の分業制が進んだ昨今は、そもそも先発完投型の投手が減少しています。

沢村賞の選考基準(特に完投数や投球回数)をクリアするのは困難になりつつあります。

 

野球ハカセ
野球ハカセ
実際に選考委員会の全会一致で選出された2021年山本由伸(オリックス)も、7項目のうち5項目クリアでした。

 

このような状況を受け、沢村賞の選考基準に関する指摘が目立つようになってきました。

Twitterでもダルビッシュ有の発言を中心に、様々な議論が起こっています。

 

歴代沢村賞受賞者一覧

歴代の沢村賞受賞者を年代別にまとめます。

なお、1988年まではセ・リーグの選手のみが選考対象となっています。

※気になる年代をクリックすると、受賞者と成績の一覧が開きます。
※表が画面上で切れている場合、左右にスクロールできます。

創設~1960年
年度受賞者所属登板完投勝利勝率投球回奪三振防御率
1947別所昭南海5547300.612448.11911.86
1948中尾碩志巨人4725270.6923431871.84
1949藤本英雄巨人3929240.7742881371.94
1950真田重男松竹6128390.765395.21913.05
1951杉下茂名古屋5815280.683290.11472.35
1952杉下茂名古屋6125320.696355.21602.33
1953大友工巨人4322270.818281.11731.85
1954杉下茂中日6327320.727395.12731.39
1955別所毅彦巨人5017230.7423121521.33
1956金田正一国鉄6824250.556367.13161.74
1957金田正一国鉄6125280.6363533061.63
1958金田正一国鉄5622310.689332.13111.3
1959村山実大阪5419180.643295.12941.19
1960堀本律雄巨人6926290.617364.22102

1961年~1970年
年度受賞者所属登板完投勝利勝率投球回奪三振防御率
1961権藤博中日6932350.648429.13101.7
1962小山正明阪神4726270.711352.22701.66
1963伊藤芳明巨人3918190.704236.11661.9
1964G・バッキー阪神4624290.763353.12001.89
1965村山実阪神3926250.658307.22051.96
1966村山実阪神3824240.727290.12071.55
1966堀内恒夫巨人3314160.8891811171.39
1967小川健太郎中日5516290.707279.21782.51
1968江夏豊阪神4926250.6763294012.13
1969高橋一三巨人4519220.8152562212.21
1970平松政次大洋5123250.568332.21821.95

1971年~1980年
年度受賞者所属登板完投勝利勝率投球回奪三振防御率
1971該当者なし
1972堀内恒夫巨人4826260.7433122032.91
1973高橋一三巨人4524230.639306.12382.21
1974星野仙一中日497150.6251881372.87
1975外木場義郎広島4117200.6062871932.95
1976池谷公二郎広島5118200.571290.12073.26
1977小林繁巨人4211180.692216.11552.92
1978松岡弘ヤクルト4311160.593199.11193.75
1979小林繁阪神3717220.71273.22002.89
1980該当者なし

1981年~1990年
年度受賞者所属登板完投勝利勝率投球回奪三振防御率
1981西本聖巨人3414180.6257.21262.58
1982北別府学広島3619200.714267.11842.43
1983遠藤一彦大洋3616180.667238.11862.87
1984該当者なし
1985小松辰雄中日3314170.68210.11722.65
1986北別府学広島3017180.8182301232.43
1987桑田真澄巨人2814150.714207.21512.17
1988大野豊広島2414130.651851831.7
1989斎藤雅樹巨人3021200.7412451821.62
1990野茂英雄近鉄2921180.6922352872.91

1991年~2000年
年度受賞者所属登板完投勝利勝率投球回奪三振防御率
1991佐々岡真司広島3313170.6542402132.44
1992石井丈裕西武278150.833148.11231.94
1993今中慎二中日3114170.7082492472.2
1994山本昌広中日2914190.7042141483.49
1995斎藤雅樹巨人2816180.6432131872.7
1996斎藤雅樹巨人258160.81871582.36
1997西口文也西武3210150.75207.21923.12
1998川崎憲次郎ヤクルト299170.63204.1943.04
1999上原浩治巨人2512200.833197.21792.09
2000該当者なし

2001年~2010年
年度受賞者所属登板完投勝利勝率投球回奪三振防御率
2001松坂大輔西武3312150.5240.12143.6
2002上原浩治巨人268170.7732041822.6
2003井川慶阪神298200.82061792.8
2003斉藤和巳ダイエー265200.871941602.83
2004川上憲伸中日275170.708192.11763.32
2005杉内俊哉ソフトバンク268180.818196.22182.11
2006斉藤和巳ソフトバンク268180.7832012051.75
2007ダルビッシュ有日本ハム2612150.75207.22101.82
2008岩隈久志楽天285210.84201.21591.87
2009涌井秀章西武2711160.727211.21992.3
2010前田健太広島286150.652215.21742.21

2011年~現在
年度受賞者所属登板完投勝利勝率投球回奪三振防御率
2011田中将大楽天2714190.792226.12411.27
2012攝津正ソフトバンク273170.773193.11531.91
2013田中将大楽天2882412121831.27
2014金子千尋オリックス264160.7621911991.98
2015前田健太広島295150.652206.11752.09
2016K・ジョンソン広島263150.682180.11412.15
2017菅野智之巨人256170.773187.11711.59
2018菅野智之巨人2810150.6522022002.14
2019該当者なし
2020大野雄大中日2010110.647148.21481.82
2021山本由伸オリックス266180.783193.22061.39

 

沢村賞 まとめ

沢村賞の選考条件をおさらいしておきましょう。

登板試合数25試合以上
完投試合数10試合以上
勝利数15勝以上
投球回数6割以上
項目名200イニング以上
奪三振150個以上

 

達成はなかなか難しい基準ですが、これをクリアする投手は大エースと呼べることは間違いありませんね。

 

当サイトでは、このような野球に関する基礎知識を分かりやすく解説しています。

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