プロ野球を見ていると、監督やコーチ、選手が何やら複雑な動きをしている姿を目にするのではないでしょうか。
慌ただしく腕や体を触ってますよね
これは「サイン」と呼ばれる動きで、野球には欠かせない概念です。
当記事では、このサインの仕組みを初心者向けに分かりやすく解説します。
サインを使用する場面や出し方を知っていただくことで、野球の難しさ・奥深さをご理解いただけると思います。
参考になれば幸いです。
筆者のプロフィール
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
野球におけるサインとは?
サインとは、ベンチから選手、もしくは選手同士で戦術を伝えるための仕組みです。
野球にはバントや盗塁、ヒットエンドラン等々、様々な作戦が存在しますよね。
この作戦をサインで伝達するわけです。
相手チームには伝わらないことが大切です
作戦が相手チームにバレてしまうと、その作戦は失敗する可能性が高くなります。
ベンチから大声で「次はヒットエンドラン!」と叫んでしまうと、相手は対策を取ってしまいますよね。
そこで、サインを活用して味方にだけ作戦を伝えるのです。
野球でサインを使用する場面
実際の野球の試合では、常にサインが飛び交っています。
ここでは、サインを使用する場面を以下の3つのケースに分けて解説します。
- 攻撃のサイン
- 守備のサイン
- 投球のサイン
攻撃のサイン
攻撃チームは打者・走者に対してサインを出します。
アマチュア野球では監督が、プロ野球ではサードコーチが選手に伝えることが一般的ですね。
主なプレーは以下のとおりです。
- 打て
- 待て
- バント
- ヒットエンドラン
- バスター
- スクイズ
- セーフティーバント
- 進塁打
- 盗塁
等々、これだけでもかなりの数になりますね。(あくまでも一例です)
チームやレベルにもよりますが、さらに複雑に指示する場合もあります。
守備のサイン
守備の場合も様々なサインが存在します。
攻撃よりも守備の方が複雑かもしれません
- 牽制の指示(ショートやセカンドがピッチャーへ)
- 守備位置の指示(キャッチャーから各野手へ)
大きく分類するとこの2点です。
イメージしやすいのはバントシフトの指示ではないでしょうか。
相手がバントすることが想定される場合、ファーストが前に突っ込むのか、サードが前に突っ込むのか、周りの野手の動きと合わせて指示をします。
守備のサインミスは失点につながる可能性が高いので、しっかり伝達する必要があります
守備位置のサインは難易度も高いので、少年野球や中学野球レベルであれば声かけで指示することも多いです。
投球のサイン
ピッチャーの投球も、キャッチャーからのサインで成り立っています。
プロ野球レベルになると
- コース(インコース/アウトコース)
- 高さ
- 球種
- 牽制
までサインで指示しています。
一般的なサインの出し方
それでは、実際にサインはどのようにして出しているのでしょうか。
ここでは以下の3つの方法をご紹介します。
- フラッシュサイン
- ブロックサイン
- 投球サイン
これを理解できると、監督な複雑な動きの理由が理解できます
フラッシュサイン
フラッシュサインは、少年野球や中学野球などで主に用いられるシンプルなサインです。
ある動作に対して、1つのプレーが紐づいています。
フラッシュサインの具体例
- 帽子のツバを触ればバント
- 胸に手を当てたら待て
- 右肘を触れば盗塁
シンプルなので見落とす可能性が低く、伝わりやすいのがフラッシュサインのメリットです。
一方で、相手チームにも見破られやすいというデメリットもあります。
プロ野球でフラッシュサインが使われることはまずありません。
ブロックサイン
ブロックサインは、フラッシュサインを複雑化したものです。
フラッシュサインの中にダミーの動きが入ることで、相手に解読される可能性が低くなります。
ブロックサインのポイント
- キーとなる動きをひとつ決める
- キーの後の●番目がサインと決める
- ダミーの動きを交えて選手に伝える
プロ野球で目にする複雑な動きはこれですね!
具体例として、以下の図をご覧ください。
帽子のツバを触る行為をキーとし、キーから2番目をサインと設定したケースです。
これだけでも十分複雑ですが、プロ野球では試合中にキーや順番のパターンを変える等して、さらに複雑化しています。
攻撃の指示や守備の指示は基本的にこのブロックサインで伝達されます。
パ・リーグTVの公式Youtubeに、非常にマニアックで面白い動画を見つけました。
実際のブロックサインをぜひご覧ください。
なお、サインの受け手は必ず返事をする必要があります。(帽子やヘルメットのツバ、ベルトを触る等)
ぜひ、こういった動きにも注目してみてください。
投球サイン
投球サインは、多くの場合キャッチャーが指や腕で指示します。
指の本数、腕の触る位置で球種やコースを指定するわけです。
キャッチャーのサインの出し方については、元千葉ロッテマリーンズ捕手の里崎のYoutubeチャンネルがめちゃくちゃ面白いです。
「サインはピッチャーごとにバラバラ」
「試合途中でサインのパターンを変えることもある」
などなど、想像以上に複雑なプロ野球のサイン事情を語ってくれていますので、プロ野球ファンは必見です。
サイン盗みを警戒して複雑なサインとなるわけですね。
なお、以下の記事ではサイン盗みの事例や問題点を解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
野球のレベルが上がるほどサインも複雑になる
野球のサインは、野球のレベルが上がるほど複雑になります。
これは相手チームのサイン盗みを警戒しているためです。
サインが複雑になることで、試合時間が延びるという問題点も一部では指摘されています。
とはいえ、このサインの出し方にも注目してみると、野球観戦がさらに楽しくなること間違いなしです。
当記事が参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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