当記事では、野球におけるハーフスイングについて解説します。
プロ野球を見ていると、ハーフスイングは何度も目にしますよね。
解説者も「今のは振ってますねぇ~」なんて言いますね。
ただこのハーフスイング、いまいち定義が分からないですよね。
実はハーフスイングはルール自体があいまいなのです。
当記事ではこのハーフスイングのあいまいなルールを簡単に解説します。
筆者のプロフィール
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
【実はあいまい】ハーフスイングの定義
ハーフスイングとは、バッターがバットを振る動作を途中でやめることを指します。
このハーフスイングが審判から見て「振っている」と見えれば空振り(ストライク)となります。(ボール球を振っていなければボールです)
審判は何を基準に「振っている/振っていない」と判定するのでしょうか
実はルール上は、ハーフスイングについての定義はありません。
どこまでバットを振ったら空振りになるか、という明確な基準がないのです。
スイング(空振り)の判断は審判に委ねられています。
手首が返るとスイングと判定されるケースが多いですね
明確な基準はないという前提で、ここからは一般論をご紹介します。
試合を観戦している中で、バッターの手首が返っていると空振りと判定されるケースは多いです。
バッターの手首が返ると、バットのヘッドがグリップよりも前に出ます。
以下の図をご覧ください。
この図では、①はヘッドがグリップより前に出ていますので、空振りと判定される可能性は高いです。
②はかなりきわどく、③は「振っていない」と判定される可能性が高いでしょう。
とはいえ、審判は真上から判定しているわけではありません。
こちらの図は参考程度に考えていただければ幸いです。
【意外と知らない】ハーフスイングを塁審に確認する方法
ストライクやボール、空振りの判定は基本的には球審(キャッチャーの後ろの審判)が担います。
ただし、ハーフスイングの判定は塁審(一塁・三塁の審判)に委ねることが出来ます。
ハーフスイングの際、球審がストライクと宣言しなかったときだけ、監督または捕手は、振ったか否かについて、塁審のアドバイスを受けるよう球審に要請することができる。球審は、このような要請があれば、塁審にその裁定を一任しなければならない。
公認野球規則 8.02(c)【原注2】より
球審の最優先事項はストライク/ボールの判定です。
特にハーフスイングのジャッジは角度的に見えづらいため、塁審のジャッジを導入しているわけですね。
塁審への確認におけるポイント
- 球審がボール判定の時だけ要請できる
→ストライク判定に対して「振っていない」とアピールするのはNG - 要請できるのは監督または捕手
→打者や内野手がアピールするのはNG - 要請する相手は球審
→塁審に直接請求するのはNG
プロ野球ではよく見るシーンが、実はルール上はNGだということが分かります。
プロ野球では捕手が塁審に指をさし、スイングのジャッジを求めるケースは多いですよね。
ただ、本来は要求する相手は球審なので、塁審に指をさすのは不適切なのです。
高校野球で塁審を指さすと、怒られることもありますよ・・
そのため、高校野球では指をクルクル回しながら、球審を見てアピールすることが多いですね。
プロ野球でハーフスイングが注目を浴びたシーン
ハーフスイングのルールが頭に入ったところで、プロ野球におけるハーフスイングをチェックしてみましょう。
【猛抗議】2010年ソフトバンク・小久保
1つ目のケースは2010年のソフトバンク・小久保です。
微妙なハーフスイングに対し、球審は迷わずストライク判定。これに小久保が猛抗議しました。
小久保は空振りの判定に対して「(塁審に)聞けー!」と猛抗議しています。
その後の口の動きをみると、「聞いてくださいよ」と敬語に切り替わっているのは冷静ですね。笑
ただ、このシーンはストライク判定のハーフスイングですので、ルール上は塁審に確認することはありません。また、バッターには塁審に確認を要求する権利もないのです。
いくら抗議を重ねても、判定は覆りませんでした。
映像を見ると、正直振ってなさそうですけどね・・(かわいそう)
当時はビデオ判定も導入前でした。(2018年導入開始)
ただし、仮に現在であってもハーフスイングの判定はビデオ判定の対象とならない点は注意が必要です。
ビデオ判定の対象ルールはこちら↓
関連記事:プロ野球のリクエスト制度とは?ビデオ判定のルールを分かりやすく解説
【名物】2021年オリックス・ジョーンズ
2つ目のケースがオリックス・ジョーンズです。
その経験と人柄でオリックスを日本一に導いたメジャーリーグのスターです。
ジョーンズといえば、ハーフスイングの判定を打者自ら塁審に要求する仕草が有名です。
アメトーークの「バファローズ芸人」でも話題になったこの仕草ですが、本来打者は塁審に要求する権利はありません。
要するにルール違反なのですね。笑
なお、ジョーンズは2022年1月に、このハーフスイングチェックをネタにしたイラストをプロフィールに設定しています。
#NewProfilePic pic.twitter.com/ChHd5RVIGx
— 10 (@SimplyAJ10) January 13, 2022
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