当記事では、複雑な野球のルールを、6歳の娘に説明するつもりで解説します。
最低限のルール解説にしぼり、分かりやすさにこだわった野球初心者向けの内容です。
以下のレベルを目指して解説します。
- 楽しく野球観戦ができる
- 初心者レベルの野球を楽しくプレーできる
筆者のプロフィール
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
野球のルールの基礎の基礎
それでは、まずは野球の基本中の基本から勉強しましょう。
野球は9人対9人で行うスポーツ
野球は9人対9人で行うスポーツです。
控えの選手と交代することは出来ますが、交代で下がった選手はその試合に戻ることはできません。
攻撃側のチーム、守備側のチームに分かれて試合が進みます。
野球のポジション
守備の役割(守備位置)
守備側のチームは、各守備位置に散らばってプレーをすることになります。
各守備位置の役割は以下のとおりです。
- ピッチャー・・ボールをバッターに向かって投げる選手。
- キャッチャー・・ピッチャーの投げたボールを捕る選手。
- 内野手、外野手・・バッターの打った球をキャッチする選手。
以下の図のように、守る場所によってポジションに名前がついています。
- ピッチャー
- キャッチャー
- ファースト(内野手)
- セカンド(内野手)
- サード(内野手)
- ショート(内野手)
- レフト(外野手)
- センター(外野手)
- ライト(外野手)
なお、守備のポジションは高校野球等の背番号と関連性があります。背番号について気になる方は、以下の記事を合わせてご覧ください。
バッターの役割(打順)
攻撃のチームは、打順に従って打つことになります。
打順は試合を始める前に、1番~9番までを決めておきます。
試合が終わるまで、この順番通りに打つことになります。
多く得点できたチームが勝ち
野球は攻撃と守備に分かれてプレーしますが、得点できるのは攻撃のチームです。
攻撃と守備を交互に繰り返し、最終的に得点が多いチームが勝ちです。
得点の方法はこの後解説しますが、以下はある試合のスコアボードです。
交代で9回の攻撃を繰り返し、最終的に先行チームが3-2で勝ったことを意味しています。
攻撃の回数は試合前に決められています。(イニング数と呼ばれます)
プロ野球や高校野球なら9回、小学生や中学生の公式戦なら7回、というのが一般的です。
【攻撃側】野球で得点する方法
得点の流れは以下のとおりです。
- ヒットやホームランを打つ
- グラウンドを1周する
グラウンドを1周し、ホームベースに返ってくることで1点が記録されるのです。
具体的に解説しましょう。
ヒットやホームランを打つ
得点の基本はヒットです。
バッターがボールを前に飛ばすと、ヒットやホームランになります。
ヒットとは
まずはヒットとは、以下のように理解してください。
ヒットとは・・
バッターの打ったボールがファールにならず、守備側にアウトにもされなかった場合ヒットという。
理解が難しい場合は、ヒットとは、打ったボールが守備選手に取られなかった場合と考えれば一旦はOKです。
※プロ野球のヒットの映像も参考にご覧ください。
ホームランとは
ホームランとは、野球場のフェンスをノーバウンドで超えることを指します。
こちらも、プロ野球の参考映像をご覧ください。(ホームランの映像はスカッとしますよ)
ファールとは
繰り返し登場したファールについて解説します。
バッターの打ったボールが、グラウンドの白線の外側(以下図のファールゾーン)に落ちた場合、ファールとなります。
ファールになった場合は、ヒットやホームランにはならず、バッターは打ちなおしとなります。
白線が無いほど遠くに飛んだ場合も、「白線を延長したら」と仮定して考えます。
そのため、以下の動画のように「特大ファール」も生まれるのです。
グラウンドを1周すると1点
得点するためには、ヒットやホームランを打った後、一塁⇒二塁⇒三塁⇒本塁と順にグラウンドを1周する必要があります。
ランナーはボールが一旦地面に落ちれば、次の塁を目指して走ることが許されます。
1周して本塁を踏むことで、1得点です。
ちなみに、走っている選手のことをランナーと呼びます。
ここでは一旦、アウトはボールを持った守備選手にタッチされること、とご理解ください。(アウトについては後程詳しく解説します)
ランナーがアウトになると、ランナーはベンチに戻らなくてはなりません。
得点のチャンスが失われてしまうのです。
ランナーは一塁や二塁、三塁に触れている間は、タッチをされてもアウトにはなりません。
そこで、ヒットを打った選手はボールが戻ってくる様子を見て、一塁や二塁でストップすることが多いのです。
一塁や二塁でストップしたランナーは、次のバッターがヒットを打つ度に次の塁を目指します。
既に存在するランナーが返ってくるヒットのことを、タイムリーヒットと呼びます。
ホームランはグラウンドの外にボールが飛び出しますので、ボールを持った守備選手にタッチされることはありません。
そこで、ホームランを打った選手は無条件にグラウンドを1周することができるのです。
なお、ホームランを打った際に塁上でストップしているランナーも、無条件に本塁まで戻ることができます。
一塁、二塁、三塁全てにランナーがいる状態(満塁)でホームランを打つと、一気に4点が入ります。(ランナー3人+打った選手本人)
3アウトで攻守交替
攻撃チームはできるだけアウトにならないように、ボールを打ち返したり、次の塁を目指して走ります。
守備チームはできるだけ早く3つのアウトを取れるようにプレーします。
守備チームが3つのアウトを取ると、攻撃チーム、守備チームが入れ交わります。
【守備側】野球でアウトを取る方法
守備チームは出来るだけ攻撃チームの得点を防ぎ、早く3つのアウトを取る必要があります。
アウトを取る方法については、以下の3パターンに分類できます。
- バッターを三振にする
- バッターが打ったボールをキャッチする
- ランナーをアウトにする
以下、順番に解説します。
バッターを三振にする
バッターを三振にする方法は3つのストライクを取ることです。
3つのストライクを取り、バッターを三振にすることで1つアウトを取ることができます。
ストライクゾーンとは
ストライクゾーンとは、バッターが打てる範囲を指しています。
ピッチャーはバッターに打たれないようにボールを投げますが、明らかに届かない場所に投げてしまったら勝負にならないですよね。
ストライクゾーンは、以下図のように決められています。
このストライクゾーンに入ったボールをストライク、外れたボールをボールと呼びます。
繰り返しですが、バッターを三振にする方法は3つのストライクを取ることです。
ここで、ストライクの条件を確認しましょう。
ストライクの条件
- ストライクゾーンのボールをバッターが見逃す
- バッターが空振りをする
- バッターがファールを打つ
ストライクゾーンを外れたボール球でも、バッターが空振りをしたり、ファールを打つとストライクとカウントされます。
ファール
ファールとは、ファールゾーンにボールが落ちた場合のことを指しましたよね。
攻撃側の解説で、ファールを打ったバッターは打ちなおし、と解説しました。
また、守備側の解説ではファールはストライクとカウントする、と解説しました。
2ストライクの状態で、バッターがファールを打ったとしても3ストライクで三振とはなりません。
2ストライクのまま、打ちなおしとなります。
そのため、2ストライク以降ファールを打てば、何度でも打ちなおしとなるわけです。
プロ野球等では、以下の動画のように何度もファウルを打つことを「粘る」と呼んでいます。
四死球
ピッチャーがボール球ばかり投げれば、ヒットを打たれる可能性は低いです。
だからといって、バッターが届かないボールばかりを投げるのはNGです。
1回の打席でボール球を4球投げると、バッターはヒットを打っていなくても一塁に進むことができます。これを、四球(フォアボール)と言います。
また、バッターの体にボールをぶつけてしまうと、死球(デッドボール)となります。同じく、バッターはそのまま一塁に進むことができます。
三振の取り方
- ストライクを3つ奪うことでバッターは三振となり、アウトとなる。
- ストライクは以下の場合にカウントされる。
・ストライクゾーンのボールをバッターが見逃す
・バッターが空振りをする
・バッターがファールを打つ - 【注意1】2ストライクでファールを打っても、三振にはならず、打ちなおしとなる。
- 【注意2】ボール球を4球投げると、バッターは1塁に進む。
バッターが打ったボールをキャッチする
バッターがボールを前に飛ばしても、アウトになることがあります。
ここでは、バッターがボールを打ち返した時にアウトにする方法を解説します。
ヒットとは・・
バッターの打ったボールがファールにならず、守備側にアウトにもされなかった場合ヒットという。
つまり、ボールを打ち返されても、必ずしもヒットにはならず、守備側はアウトにするチャンスが残っているのです。
ボールを打ち返された際に、バッターをアウトにする方法は以下の通りです。
- 打球をノーバウンドでキャッチする
- 打球をバンドしてからキャッチし、一塁に投げる。
順番に詳しく解説しましょう。
ノーバウンドでキャッチする
こちらはシンプルです。
バッターが打ったボールが地面に落ちる前に、キャッチしましょう。
ノーバウンドでキャッチすると、そのバッターはアウトになります。
これをフライアウトと呼びます。
ピッチャーがキャッチすればピッチャーフライ、ライトがキャッチすればライトフライ、といった具合にポジションとセットで表されます。
バウンドした後にキャッチし、一塁に送球する
ボールが地面に落ちた場合は、少しだけ複雑です。
キャッチしたボールを、すかさず一塁に投げましょう。
バッターが一塁を踏むよりも早く一塁に投げることができれば、バッターをアウトにすることができます。
これをゴロアウトと言います。
ランナーをアウトにする
攻撃の説明の繰り返しですが、ランナーは一塁⇒二塁⇒三塁⇒本塁と順にグラウンドを1周する必要があります。
- ボールを持った守備選手にタッチされると、ランナーはアウトになる
- 一塁や二塁等の塁上ではアウトにはならない
- 同じ塁の上には、一人しかストップできない
ランナーが塁を飛び出している場合や、のんびり走っている場合は守備側はアウトを狙うチャンスなのです。
野球のルール基礎の基礎 まとめ
以上の内容が、野球のルールの基礎の基礎となります。
一旦、ここまでの内容をまとめてみましょう。
基礎の基礎
- 野球は9人対9人のスポーツ
- 攻撃と守備に分かれて交互にプレーする
- 3アウトで攻守交替
- 事前に決めたイニングで多く得点できたチームの勝ち
攻撃編
- ヒットやホームランを重ね、グラウンドを1周すると1点
- バットにボールが当たってもファールは打ちなおし
- ランナーは守備の動きに気を付けながら、1つでも次の塁へ
守備編
- アウトを取る方法は大きく3パターン
→バッターを三振にする
バッターが打ったボールをキャッチする
ランナーをアウトにする - 空振りやファールを誘って三振を狙おう
- 打球がバウンドする前にキャッチすれば、フライアウト
- バウンドした打球は一塁に送球して、ゴロアウト
覚えておきたい良くあるプレー
ここまでを読んでいただければ、プロ野球観戦や草野球は十分に楽しめるでしょう。
以降では、プロ野球観戦や草野球をさらに楽しむため、覚えておきたいプレーをご紹介します。
バント
バントとは、既に塁上に存在するランナーを進めるための攻撃のプレーです。
自分は犠牲(アウト)になってでも、ランナーを進めるため、漢字では犠打と書きます。
バットを振り回すのではなく、以下の画像のようにバットを寝かせ、コツンとボールを転がします。
ボールが地面に落ちれば、ランナーは次の塁を目指して進むことができますよね。
確実にランナーを進めたい場面で使われるプレーで、プロ野球でも頻繁に目にします。
※実際のプレーはこちら
なお、2ストライクの状態でバントがファールになると、打ちなおしは出来ません。
これをスリーバントルールと呼びますが、スリーバントについては別記事にしてますので詳細はこちらをご覧ください。
犠牲フライ
ランナーが次の塁に進むためには、ボールが地面に落ちる必要がありました。
この例外が犠牲フライです。
フライをキャッチした後に塁上をスタートすれば、次の塁に進むことが認められるのです。
近くに上がったフライではすぐに送球されてタッチされてしまうので、それなりの飛距離が必要となります。
※実際のプレーはこちら
※犠牲フライは三塁から本塁に生還する際に使われる用語ですが、一塁や二塁からの進塁も認められています。
犠牲フライについてはルールが少々複雑なので、詳細については別の記事で解説しています。中上級者向きですが、気になる方は合わせてご覧ください。
盗塁
盗塁とは、ピッチャーの投球中に次の塁に進むプレーを指します。
盗塁を狙った場合、キャッチャーはすかさずアウトにするために送球しますので、足の速い選手にだけ可能なプレーです。
※実際のプレーはこちら
ダブルプレー
ダブルプレーは守備の花形です。
既に塁上にランナーがいる場合、ランナーのアウトとバッターのアウトを同時に取ります。
ワンプレーで2つのアウトが取れるため、ダブルプレーと呼ばれます。
※実際のプレーはこちら
ダブルプレーについてはこちらの記事で解説しています。複雑なルールですので、余裕がある方は合わせてご覧ください。
敬遠
相手のバッターとの勝負を避けるプレー、それが敬遠です。
敬遠は、わざとボール球を4球投げて、バッターを一塁に歩かせます。
例えば、1-0で迎えた最終回の攻撃を例に取ってみましょう。
2アウト3塁の場面、あと1人をアウトにすれば勝ちです。
ただ、ヒットを打たれたら同点になってしまいます。
この場面で、一番調子の良いバッターの打順になりました。
調子の良いバッターに打たれて同点にされるくらいなら、敬遠して次のバッターと勝負しよう、というわけです。
敬遠はボール球を4球投げるのが基本ですが、最近のプロ野球では申告敬遠制度が導入されました。ボールを投げずに敬遠できる制度です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
野球のルール まとめ
野球の基礎、野球で良く見られるプレーを解説してきました。
野球のルールは複雑ですので、当記事で紹介しきれないプレーも多数存在します。
当サイト(野球観戦の教科書)では、野球に関する情報を多数そろえておりますので、ぜひ、他の記事もご覧いただければ幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。