野球の守備の華のひとつ、ダブルプレー。
試合の流れを大きく左右するビッグプレーです。
ただ、このダブルプレーには少々難しいワードが登場するのも事実で、野球観戦初心者には理解できない場面もあるかもしれません。
当記事では、野球観戦に興味を持った方に向けて、ダブルプレーについて分かりやすく解説していきます。
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
ダブルプレーとは?
ダブルプレーがどんなプレーか想像ができない方は、まずは以下の動画をご覧ください。
ダブルプレーとは、1つのプレー(1打席)で2つのアウトを取ることを指します。
ゲッツー、併殺とも呼ばれ、どれも同じ意味です。
ダブルプレーの具体例
ノーアウトランナー1塁の場面のショートゴロ
ショートはセカンドへ送球し、一塁走者がアウト、その後ファーストにも送球し打者走者もアウト
このようなプレーはしばしば見られますよね。
1打席であるにもかかわらず2つのアウトを取る、それがダブルプレーです。
ランナーを出して攻撃ムードが高まる中、一気にツーアウトを失ってしまうため、ダブルプレーは試合の流れを左右する大きなプレーであるも言えます。
643?463?543のダブルプレーの意味
プロ野球中継を見ていると「6-4-3のダブルプレー!」と実況が叫ぶシーンを目にしますよね。
6-4-3、4-6-3、5-4-3などなど、様々な組み合わせが存在します。
察しの良い方は気づいていると思いますが、この数字は守備のポジションを指しています。
1 | 投手 | ピッチャー |
2 | 捕手 | キャッチャー |
3 | 一塁手 | ファースト |
4 | 二塁手 | セカンド |
5 | 三塁手 | サード |
6 | 遊撃手 | ショート |
7 | 左翼手 | レフト |
8 | 中堅手 | センター |
9 | 右翼手 | ライト |
要するに、「6-4-3」のダブルプレーというのは、ショートが捕球し、セカンドに送球、セカンドからファーストに送球して成立したダブルプレーというわけです。
ダブルプレーはスピード感あるプレーですので、いちいちポジションを呼ぶことは出来ないのでしょう。
野球中継では頻繁にポジション数字が使われます。
【上級者向け】刺殺と補殺の記録方法は?
プロ野球では、ヒット数や勝利数をはじめ、様々な数字が記録されています。
守備において公式に記録されているのが刺殺と補殺です。
刺殺と補殺は守備率の算出にも使用される数字であり、守備での貢献度をはかる1つの目安となっています。
通常、刺殺と補殺は以下の基準で記録されます。
- 刺殺:アウトに取る中で最後に打球を触った選手
→具体例:ライナーやフライを取った選手、送球を捕球してアウトにした選手 - 補殺:アウトに関わった選手(刺殺が記録される選手を除く)
→具体例:内野ゴロを送球しアウトにした選手
この基準であれば、普通は1つのプレー刺殺と補殺が両方記録されることはありませんが、ダブルプレーの場合は例外なのです。
セカンド、ショート、ファーストと渡る4-6-3のダブルプレーか成立したとしましょう。
この場合、刺殺と補殺は以下のように記録されます。
- ファースト刺殺1(2つ目のアウトの捕球)
- セカンド補殺1(1つ目のアウトの送球)
- ショート補殺1刺殺1(1つ目のアウトの捕球、2つ目のアウトの送球)
1つのプレーで、ショートには補殺も刺殺も記録されていますね。
刺殺と補殺はあくまでも1つのアウトで計算するため、ダブルプレーではこのような現象が発生するのです。
ダブルプレーにまつわる日本記録
ダブルプレーに関する日本記録をご紹介します。
<通算併殺打>
順位 | 選手 | 併殺打 | 試合数 |
1 | 野村 克也 | 378 | 3017 |
2 | 衣笠 祥雄 | 267 | 2677 |
3 | 大杉 勝男 | 266 | 2235 |
4 | 長嶋 茂雄 | 257 | 2186 |
4 | 中村 紀洋 | 257 | 2267 |
6 | 新井 貴浩 | 242 | 2383 |
7 | 落合 博満 | 236 | 2236 |
7 | 谷繁 元信 | 236 | 3021 |
9 | 土井 正博 | 235 | 2449 |
10 | 山崎 武司 | 230 | 2249 |
併殺打そのものは悪い記録ではあるものの、併殺打ランキングには強打者の名前がずらりと並びます。
そもそも併殺打を打つためには、ランナーがいる場面で打席に立つ必要があるのです。
ノムさんこと野村克也選手の併殺打378というのは驚異の記録で、これは3000試合以上、打席に立ち続けたからこそ生まれた記録なのですね。
「三振が出来るのは打席に立った者だけだ」という名言と同様に、
併殺打の通算記録も、ある意味強打者の証明と言えそうです。
<シーズン最多併殺打>
順位 | 選手 | 当時所属 | 併殺打 | 年度 | 試合 |
1 | ブーマー | オリックス | 34 | 1989 | 130 |
2 | 野村 克也 | 南 海 | 31 | 1973 | 129 |
3 | 駒田 徳広 | 横 浜 | 29 | 1994 | 130 |
4 | 葛城 隆雄 | 大 毎 | 28 | 1959 | 132 |
4 | ラミレス | ヤクルト | 28 | 2006 | 146 |
4 | 山崎 武司 | 楽 天 | 28 | 2007 | 141 |
7 | 大杉 勝男 | ヤクルト | 27 | 1978 | 125 |
7 | 内川 聖一 | ソフトバンク | 27 | 2016 | 141 |
9 | ブルックス | 日本ハム | 26 | 1998 | 129 |
9 | 中村 紀洋 | 近 鉄 | 26 | 2001 | 140 |
9 | 和田 一浩 | 中 日 | 26 | 2013 | 142 |
シーズン記録も通算記録同様、強打者の名前が並びます。
1アウト、もしくはノーアウトでランナーを置いた場面で、バントや進塁打ではなく、正面からスイングさせてもらえるからこそ、ダブルプレーの数も増えるのでしょう。
<1試合最多併殺打>
1試合最多併殺打の記録は6併殺で、1970年阪急(4月30日、対埼玉西武戦)、95年巨人(5月17日、対横浜戦)、96年横浜(8月18日、対広島戦)で記録されています。
近年では、2019年に千葉ロッテマリーンズが練習試合で6回までに毎回となる6併殺を記録し話題になりました。
1試合に6併殺となると、6度もチャンスが一瞬で潰れていることになり、ファンにとっては辛い1戦になりそうですね・・・
ダプルプレーまとめ
ここまでの内容を箇条書きでまとめます。
- ダブルプレーとは、1つのプレー(1打席)で2つのアウトを取ること
- 6-4-3、5-4-3等の数字はポジションを指している
- ダブルプレーでは刺殺、補殺が同時に記録される
- 併殺打の歴代最多記録は野村克也
- 併殺打は強打者の証
- 1試合最多併殺は6併殺
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