2018年からプロ野球に「申告敬遠制度」が導入されました。
試合時間短縮を主な目的とする制度ですが、賛否両論あるのも事実です。
当記事では、申告敬遠制度のルールや導入背景について解説します。
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
申告敬遠制度のルール
申告敬遠制度は投球をすることなく故意四球(敬遠四球)にする事が出来るルールです。
- 守備側の監督が審判に申告する
- 申告敬遠が申告されると、投手が投球することなく打者は1塁へ出塁する
- 申告敬遠によって投手の球数はカウントされない
- 打席の途中(例:ボール球を2球投げた後)でも申告敬遠は可能
なお、申告敬遠制度の採用後も、ボール球を4球投げて敬遠することが禁止されているわけではありません。
申告敬遠制度の導入目的
申告敬遠制度の目的は試合時間の短縮と言われています。
2017年にメジャーリーグで先行して申告敬遠制度が導入されており、日本プロ野球もこれに追随した形となっています。
なお、2020年東京五輪をはじめ、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の主催大会でも申告敬遠制度が採用されることが決まっています。
正直なところ、申告敬遠制度の時間短縮の効果はさほど大きくはありませんので、世界基準に合わせる狙いが大きかったとも考えられますね。
申告敬遠制度のメリット
申告敬遠制度については、プレーする選手にとってはメリットばかりです。
- 4球を投じる手間が省ける
- 暴投や、誤ってストライクゾーンに投じるリスクが無くなる
- (若干ではあるものの)試合時間短縮になる
合理的なルールであり、試合を効率化する意味ではいいルールですね。
申告敬遠制度のデメリット
プレーする選手側にとってはメリットはあるものの、観戦する側にとっては一種の楽しみが失われてしまいます。
- 敬遠であることが分かりづらい
- 敬遠の独特な雰囲気が失われる
- 敬遠球を打つ、などのドラマが生まれなくなる
申告敬遠は監督から審判に伝えることで行われますので、観戦する側にとっては敬遠である事が分かりづらいのです。
ピンチに監督が出てきて、「投手交代か?」と思ったら申告敬遠だった、ということもしばしばあります。
従来の捕手が立ち上がって敬遠する、というのは観客側にとっては非常に分かりやすく、その4球の間の野次と声援が入り混じった独特な雰囲気が失われてしまうのも寂しい気がしますね。
また、敬遠球をヒットにしたシーンとしては、元阪神タイガース新庄選手のサヨナラタイムリーヒットはあまりにも有名です。
申告敬遠制度が採用されたことで、こういったドラマは期待出来なくなりますので、観客にとっては一種の楽しみが失われてしまうとも言えますね。
申告敬遠制度の世間の反応
申告敬遠制度には賛否両論ありますが、やはり敬遠球を投じる間の独特な雰囲気が失われることを寂しがる声は多いです。
- 悔しそうな表情で投球する投手
- じっと構えてボール球を見送る打者の威圧感
- 敬遠球が投じられる間、気合いを込める次打者
- 敬遠へブーイングを送る攻撃側のファン
- 投手に声援を送る守備側のファン
こういった独特な雰囲気が失われる寂しさは多くのファンが感じている心情です。
また、新庄選手の敬遠球ヒットのような「まさか」を期待するファンも多く、このようなファンの間では申告敬遠制度に反対する声は多いです。
一方で、敬遠球ヒットは滅多に起きるものではありせん。
滅多に起きない出来事に期待するよりも、申告敬遠制度の合理的なルールを歓迎する意見も存在します。
申告敬遠制度まとめ
ここまでの内容を簡単にまとめます。
- 申告敬遠制度は試合時間短縮を目的に、国際基準に合わせて作られたルール
- 効率的なルールで、申告敬遠制度は選手にはメリットばかり
- 観客にとっては申告敬遠制度によって一種の楽しみが失われてしまう寂しさも
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