プロ野球ニュースは毎日のように目をしますが、6月が近づいてくると「交流戦」というワードを目にすることも多いのではないでしょうか。
交流戦は野球ファンにとっては非常に楽しみな、重要な期間なのですが、野球に詳しくない方にとってはよく分からないですよね。
当記事では、プロ野球の交流戦について簡単に解説します。
筆者のプロフィール
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
そもそも交流戦とは?
プロ野球の公式戦はセリーグ、パリーグそれぞれ別に開催されます。
リーグ内で順位を争うため、通常は巨人VS西武のようなリーグを超えた対戦は行われません。
その例外として生まれたのが交流戦です。
交流戦期間中は、セリーグのチームVSパリーグのチームの試合が組まれ、普段は見られない対戦が楽しめます。
交流戦のルールのポイント
交流戦のルールについては開催要項が公開されていますが、ここでは特徴的なポイントを解説します。
試合は18試合、どちらか一方のホーム球場で開催される
2019年現在、交流戦は各チーム18試合、全108試合開催されます。
それぞれのチームと3試合対戦することになります。
3試合と試合数が限られていますので、ホーム&ビジター方式は採用されておらず、どちらか一方のホーム球場で開催されます。
ホーム&ビジター方式であれば、阪神VSオリックスの場合、京セラドームで試合をした後は甲子園での試合も組まれますが、現在の交流戦の場合はどちらか一方です。
2019年は阪神VSオリックスは京セラドームで開催されるため、甲子園でオリックスを見ることは出来ません。
交流戦の勝敗や成績はペナントレースに反映される
交流戦はオールスターゲームのようなお祭りとは異なり、正式にペナントレースの一部としてみなされています。
そのため、交流戦の結果はペナントレースにも反映されます。
勝率1位のチームが交流戦優勝球団となる
交流戦はペナントレースの一部という位置付けではあるものの、交流戦で勝率が1位のチームは交流戦優勝球団として表彰されます。
優勝チームには特別協賛社の日本生命から優勝賞金3000万円が贈られます。
なお、試合は18試合と限られているので、勝率が並ぶケースも想定されます。
勝率が並んだ場合は以下の基準で優勝チームを判断します。
• 勝数
• 直接対戦成績
• 交流戦18試合のTQB((得点/攻撃イニング)-(失点/守備イニング))が大きいチーム
• 交流戦18試合のER-TQB((相手自責点による得点/攻撃イニング)-(自責点/守備イニング))が大きいチーム
• 交流戦18試合のチーム打率
• 前年度日本生命セ・パ交流戦の上位チーム
(日本生命セ・パ交流戦 開催要項より)
交流戦の歴史
交流戦は2005年から継続して開催されています。ここでは試合数の変遷、過去の対戦成績を追いかけてみます。
かつては36試合だった交流戦
先述のとおり、2019年の交流戦は各チーム18試合が開催されます。
実は交流戦開始当初はホーム&ビジター方式で、各チームのホーム球場で開催されており、各チーム36試合が実施されていました。
当初は現在の倍の試合数ですが、これはクライマックスシリーズ(導入当時の名称はプレーオフ)の導入などにより、試合数が見直されています。
2007年の見直しで各チーム24試合(ホーム&ビジターの2試合ずつ)に削減され、2015年には現在の18試合まで削減されています。
交流戦優勝チームはパリーグが圧倒
過去の優勝チームはパリーグが圧倒しています。
2012年、2014年の巨人と2018年のヤクルトを除き、他の年は全てパリーグの球団が優勝しています。
最多優勝は福岡ソフトバンクホークスで、なんと8回も制覇しています。
年 | 優勝チーム |
2005年 | 千葉ロッテマリーンズ |
2006年 | 千葉ロッテマリーンズ |
2007年 | 北海道日本ハムファイターズ |
2008年 | 福岡ソフトバンクホークス |
2009年 | 福岡ソフトバンクホークス |
2010年 | オリックス・バファローズ |
2011年 | 福岡ソフトバンクホークス |
2012年 | 読売ジャイアンツ |
2013年 | 福岡ソフトバンクホークス |
2014年 | 読売ジャイアンツ |
2015年 | 福岡ソフトバンクホークス |
2016年 | 福岡ソフトバンクホークス |
2017年 | 福岡ソフトバンクホークス |
2018年 | 東京ヤクルトスワローズ |
2019年 | 福岡ソフトバンクホークス |
2020年 | ※新型コロナウイルス感染症の影響で開催されず |
通算勝利数はパリーグが圧倒
優勝回数はパリーグが圧倒していますが、通算勝利数も同じくパリーグが圧倒しています。
2005年~2019年までの15回の開催のうち、セリーグが勝ち越したのは2009年の一度だけです。
その他の年は全てパリーグが勝ち越しです。
年 | パ・リーグ | セ・リーグ | 引分 |
勝数 | 勝数 | ||
2005年 | 105 | 104 | 7 |
2006年 | 108 | 107 | 1 |
2007年 | 74 | 66 | 4 |
2008年 | 73 | 71 | 0 |
2009年 | 67 | 70 | 7 |
2010年 | 81 | 59 | 4 |
2011年 | 78 | 57 | 9 |
2012年 | 67 | 66 | 11 |
2013年 | 80 | 60 | 4 |
2014年 | 71 | 70 | 3 |
2015年 | 61 | 44 | 3 |
2016年 | 60 | 47 | 1 |
2017年 | 56 | 51 | 1 |
2018年 | 59 | 48 | 1 |
2019年 | 58 | 46 | 4 |
2020年 | – | – | – |
通算 | 1098 | 966 |
交流戦の面白さ
交流戦の面白さをご紹介します。
楽しみ方は人それぞれですが、以下のような点に注目するとさらに楽しめるはずです。
・パリーグのピッチャーが打席に
・リーグ順位が大きく変動することも
・普段は見れないチームが見れる
・交流戦限定ユニフォーム
パリーグのピッチャーが打席に
普段の公式戦では、パリーグはDH制を採用しているため、ピッチャーが打席に立つ事はありません。
セリーグ主催(セリーグのホーム球場で行われる)試合では、DH制は採用されませんので、普段は全く打席に立たないパリーグのピッチャーの打撃を見ることが出来ます。
リーグ順位が大きく変動することも
交流戦期間中は他リーグのチームと対戦することになります。
これによって生まれる現象が、「独り勝ち」や「独り負け」といった現象です。
その日の勝利チームがリーグ内に1チームだけ、といったことが発生する可能性もあるため、交流戦の結果によってはペナントレースの順位が大きく変動することもあります。
普段は見れないチームが見れる
これが1番の交流戦の魅力ですが、普段は観戦出来ないチームを見ることができます。
東京などの都心部ではセリーグ、パリーグ両球団の本拠地が存在するためありがたみは薄いですが、地方のファンにとっては大きなイベントです。
例えば北海道にはエスコンフィールドがありますが、ここでは基本的にパリーグ同士の試合が行われます。
北海道民にとってセリーグの球団を見る機会は滅多になく、この交流戦は非常に貴重な機会なのです。
交流戦限定ユニフォーム
球団や年によっては、交流戦限定ユニフォームが作られることもあります。
ユニフォームをじっくり見るのも楽しみ方の1つです。