ドラフト会議が近づくにつれて頻繁に目にするのが、注目のアマチュア選手が「プロ志望届」を提出したというニュースです。
「お、あの選手もプロ志望か」とワクワクしますが、そもそもプロ志望届について正しくルールを理解していますでしょうか。
当記事では、意外と知らないプロ志望届の詳細について解説します。
筆者のプロフィール
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
プロ志望届とは?
プロ野球におけるプロ志望届の正式名称は「プロ野球志望届」です。
提出期限はドラフト会議の2週間前までとなっており、プロ野球への入団の意思表示に使用されます。
なお、ここで言う「プロ野球」とは、国内の独立リーグやメジャーリーグを含む海外リーグも含まれます。
プロ志望届の提出が必要な選手
プロ志望届の提出が必要な選手は、硬式野球部に所属する高校3年生と大学4年生です。
高校生は日本高等学校野球連盟に、大学生は大学野球連盟にプロ志望届を提出します。
これから学校を卒業する選手が、進路を明示するために提出するのですね。
ポイントは社会人選手や、硬式野球部に所属しない選手はプロ志望届を提出する必要が無いという点です。
2011年ドラフト7位日ハム大嶋の事例
「硬式野球部員でなければ、高校3年生や大学4年生であってもプロ志望届は必要ない」
これに関連して話題を呼んだのが、2011年にドラフト7位で日ハムに入団した大嶋の事例です。
当時早稲田大学のソフトボール部に所属していた大嶋ですが、そのパワーを買った北海道日本ハムファイターズが指名。
大嶋はソフトボール部で、硬式野球の経験はありませんでした。
当然プロ野球志望届は提出していなかったため、世間を賑わすサプライズ指名となりました。
大嶋は前代未聞の野球経験の無いプロ野球選手となったわけですが、野球部でなければプロ志望届は不要であるため、このようなサプライズ指名が起こりうるわけですね。
プロ志望届制定の背景
プロ志望届は2004年から運用されています。
度重なるドラフトのトラブルを受けて、現在の形に至っています。
ドラフトトラブルで最も有名なのは1985年の「KKドラフト事件」とも呼ばれる桑田真澄の巨人入りでしょう。
当時高校3年生の桑田は、その進路が注文されていましたが大学進学を表明。
各球団がドラフト指名を見送る中、巨人が強行指名。そのまま巨人入団となりました。
これには世間から疑惑の目が向けられます。
「巨人と桑田は裏で繋がっていたのではないか?」
「他球団の指名を回避させるために大学進学を表明したのではないか?」
このような疑惑は事実ではないとされていますが、このようなトラブルが度重なったことにより、「クリーンなドラフト会議」を目指す流れが生まれました。
こうして、明確にプロ志望を宣言する現在のプロ志望届の形に至ったのです。
プロ志望届まとめ
ここまでの内容を箇条書きでまとめます。
- 正式名称はプロ野球志望届
- 高校3年生、大学4年生の野球部員が提出
- 社会人や野球部以外は提出不要
- 2004年から運用
- 度重なるドラフトトラブルがきっかけ
以下の記事ではドラフト会議のルールを詳しく解説しています。
ドラフト前に是非チェックしておきましょう。