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【プロ野球球界再編】エクスパンション「16球団構想」とは?分かりやすく解説します

プロ野球のさらなる発展を狙って実施されるエクスパンション(球団拡張)に注目が集まっています。

エクスパンションによる球界再編は過去何度も議論されてきていますが、ソフトバンクホークスの王会長が「16球団構想」をあらためて提唱したことで、議論が白熱しています。

当記事では、16球団構想の内容・メリット・課題について解説します。

まだまだ本格的には検討すらされていない状況ですが、ご参考になれば幸いです。

 

筆者のプロフィール

野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。

 

「16球団構想」の内容

16球団構想とは、現在のセ・パ2リーグ12球団体制にさらに4球団を追加するエクスパンション(球団拡張)です。

ホークスの王会長が、福岡のテレビ局の報道番組で16球団構想に言及しています。
さらに野球解説者の古田敦也氏も16球団構想に賛同し、準備に動いていることを示したことで、球界再編の注目は一層高まっています。

この16球団構想で特に注目を集めているポイントは2点です。

・新設球団の本拠地はどこになる?
・2リーグ制は維持されるのか?

 

新設球団の本拠地はどこになる?

エクスパンションが議論される際に最も注目を集めるのが、新設球団をどの地域に置くか、という点です。

候補地として頻繁に話題に上がるのが、

新潟市、宇都宮市、松山市、那覇市、静岡市

あたりの既存のプロ野球球団が存在しない地域です。

熊本や鹿児島など、九州エリアが話題になることもありますね。

 

近年パ・リーグでは、北海道のファイターズ、東北のイーグルス、九州のホークスと、地域密着運営で成功を収めてきました。
16球団構想のエクスパンションでも、新たに地域密着球団を増やしたい狙いが感じられます。

既存球団が存在せず、それでいてある程度の集客を見込める地域、というのが条件になってきますね。

2リーグ制は維持されるのか?

新規球団の本拠地とセットで議論されるのが、1949年以来継続してきたセ・パ2リーグ制を維持するか否か、という点です。

新規に4球団を追加すると、2リーグ制では1リーグ当たり8球団となります。
新規球団は地方都市を本拠地とする可能性が高いため、選手の移動の負担が増加することが想定されるのです。

これを受け、ひとつの案として浮上したのが東西南北の4リーグ制です。
以下はあくまでも一例ですが、16球団を4つの地域に分割する地区制度を導入するという案ですね。

リーグ所属球団(案)
北リーグ北海道日本ハムファイターズ
東北楽天ゴールデンイーグルス
埼玉西武ライオンズ
新設球団(宇都宮、新潟等)
東リーグ読売ジャイアンツ
東京ヤクルトスワローズ
横浜DeNAベイスターズ
千葉ロッテマリーンズ
西リーグ中日ドラゴンズ
阪神タイガース
オリックス・バファローズ
新設球団(静岡等)
南リーグ広島東洋カープ
福岡ソフトバンクホークス
新設球団(松山、九州等)
新設球団(沖縄等)

 

4リーグ制は古田氏がひとつのアイデアとして提言しています。

レギュラーシーズンを4つの地域で戦い抜き、各地区の成績上位チームでクライマックスシリーズや日本シリーズを開催するという説明です。

より、メジャーリーグに近い仕組みと言えますね。

 

16球団構想の議論が今後進んでいったとして、2リーグ制が維持されるのか、4リーグ制が導入されるのかは注目すべきポイントです。

16球団構想のメリット

16球団構想をはじめとするエクスパンションの議論は、プロ野球界の発展を考える前向きな議論です。

それでは、16球団構想を導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 

考えられる16球団構想のメリット

・地域密着型で新規野球ファンの獲得
・地方活性化
・野球選手の受け皿、野球人口の維持
・クライマックスシリーズの意義

ひとつずつ、解説していきましょう。

 

地域密着で新規野球ファンの獲得

16球団構想では、これまでプロ野球球団が存在しなかった地域にも、プロ野球球団が誕生することになります。

地域密着型の球団運営にシフトし、成功を収めてきたパ・リーグの各球団のように、新規球団には、新たな土地で新たなファン層の獲得が期待されます。

これまでは球場との距離が理由で野球に興味を持てなかった人々が新たに野球に興味を持てば、それはプロ野球界にとって大きなメリットと言えます。

 

 

地方活性化

プロ野球が地方に参入することは、地域にとっても大きな意味を持ちます。

プロ野球が参入することで、球場周辺には人が集まることになります。
過疎化が進む地方において、人の流入が期待できるのは大きなメリットです。

特に近年のプロ野球は、球場とテーマパークを一体化した「ボールパーク構想」を掲げる球団が増えており、地方にボールパークを建設できれば、新たな観光地として集客することも期待できるのです。

 

野球選手の受け皿、野球人口の維持

ホークス・王会長の16球団構想の狙いが、こちらではないかと言われています。

現在、野球人口は減少傾向が続いており、この一つの原因が野球をプレーする環境が不足していることが挙げられています。
近年、社会人チームの廃部も相次いでおり、高校、大学まで野球を続けてきても、就職と同時に野球を諦めてしまう選手が多いのです。

独立リーグ等の選択肢も残されているものの、安心して選択できる進路とは言い難く、野球選手の受け皿となる進路の整備が急がれます。

16球団構想が実現されれば、プロ入り出来る選手の数が必然的に増加します。
少しでも野球を継続できる可能性を広げよう、というのがエクスパンションの狙いと考えられます。

 

クライマックスシリーズの意義

16球団構想で球団数が増加すると、クライマックスシリーズの盛り上がりもさらに期待することが出来ます。

現在の仕組みでは、各リーグ半数のチームがクライマックスシリーズに出場可能となり、143試合を勝ち抜いた優勝チームが3位チームに敗れ日本シリーズ出場を逃すケースも見られます。

このクライマックスシリーズの仕組みには、長いペナントレースの結果を短期決戦で覆すのはいかがなものか、との批判も寄せられており、ファンが納得できる仕組みつくりが求められているのです。

16球団構想が実現できれば、少なくともリーグの半数がクライマックスシリーズに出場可能という状況は改善され、ファンにとっても納得感のある仕組みとなるでしょう。

 

16球団構想の課題

16球団構想にはメリットがある一方、すぐに導入に至っていないのは、当然そこには課題が存在するためです。

主に上げられる課題は以下の通りです。

 

16球団構想の主な課題

・プロ野球のレベル低下と球団間の戦力バランス
・球場改修
・地方参入マーケティングの難易度
・コロナショック後、それだけの体力が参入企業にあるか

こちらも一つずつ解説していきます。

 

プロ野球のレベル低下と球団間の戦力バランス

16球団構想では、プロ野球選手人口が増加するメリットがありますが、それは一方で、従来ならプロレベルではなかった選手もプロ入り出来てしまうことを意味します。

その分、日本プロ野球のレベル低下が懸念され、何らかの対策が必要です。

 

特に新規参入球団が戦力を整えるのは非常に難しく、これは2005年楽天初年度の成績を見れば明らかです。

初年度の楽天は38勝97敗1分、勝率.281と散々な結果で、5位日ハムと25ゲーム差、首位ソフトバンクとは51.5ゲーム差がついてしまいました。

球界再編によって、各球団間の戦力バランスが壊れてしまうと、むしろプロ野球人気が低下するおそれもあり、戦力均衡のための施策も重要な課題です。

 

球場改修のコスト

プロ野球の試合を開催するには、当然、球場が必要になります。

日本国内にはナイター設備も有した地方球場は数多く存在しますが、プロ野球一軍の公式戦を実施するとなるとそれだけでは足りません。

明確に規定されているわけではありませんが、プロ野球一軍の本拠地とするには、3万人前後の観客収容数を確保する必要があると言われています。
この規模の球場でないと、たとえ満員御礼であっても、集客数が足りず、黒字化が難しいとされているのです。

球団運営もビジネスですので、当然黒字経営を目指しますが、そのためには球場を整えるという課題が存在するのですね。

 

地方参入マーケティングの難易度

今からプロ野球が地方に参入したとしても、マーケティングで成功できるか疑問も残ります。

地方とはいえ、現代はオンラインで様々な娯楽が楽しめる時代です。
「野球観戦」という新たなレジャーを浸透させるためには、数多の娯楽に勝って、選んでもらう必要がありますが、難易度は高いでしょう。

また、地方密着型のチーム運営はサッカーのJリーグやバスケットボールのBリーグが先行しており、サッカー観戦、バスケットボール感染が根付いた地域に新たに野球が参入して戦っていかなくてはなりません。

新潟の巨人ファンを新潟の新規球団が取り込むのは比較的簡単かもしれませんが、サッカーのアルビレックス新潟サポーターを新潟の新規球団が取り込むのは難しそうですよね。

このように、地方密着と言っても、マーケティングは簡単ではない、という点も課題です。

 

コロナショック

新規にプロ野球球団が誕生するためには、そのオーナー企業が必要となります。

 

一方、新型コロナウイルスの影響で、世界経済は大打撃を受けており、日本の大企業の経済活動も停滞している状況です。

このような状況下で仮にプロ野球参入を募ったとしても、プロ野球参入にもコストがかかりますので、参入できるほどの体力が企業に残っているのか疑問です。

少なくとも、コロナ騒動が終息し、日本経済が巻き返してくるまでは4球団もの増加は難しいのではないでしょうか。

 

エクスパンション「16球団構想」まとめ

ここまでの内容を箇条書きでまとめます。

・16球団構想はホークス王会長や古田敦也氏が言及

・新規球団の本拠地候補は新潟市、宇都宮市、松山市、那覇市、静岡市が有力

・セ・パ2リーグ制の維持に加え、東西南北4地区制の議論もあり

・メリットは地域密着による新規ファンの獲得、地方活性や、野球人口の増加

・課題はプロ野球のレベル低下や球場改修コスト、地方参入マーケティングの難易度等

まだまだ課題も多い16球団構想ですが、間違いなくメリットもあるのです。

エクスパンションのような前向きな議論が活性化するのは、ファンにとっても想像が掻き立てられて面白いですね。

エクスパンションの議論を通して、プロ野球界がさらに良くなることを期待しましょう。

 

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