2015年に流行語対象に選ばれた「トリプルスリー」
当時はスワローズの山田哲人選手とホークスの柳田悠岐選手が同時に達成したことで話題になりました。
近年、山田哲人選手が簡単に達成していたため、感覚が麻痺していますが、トリプルスリーは過去10人しか達成出来ていない超人的な記録です。
当記事では、トリプルスリーについて解説し、歴代達成者を紹介します。
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
トリプルスリーとは?
トリプルスリーとは、プロ野球の打者成績に用いられます。
打率3割、本塁打30本、盗塁30盗塁を達成した選手に贈られる称号です。
同様に打者に用いられる指標として三冠王が存在します。
三冠王は首位打者、打点王、本塁打王を同一シーズンに達成することで、トリプルスリー同様に達成が難しい記録として扱われています。
トリプルスリーの達成はココが難しい
打率3割、本塁打30本、盗塁30盗塁というのは単独でも難しい記録です。
いずれもシーズンを通して達成出来るのは数名の記録で、これを両立するのは至難の業です。

30本塁打を放つ選手にどのようなイメージを抱くでしょうか。
30本というと所謂パワーヒッターであり、外国人選手を筆頭にした体格の大きい選手をイメージしますよね。
一方で、30盗塁を達成出来るような選手は、所謂、俊足と呼ばれる選手であり、スラッとした脚の長い選手をイメージするでしょう。
本塁打で成績を残せる選手と、盗塁で成績を残せる選手の特徴は、一般的には真逆なのです。



ここにさらに「率」まで求められます・・
盗塁と本塁打の両方で成績を残すだけでも異常と言えますが、これだけなら身体能力の高さで達成する選手は出てくるかもしれません。
しかし、トリプルスリーの達成には3割打者という打撃の技術面まで求められるのです。
つまり、トリプルスリーを達成できる選手は以下のような選手です。
- パワーヒッター
- 盗塁ができる俊足
- 3割が打てる正確な打撃技術
要するに超人ですね。
トリプルスリー歴代達成者
長いプロ野球の歴史の中でも、トリプルスリーを達成した選手は10名だけです。
まさに超人と呼ぶにふさわしい選手たちの名前が並びます。
この10名のうち、複数回トリプルスリーを達成した選手は山田哲人選手だけであり、いかに山田の成績が素晴らしいことかが分かります。
選手名 | 当時所属 | 達成年度 | 打率 | 本塁打 | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|
岩本 義行 | 松竹 | 1950 | .319 | 39 | 34 |
別当 薫 | 毎日 | 1950 | .335 | 43 | 34 |
中西 太 | 西鉄 | 1953 | .314 | 36 | 36 |
蓑田 浩二 | 阪急 | 1983 | .312 | 32 | 35 |
秋山 幸二 | 西武 | 1989 | .301 | 31 | 31 |
野村 謙二郎 | 広島 | 1995 | .315 | 32 | 30 |
金本 知憲 | 広島 | 2000 | .315 | 30 | 30 |
松井 稼頭央 | 西武 | 2002 | .332 | 36 | 33 |
山田 哲人 | ヤクルト | 2015 | .329 | 38 | 34 |
柳田 悠岐 | ソフトバンク | 2015 | .363 | 34 | 32 |
山田 哲人 | ヤクルト | 2016 | .304 | 38 | 30 |
山田 哲人 | ヤクルト | 2018 | .315 | 34 | 33 |
【参考】惜しくもトリプルスリーを逃した選手
あと1本の本塁打、あと1つの盗塁、あと1厘の打率などでトリプルスリーを逃した選手を調査してみました。
結果的には1950年代に3つの事例があるだけで、近年は惜しくもトリプルスリーを逃した選手は存在しません。
選手名 | 当時所属 | 達成年度 | 打率 | 本塁打 | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|
川上 哲治 | 巨人 | 1950 | .313 | 29 | 34 |
青田 昇 | 巨人 | 1950 | .332 | 33 | 29 |
長嶋 茂雄 | 巨人 | 1958 | .305 | 29 | 37 |
1950年代当時は「トリプルスリー」の概念がなかったため、「30」を強く意識していなかった点は未達成の大きな要因かもしれません。
なお、1958年の長嶋茂雄はルーキーイヤーですが、一塁の踏み忘れでホームランを取り消されています。これがなければ30本塁打に到達していただけに、もったいないですね・・・
トリプルスリー まとめ
歴代10名しか存在しないトリプルスリー。
いかに素晴らしい記録であるか分かっていただけたかと思います。
そう簡単に達成できる記録ではありませんが、山田、柳田のさらなる達成や、超人二人を追いかける新たな超人の誕生にも期待したいところですね。
今後プロ入りしてくるルーキー達にも期待です。
今後のプロ野球にも注目ですね。