野球の基礎知識

【プロ野球三軍】三軍採用は3球団!設立目的・対戦相手も解説

華々しいプロ野球一軍を目指し、ファームと呼ばれる二軍では数々の選手が汗を流しています。

そしてその二軍のさらに下部組織、三軍という存在をご存知でしょうか。

当記事では、この三軍の採用チームや設立目的をご紹介します。

三軍から這い上がったスター選手も多く、是非この育成システムに注目してみてください。

プロ野球三軍とは?対戦相手は?

三軍とは、二軍の試合に出場出来ない選手で構成される非公式チームです。

二軍ではイースタンリーグ・ウエスタンリーグとして二軍公式戦が実施されますが、三軍の試合は全て非公式試合です。

独立リーグや大学・社会人チーム、韓国や台湾チーム、他球団の三軍との試合が組まれることが多いです。

二軍の試合も出場出来る人数は限られていますので、高卒若手選手や、育成選手の実戦経験を積ませる目的で試合が組まれます。

三軍はなぜ設立された?目的は?

三軍設立の主な目的は、若手選手・育成選手の底上げです。

より多くの実戦経験、充実した練習を実現するために導入されています。

プロ野球チームには約70名の支配下契約選手と、育成選手が所属しています。

一軍登録されるのは29名なので、残りの選手は必然的に二軍で一軍出場枠を狙うことになるのです。

近年は特例で一軍登録人数は31名となっています(いわゆるコロナ特例)

育成制度を採用していなかったとしても、二軍には40名以上の選手が所属することになります。

40名の選手で二軍の出場を争うわけですから、当然二軍の試合にも出られない選手が出てくるわけですね。

このように、二軍の試合にも出場出来ない選手(特に育成選手や高卒ルーキー)の出場機会を確保するために生まれたのが三軍です。

一軍登録人数は2019年に29名に拡大され、近年はコロナ特例で31名の一軍登録が認められています。

また、二軍、三軍に分けたことで練習環境も改善されています。

それぞれにコーチを配置することで、よりコーチの目が届く充実した練習環境を整備することも実現しているのです。

  • ソフトバンクは四軍を設立したことで、四軍監督・四軍コーチも配置しています。
  • オリックスはコーチに「●軍」の肩書きをつけない方針であるため、三軍コーチという役職は存在しませんが、各コーチが柔軟に三軍もチェックしています(そもそも二軍コーチという肩書きも存在しません)

特に広島は三軍の練習試合は少ないですが、二軍が公式戦を行なっている間も三軍はみっちりと練習に打ち込んでおり、選手のレベルに応じた育成が可能になっています。

三軍を採用している球団は5球団!

2024年時点で三軍を採用している球団は5球団です。(ソフトバンクは四軍まであり)

  • オリックス・バファローズ
  • 福岡ソフトバンクホークス
  • 埼玉西武ライオンズ
  • 広島東洋カープ
  • 読売ジャイアンツ

三軍の導入には選手数の拡大、施設の増大、コーチ陣の整備など、手間とお金がかかります。

そのため、すべてのチームが導入しているわけではありませんが、徐々に三軍採用の流れは拡大しています。

それぞれの球団の三軍事情について、以下で紹介します。

オリックス・バファローズ

オリックスの三軍は2021年に始まっています。

2019年育成ドラフトで8名、2020年育成ドラフトで6名を指名し、三軍設立に向けた体制を整えました。

2022年に福良GMは「なにも言っていないんですけどね。3軍を作るなんて(笑)」と語っており、正式に三軍発足は発表されていません。

一方で育成選手や若手を中心に対外試合も組まれており、まさにその実態は三軍です。ファンの間でも「三軍」と認知されています。

本拠地は二軍と同じ舞洲で、大学や社会人、独立リーグを相手に試合を組んでいます。

福岡ソフトバンクホークス

毎年大量の育成選手を指名するソフトバンクは、四軍まで設立しています。

最初に三軍を導入した球団で、2011年から三軍を擁しています。

ソフトバンクの三軍の本拠地はHAWKSベースボールパーク筑後で、二軍の本拠地と同じです。

三軍監督、コーチ(四軍監督、コーチ)も配置しており、練習試合も数多く実施しています。

ホークスのかつての三軍からは、育成ドラフト出身の千賀滉大や甲斐拓也等、日本代表クラスの選手を輩出しています。

埼玉西武ライオンズ

西武は2019年に一度三軍を立ち上げましたが、専任コーチを置かなかったこともあり一度自然消滅しています。

「若手育成の場が必要だ」ということで2023年から正式に三軍が編成されました。

以下のとおり二軍と三軍の枠・目的を明確に分けており、三軍コーチも配置しながら運用されています。

  • 二軍:一軍昇格を目指すアピールの場(試合はファーム公式戦)
  • 三軍:若手育成の場(試合はアマチュアとの試合中心)

読売ジャイアンツ

巨人の三軍の本拠地は二軍と同じ読売ジャイアンツ球場であり、準本拠地として東京都町田市の小野路球場も使用します。

巨人は「TOKYO GIANTS TOWN」構想を発表しており、二軍専用の新球場を設立予定です。
二軍が新球場を使用することで、現在の読売ジャイアンツ球場は三軍専用球場となる予定です。

巨人もソフトバンク同様、三軍監督、コーチを配置しており、対外試合に力を入れています。

広島東洋カープ

広島の三軍はソフトバンク、巨人とは異なり「練習場所」の要素が強く、対外試合は基本的に組まれていません

三軍は二軍本拠地の由宇練習場、大野練習場で練習を行います。

対外試合は組まれないため監督は不在ですが、三軍コーチを配置しており、若手をみっちり鍛え上げます。

広島の三軍は当初は故障選手の「リハビリ施設」としてスタートしましたが、現在は若手の修行の場として確立されています。

拡大されるか?その他の球団の三軍事情

三軍は公式戦が組まれることはありませんので、あくまでも各球団の判断で編成されます。

ソフトバンクや巨人のように三軍監督を置いて編成するケースもあれば、広島のように練習中心のケースもあるのです。

2024年時点で調査した各球団の三軍に対する反応は以下のとおりです。

阪神タイガース2022年株主総会で「検討課題ではあるが、すぐに導入することには至っていない」と回答
広島東洋カープ三軍編成済(練習中心)
横浜DeNAベイスターズ2020年に球団代表が「三軍構想は無い」と発言(近年は育成選手数が増加しており、三軍を期待するファンの声もあり)
読売ジャイアンツ三軍編成済
東京ヤクルトスワローズ公式見解無し(育成選手数も多くはなく、近いうちの編成は困難か)
中日ドラゴンズ公式見解無し
オリックス・バファローズ三軍編成済
千葉ロッテマリーンズ公式見解無し
福岡ソフトバンクホークス三軍編成済(+四軍編成)
東北楽天ゴールデンイーグルス2019年に石井GMが三軍構想を語ったものの、実現しておらず
埼玉西武ライオンズ三軍編成済
北海道日本ハムファイターズ公式見解無し

三軍の編成には以下のようなデメリットがあります。

  • 選手・コーチを増加する必要がある
  • 増加した選手数に対応できる規模の練習・試合施設を用意する必要がある
  • 多くの選手を獲得しても、成功するのはごく一握り
    →単純にクビにするのは簡単だが、それで良いのか?というコンプラ上の問題

要するに三軍の編成には資金力が必要です。

選手をそろえる資金力はもちろん、戦力外になった後のアフターフォローまで考える必要があるのです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

そもそも、日本プロ野球の育成環境は3A~1Aまでの下部組織を持つメジャーリーグと比べても劣っていました。

三軍の注目が高まることで、日本の育成環境が改善し、日本プロ野球のレベルアップにつながることを期待したいですね。

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