野球基礎

【プロ野球育成契約】支配下契約選手との違い・年俸・契約金について解説

オフシーズンを中心に、「育成ドラフト」や「●●選手が育成契約に!」等のニュースが飛び交います。

「育成契約の●●選手が支配下契約に!」という嬉しいニュースを耳にすることもありますよね。

ただそもそも野球観戦初心者の方にとっては、育成契約/支配下契約の違いも良くわからないのではないでしょうか。

当記事では、このような育成契約について分かりやすく解説します。

近年、育成契約から大活躍する選手も増えており、注目のキーワードです。

育成契約とは?

育成契約を理解するためには、まずはその対義語とも言える支配下契約を理解しましょう。

プロ野球には、「支配下登録枠」と呼ばれる一軍出場可能な選手の人数が設定されています

この支配下登録枠は70名であり、この70名の中の1人として契約するのが支配下契約です。

支配下契約を勝ち取ると、一軍出場の権利を得ることができます。

この支配下登録枠には入れないものの、球団から実力を買われて契約をするのが育成契約です。

即戦力とは呼べないまでも、ポテンシャルは高い選手を球団がじっくりと育成し、一軍で通用するレベルになったら支配下契約して一軍登録する、というわけです。

それでは、あらためて育成契約と支配下登録の違いを整理してみましょう。

育成契約選手と支配下登録選手の違い

育成契約選手と支配下登録選手の違いは大きく分けると3点です。

支配下契約育成契約
一軍公式戦に出場できる一軍公式戦には出場できない
背番号は2桁以下背番号は3桁
契約の期限は原則無い一定期間経過後、自動的に自由契約に

それぞれについて順番に解説します。

育成契約選手は一軍の公式戦に出れない

育成契約選手は一軍の公式戦に出場が出来ません。

育成契約選手は二軍、三軍で実力を磨き、支配下契約を目指します。

球団は将来性は見込んでいるものの、現状では一軍では使えないと判断している選手が育成契約となっているのです。

まだ未完成の若手や、怪我明けのリハビリ中の選手が育成契約となるわけです。

育成契約選手の背番号は3桁

育成契約選手は支配下契約選手との見分けがつくように、3桁の背番号を背負います。

100番台や003など、ゼロを使用した番号が選ばれることが多いです。

支配下契約の選手は1番~99番までの背番号を着用しますので、一目で見分けがつきますね。

なお、育成契約選手が支配下契約に昇格した場合、シーズン途中であっても背番号が変更になります。

育成時代の背番号のユニフォームやタオルは貴重なグッズなので、お気に入りの育成選手がいる場合は今のうちにゲットしておきましょう。

育成契約は一定期間経過で自由契約となる

育成契約選手は育成契約が一定期間続くと、自由契約扱いとなります。

自由契約となるまでの期間は支配下選手登録されたことがあるか無いかで決まります。

育成選手の自由契約のルール
  • 支配下選手登録されたことが無い選手
    育成契約期間は最大で3年です。
    当初の契約から3年経過した際、次年度の支配下契約が締結されない場合は自由契約となります。
  • 支配下選手登録されたことがある選手
    育成契約期間は1年です。
    育成契約を締結した次年度に支配下契約が締結されない場合は自由契約となります。

自由契約となった後、再度同じ球団と育成契約を結ぶことも可能です。

また、他球団から支配下契約のオファーがあれば、支配下契約選手として移籍することも可能です。

一定期間経過で自由契約と聞くと、可哀想に思う方もいるかもしれません。

ただ、これは年俸の低い育成契約で選手を長年飼い殺しにすることを防ぐ、選手のための制度と考えられます。

育成契約の年俸・契約金

プロ野球選手とはいえ、育成契約選手の年俸は低いです。

最低年俸は240万円とされており、育成契約選手の年俸は240万円~400万円程度と言われています。

一軍スター選手では億越えの選手も多数誕生する中、大きなギャップがありますね。

育成契約の年俸に上限はありません。

外国人選手を育成契約で連れてくるケースや、支配下契約選手が怪我を理由に育成契約を結ぶ場合等、数千万円以上の年俸の育成契約も存在します。

また、育成契約には契約金もありません。

ドラフト1位指名を受けた支配下契約選手は1億円を超える契約金を受け取ることもありますが、育成契約では約300万円の支度金が支払われるだけとなっています。

この待遇の違いを力に変えて、スター選手に這い上がって行くことが求められるのです。

育成契約までの流れ

育成契約を結ぶまでには、主にに2つのルートが存在します。

ひとつが育成ドラフト、もうひとつが自由契約からの育成契約です。

育成ドラフト

アマチュアから育成契約選手としてプロ野球入りするには、育成ドラフトで指名を受ける必要があります。

例年、通常のドラフト会議の後に開催されます。

育成契約には「支配下枠(70人)」のような人数上限はありませんので、何人でも指名することができます。

四軍構想を立ち上げたソフトバンクは、2021年、2022年と連続で14名の育成選手を指名しました。

育成ドラフトの指名選手が一軍ですぐに活躍することは稀です。

一方で、2022年オリックス育成ドラフト4位の茶野篤政のように、育成ルーキーが開幕スタメンに名を連ねるというケースも生まれました。

自由契約

一度プロ野球に所属した選手は、自由契約を経て支配下契約選手となります。

近年では、怪我で手術をした選手や、戦力外ボーダーラインの選手が一旦自由契約となり、育成選手として再契約されるケースも多いです。

育成契約選手とすることで、FAの人的補償の対象外となるというメリットが球団には存在します。

関連記事:プロテクトと人的補償を徹底解説!補償選手は活躍する?

そのため、手術明けの選手等、一軍の早期復帰が難しい選手は一旦育成契約選手となり、育成契約選手としてプロテクトしています。(球団が堂々とこう言った背景を明かすことはありませんが・・・)

育成契約出身のスター選手

厳しい環境での成長が求められる育成契約選手ですが、見事に大スターへと這い上がった選手たちをご紹介します。

近年は数多くの育成契約選手が活躍しているので、一部抜粋ですが、タイトルホルダーや侍ジャパン戦士を中心に紹介します。

選手名プロ入り球団ドラフト順位主なタイトル
山口鉄也巨人育成1位
(2005年)
・新人王(2008年)
・最優秀中継ぎ投手(2009年、2012年、2013年)
松本哲也巨人育成3位
(2006年)
・新人王(2009年)
・ゴールデングラブ賞(2009年)
岡田幸文ロッテ育成6位
(2008年)
・ゴールデングラブ賞(2011年、2012年)
※2011年にはパ・リーグ新記録となるシーズン外野手連続守備機会無失策(359)を達成
甲斐拓也ソフトバンク育成6位
(2010年)
・ベストナイン(2017年、2020年、2022年)
・ゴールデングラブ賞(2017年~2022年)
・日本シリーズMVP(2018年)
千賀滉大ソフトバンク育成4位
(2010年)
・最多勝(2020年)
・最優秀防御率(2020年)
・最多奪三振(2019年、2020年)
・最高勝率(2017年)
・ベストナイン(2019年、2020年)
・ゴールデングラブ賞(2019年、2020年)
牧原大成ソフトバンク育成5位
(2010年)
侍ジャパン選出のユーティリティープレイヤー
石川柊太ソフトバンク育成1位
(2013年)
・最多勝(2020年)
・最高勝率(2020年)
和田康士朗ロッテ育成1位
(2017年)
・盗塁王(2021年)
周東佑京ソフトバンク育成2位
(2017年)
・盗塁王(2020年、2023年)
宇田川優希オリックス育成3位侍ジャパン選出、WBCで活躍した剛腕

育成出身で活躍する選手の特徴として、一芸に秀でた選手が多いことが分かるのではないでしょうか。

瞬足や強肩、球の速さなど、即戦力ではなくても将来化ける可能性がある選手を中心に指名しているのですね。

育成契約まとめ

ここまでの内容を箇条書きでまとめます。

育成選手の自由契約のルール
  • 育成契約は一軍の試合に出られない
  • 育成契約には期限が設定されている
  • 育成選手は低年俸
  • 育成から這い上がった選手は多数
  • 育成で活躍選手には一芸に秀でた選手が多い

最後までお読みいただきありがとうございました。

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