プロ野球基礎知識

【野球基礎】奪三振率とは?計算方法や歴代記録を解説!

野球には様々な数字が登場します。

打率、出塁率、打点、防御率、勝率 etc・・

近年はセイバーメトリクスと呼ばれる野球に統計学が用いられるようになり、さらに複雑な数字も誕生しました。

セイバーメトリクスとは?野球で用いられる統計指標の基礎を解説!近年、プロ野球でセイバーメトリクスという単語を聞く方は多いのではないでしょうか。セイバーメトリクスとは、野球に統計学を持ち込んだ分析手法です。データ野球が活発化してくる中で注目度が高まっています。当記事では、セイバーメトリクスとは何か?という解説と、主要な指標をご紹介します。...

とはいえ、野球に詳しくない方にとってはそれぞれの数字の意味、計算方法もサッパリ分かりませんよね。

当サイトでは、野球観戦初心者に向けて、野球に関する数字を簡単に解説します。

当記事のテーマは投手の奪三振率です。

計算方法や歴代記録について解説します。

 

奪三振率とは?

奪三振率とは、1試合平均(=9イニング平均)の奪三振数です。

投手が1試合を完投した場合、いくつの三振を奪うことが出来るか、を表しています。

ペース配分を考えながら長いイニングを投げる先発投手よりも、短いイニングを全力投球できるリリーフ投手の方が奪三振率は高くなる傾向があります。

奪三振率は7.5を超えると高いと評価され、9(1イニングに1つは三振を取る)を超えると奪三振投手と評価されます。

なお、奪三振数は日本プロ野球機構(NPB)により公式に記録されますが、奪三振率は公式記録ではなく、タイトル(表彰)の対象にもなっていません。

 

奪三振率の計算方法

奪三振率の計算方法は以下の通りです。

<奪三振率の計算式>
奪三振数 × 9 ÷投球回

1試合あたりの平均を算出するだけの、簡単な計算式ですね。

 

 

歴代奪三振記録の奪三振率を計算してみる

ここでは、公式記録として記録されている、「奪三振数」の記録保持者の奪三振率を比較してみます。

意外な結果を発見することが出来ました。ぜひご覧ください。

通算奪三振記録を調査

奪三振記録では、不滅の奪三振数4490を誇る金田正一や米田哲也など、昭和のレジェンド選手たちの名前がずらりと並びます。

当時は先発完投、連投が当たり前の時代で、奪三振数以上にその積み重ねた投球回数が異常な数字となっています。

通算奪三振数トップ20は以下の通りです。

順位 投手 奪三振 実働期間 投球回
1 金田 正一 4490 1950-1969 5526.2
2 米田 哲也 3388 1956-1977 5130
3 小山 正明 3159 1953-1973 4899
4 鈴木 啓示 3061 1966-1985 4600.1
5 江夏 豊 2987 1967-1984 3196
6 梶本 隆夫 2945 1954-1973 4208
7 工藤 公康 2859 1982-2010 3336.2
8 稲尾 和久 2574 1956-1969 3599
9 三浦 大輔 2481 1992-2016 3276
10 村田 兆治 2363 1968-1990 3331.1
11 山本昌 2310 1986-2015 3348.2
12 村山 実 2271 1959-1972 3050.1
13 小野 正一 2244 1956-1970 2909
14 杉内 俊哉 2156 2002-2015 2091.1
15 石井 一久 2115 1992-2013 2153.1
16 槙原 寛己 2111 1983-2001 2485
17 川口 和久 2092 1981-1998 2410
18 西口 文也 2082 1995-2015 2527.2
19 山田 久志 2058 1969-1988 3865
20 平松 政次 2045 1967-1984 3360.2

 

それでは、この20名を奪三振率で並び替えるとどうなるでしょうか。

奪三振率
順位
奪三振数
順位
投手 奪三振 実働期間 投球回 奪三振率
1 14 杉内 俊哉 2156 2002-2015 2091.1 9.28
2 15 石井 一久 2115 1992-2013 2153.1 8.84
3 5 江夏 豊 2987 1967-1984 3196 8.41
4 17 川口 和久 2092 1981-1998 2410 7.81
5 7 工藤 公康 2859 1982-2010 3336.2 7.71
6 16 槙原 寛己 2111 1983-2001 2485 7.65
7 18 西口 文也 2082 1995-2015 2527.2 7.41
8 1 金田 正一 4490 1950-1969 5526.2 7.31
9 13 小野 正一 2244 1956-1970 2909 6.94
10 9 三浦 大輔 2481 1992-2016 3276 6.82
11 12 村山 実 2271 1959-1972 3050.1 6.70
12 8 稲尾 和久 2574 1956-1969 3599 6.44
13 10 村田 兆治 2363 1968-1990 3331.1 6.38
14 6 梶本 隆夫 2945 1954-1973 4208 6.30
15 11 山本昌 2310 1986-2015 3348.2 6.21
16 4 鈴木 啓示 3061 1966-1985 4600.1 5.99
17 2 米田 哲也 3388 1956-1977 5130 5.94
18 3 小山 正明 3159 1953-1973 4899 5.80
19 20 平松 政次 2045 1967-1984 3360.2 5.48
20 19 山田 久志 2058 1969-1988 3865 4.79

 

トップにはホークス、ジャイアンツで活躍した杉内がトップに立ちました。

奪三振数では14位につけた杉内が奪三振率では1位、奪三振数では15位につけた石井一久が奪三振率2位、と比較的近年に活躍した投手が奮闘しています。

これは昭和と平成で投手の役割が変わったことも影響しているでしょう。

昭和の投手は先発完投が当たり前の時代ですので、多少打ち込まれても長いイニングを投げています。投球イニングが長くなるため、奪三振の個数は積み重なりますが、疲れた状態でも投球を続けたため、試合終盤は三振を奪うことが難しくなり、「率」は下がったものと推測できます。

一方、杉内や石井ら、平成の投手は先発/リリーフの分業が進んだ時代の投手ですので、調子が悪い場合や球数が多くなった場合は比較的短いイニングで降板することもありますので、昭和の投手に比べていい状態でマウンドに立つことが多かったと言えます。

イニング数は昭和の投手には敵いませんが、奪三振率では平成の投手に軍配が上がる、という結果になるのですね。

実際に現役投手では千賀滉大や大谷翔平など、高い奪三振率を誇る投手が続々と生まれています。

 

シーズン奪三振記録を調査

シーズン奪三振記録も歴代記録同様に比較してみましょう。

こちらもやはり奪三振数では長いイニングを投げていた昭和の投手がランクインしています。

順位 投手 当時所属 奪三振 年度 投球回
1 江夏 豊 阪 神 401 1968 329
2 稲尾 和久 西 鉄 353 1961 404
3 金田 正一 国 鉄 350 1955 400
4 江夏 豊 阪 神 340 1970 337.2
5 杉浦 忠 南 海 336 1959 371.1
6 稲尾 和久 西 鉄 334 1958 373
7 梶本 隆夫 阪 急 327 1956 364.1
8 稲尾 和久 西 鉄 321 1959 402.1
9 杉浦 忠 南 海 317 1960 332.2
10 金田 正一 国 鉄 316 1956 367.1
11 金田 正一 国 鉄 313 1959 304.1
12 秋山 登 大 洋 312 1957 406
13 金田 正一 国 鉄 311 1958 332.1
14 権藤 博 中 日 310 1961 429.1
15 金田 正一 国 鉄 306 1957 353
16 鈴木 啓示 近 鉄 305 1968 359
17 西村 一孔 阪 神 302 1955 295.1
18 梶本 隆夫 阪 急 301 1957 337.1
19 土橋 正幸 東 映 298 1961 393
20 亀田 忠 黒 鷲 297 1940 456.2
21 村山 実 阪 神 294 1959 295.1
22 稲尾 和久 西 鉄 288 1957 373.2
23 金田 正一 国 鉄 287 1963 337
23 野茂 英雄 近 鉄 287 1990 235
23 野茂 英雄 近 鉄 287 1991 242.1
26 鈴木 啓示 近 鉄 286 1969 330.2
27 金田 正一 国 鉄 284 1960 320.1
28 スタルヒン 巨 人 282 1939 458.1
29 野茂 英雄 近 鉄 276 1993 243.1
29 ダルビッシュ 有 日本ハム 276 2011 232

 

この30名を奪三振率で入れ替えると、以下のとおりに順番がガラリと入れ替わります。

奪三振率
順位
奪三振数
順位
投手 当時所属 奪三振 年度 投球回 奪三振率
1 23 野茂 英雄 近 鉄 287 1990 235 10.99
2 1 江夏 豊 阪 神 401 1968 329 10.97
3 29 ダルビッシュ 有 日本ハム 276 2011 232 10.71
4 23 野茂 英雄 近 鉄 287 1991 242.1 10.67
5 29 野茂 英雄 近 鉄 276 1993 243.1 10.22
6 11 金田 正一 国 鉄 313 1959 304.1 9.26
7 17 西村 一孔 阪 神 302 1955 295.1 9.21
8 4 江夏 豊 阪 神 340 1970 337.2 9.07
9 21 村山 実 阪 神 294 1959 295.1 8.97
10 9 杉浦 忠 南 海 317 1960 332.2 8.59
11 13 金田 正一 国 鉄 311 1958 332.1 8.43
12 5 杉浦 忠 南 海 336 1959 371.1 8.15
13 7 梶本 隆夫 阪 急 327 1956 364.1 8.08
14 6 稲尾 和久 西 鉄 334 1958 373 8.06
15 18 梶本 隆夫 阪 急 301 1957 337.1 8.04
16 27 金田 正一 国 鉄 284 1960 320.1 7.99
17 3 金田 正一 国 鉄 350 1955 400 7.88
18 2 稲尾 和久 西 鉄 353 1961 404 7.86
19 15 金田 正一 国 鉄 306 1957 353 7.80
20 26 鈴木 啓示 近 鉄 286 1969 330.2 7.80
21 10 金田 正一 国 鉄 316 1956 367.1 7.75
22 23 金田 正一 国 鉄 287 1963 337 7.66
23 16 鈴木 啓示 近 鉄 305 1968 359 7.65
24 8 稲尾 和久 西 鉄 321 1959 402.1 7.18
25 22 稲尾 和久 西 鉄 288 1957 373.2 6.95
26 12 秋山 登 大 洋 312 1957 406 6.92
27 19 土橋 正幸 東 映 298 1961 393 6.82
28 14 権藤 博 中 日 310 1961 429.1 6.50
29 20 亀田 忠 黒 鷲 297 1940 456.2 5.86
30 28 スタルヒン 巨 人 282 1939 458.1 5.54

 

奪三振率で並び替えると、野茂やダルビッシュなど、平成の投手もやはり上位に顔を出してきましたね。

なお、上記の表は奪三振数の上位30名を並び替えたものなのでそもそもランクインしていませんが、シーズン奪三振記録は1998年石井一(ヤクルト)の11・05が記録されています。

奪三振率まとめ

ここまでの内容を箇条書きでまとめます。

・奪三振率とは、1試合平均(=9イニング平均)の奪三振数です。

・奪三振数 × 9 ÷投球回で算出される

・奪三振数は昭和の投手が多くランクインするが、奪三振率で並び替えると平成の投手も多く名を連ねる