プロ野球基礎知識

【図解・野球用語】フロントドア/バックドアとは?【近年注目の「ドア系」配球を解説】

 

野球中継で良く使われる、フロントドア・バックドアってどういう意味?

ここ数年で急速に日本で普及した「フロントドア/バックドア」という野球用語。

最近では野球中継でも当たり前のように使用される用語ですが、意味がよくわからないという方もいるのではないでしょうか。

当記事では、フロントドア/バックドアの意味について解説し、日本でこの単語が普及した経緯をご紹介します。

 

筆者のプロフィール

野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。

 

フロントドア・バックドアとは配球を表す用語

フロントドア・バックドアとは、配球を表す野球用語です。

フロントドアとバックドアをまとめて「ドア系」のボールと呼ぶこともあり、ドア系のボールはボールゾーンからストライクゾーンに曲がる変化球を指しています。

インコースのボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる投球をフロントドア

アウトコースのボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる投球をバックドア

と呼びます。

 

フロントドアとは

インコースのボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる投球がフロントドアです。

以下の図は左打者の例ですが、
右投手ならシンカーやツーシーム、左投手ならスライダーやカットボールで内側から食い込むような投球となります。(右打者の場合は逆になります)

打者目線ではフロントドアの投球は、体に向かってくるボールに見えます。

キレのあるフロントドアの投球は、体に当たるように感じられるため、打者の腰は引けてしまうでしょう。

そこからストライクゾーンに曲がるわけですが、打者が腰の引けた状態でスイングしても強いスイングをすることは出来ません。

これがフロントドアのメリットで、フロントドアは決め球として使われるケースも多いです。

フロントドアのメリット

・ボールゾーンからストライクゾーンに曲がることで見逃しを奪う
・打者の腰を引き、弱いスイングで凡打に打ち取る

 

この投球ができれば、投手は非常に楽になりますが、そう簡単な話でもありません。

フロントドアのつもりで投げた投球が甘く入ってしまうと、インコースからど真ん中に曲がるホームランボールになってしまう訳です。

もちろん、デッドボールのリスクもあります。
見逃し三振のつもりで投げたフロントドアがデッドボールになってしまう、というのは珍しいことではありません。

これがフロントドアのデメリットです。まさに諸刃の剣という訳ですね。

 

バックドアとは

アウトコースのボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる投球がバックドアです。

要するに、フロントドアとは真逆という訳ですね。

以下の図は左打者の例ですが、
右投手ならスライダーやカットボール、左投手ならシンカーやツーシームで外側から入っていく投球となります。(右打者の場合は逆になります)

打者目線ではバックドアの投球は、遠いボール球に見えます。

フロントドアのように打者の腰を引くことは難しいですが、初球からはなかなか手を出すのが難しいボールであるため、ストライクを取るカウント玉として使われることは多いです。

バックドアのメリット

・ボールゾーンからストライクゾーンに曲がることで見逃しを奪う
・カウント玉として使用しやすい

デメリットはフロントドアと同様、甘く入ってしまうとホームランにされてしまうリスクも抱えています。

 

フロントドア/バックドアが普及した経緯

近年、フロントドア・バックドアという単語が球速に普及していますが、どのような経緯で普及したのでしょうか。

2013年WBCではフロントドアの前に日本打線は沈黙

フロントドア/バックドアの投球は、もともとメジャーリーグでは一般的でしたが、日本では珍しい投球スタイルでした。

日本人の印象に残っているのは、2013年のWBCで日本と対戦した台湾のエース王建民ではないでしょうか。

当時メジャーリーガーの王建民は典型的なシンカーボーラーで、左打者へのフロントドアピッチングを得意としていました。

メジャーリーグでは一般的な投球スタイルでしたが、日本では珍しい球筋に日本打線は苦戦します。
左打者の胸元からストライクゾーンに曲がるシンカーの前に、6回無失点と抑え込まれました。

延長戦の末、日本は勝利をおさめたものの、この王建民の投球は多くの日本人の記憶に残っているのではないでしょうか。

 

流行の火付け役はカープへ復帰した黒田

2013年WBCではフロントドアの前に苦戦した日本でしたが、この日本でフロントドア/バックドアが普及するきっかけとなったのが黒田博樹です。

メジャーリーグからカープへ「男気復帰」を果たした黒田は、メジャー移籍をきっかけに投球スタイルを変化させていました。

ツーシーム(高速シンカー)を主体に、スライダー、カーブ、フォークで打たせて取るピッチングスタイルです。

中でも対左打者に投じるフロントドアのツーシームは見事で、数々の美しい見逃し三振を奪いました。

この黒田の投球をきっかけにフロントドア/バックドアに注目が集まり、単語としても普及し始めています。

「イッツゴーン」・近藤アナも一役買っている?

スポーツ専門チャンネル「GAORA」で日本ハム主催試合の実況を担当している近藤祐司アナも、フロントドア/バックドアの普及に一役買っているかもしれません。

近藤アナと言えば、ホームラン時に「イッツゴーン!」と実況する等、独特な言い回しで有名なアナウンサーです。

パ・リーグ中継をよく見る方にはお馴染みのアナウンサーですね。

この独特な言い回しはメジャーリーグの現地中継でよく聞かれる用語を使ったものです。

近藤アナはフロントドア/バックドアという単語も頻繁に使用しており、フロントドア/バックドアの普及に一役買っていると言えるのではないでしょうか。

 

フロントドア/バックドア まとめ

ここまでの内容を箇条書きでまとめます。

・インコースのボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる投球をフロントドア

・アウトコースのボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる投球をバックドア

・フロントドアは決め球、バックドアはカウント玉として使われるケースが多い

・ドア系投球は甘く入った場合に痛打されるリスクがある諸刃の剣

・日本への普及のきっかけは黒田博樹