野球基礎

【プロ野球/外国人枠】一軍人数は4人?日本人扱い?仕組みを簡単に解説【2024年更新】

プロ野球には「助っ人外国人」と呼ばれる外国人選手がプレーしています。

外国人選手は主力選手として獲得されることが多く、彼らの活躍がチーム順位の鍵を握ると言っても過言ではありません。

当記事では、プロ野球における外国人選手についてのルールを解説します。

外国人枠については日本プロフェッショナル野球協約によって定められており、ポイントは「一軍登録可能人数」と「日本人選手扱い」です。

日本プロフェッショナル野球協約

日本野球機構(NPB)が日本プロ野球の選手契約等の手続きを定めた協約で、野球協約と呼ばれています。
選手契約やドラフト会議等について定められています。

外国人選手の一軍登録可能人数は4人

外国人枠の制限については、1952年の外国人枠ルール制定以降、繰り返し見直されてきていますが、2002年以降は、投手・野手を合わせて合計4人までとなっています。

そのうえでポイントとなるのは以下のようなルールです。

  • 野手4人、投手4人の布陣はNG
  • 支配下登録枠は制限なし
  • 感染拡大防止特例で+1枠

それぞれについて解説します。

野手4人、投手4人の布陣はNG

外国人枠は投手・野手を合わせて合計4人ですので、4人までなら一軍で起用が可能です。

ただし、この4人の枠をすべて野手、すべて投手で埋めることは認められていません

外国人打者4人を並べた打線や、外国人投手を4人そろえた先発ローテーション等はNGということですね。

そのため、外国人枠をフル活用する起用法は以下の3パターンとなります。

  • 野手3枠、投手1枠
  • 野手1枠、投手3枠
  • 野手2枠、投手2枠

※もちろん、外国人枠を最大まで使用しないことも可能です(野手3枠、投手0枠、計3枠など)

支配下登録枠は制限なし

外国人選手の一軍起用は4枠と限られているものの、支配下登録枠には制限はありません。

古くは支配下登録も3人や2人の制限が存在しましたが、1996年以降は支配下契約は自由です。

とはいえ、支配下登録人数自体の上限が70名ですので、支配下契約される外国人選手は4、5名~多くても7、8名であることが一般的です。

また、外国人選手であっても育成契約は可能です。

感染拡大防止特例で+1枠

新型コロナウイルスの影響により特別ルール「感染拡大防止特例」が2020年に定められており、2024年シーズンでも継続しています。

細かい規定は2020年から少しずつ変わってきていますが、現在の主な内容は以下のとおりです。

コロナ特例下の外国人枠
  • 4人の外国人枠を5人に拡大
  • 【従来通り】1試合のベンチ入りは4人まで
  • 【従来通り】投手4人・野手4人に偏ってのベンチ入りは不可
  • 4人以上同時に一軍登録する場合は全員を投手/野手とすることは不可

この特例により、外国人先発投手が先発する日だけは、外国人のリリーフを休養させる等の運用が可能となっています。

外国人枠の例外(日本人扱い)

そもそも、外国人選手とはどのような選手を指しているのでしょうか。

外国国籍の選手が一律、外国人枠となるわけではなく、野球協約で外国人枠の例外となるケースが定められています。

このケースに該当すると、外国国籍の選手であっても日本人選手としてプレーが可能です。

<野球協約で定められている外国人枠の例外>

ドラフト会議を経て入団するケース

・日本の中学校・高等学校・短期大学・専門学校に通算3年以上在学
・日本の大学に継続して4年以上在学
・日本に5年以上居住したうえで、社会人野球チームに通算3年以上在籍
・契約前の在学期間と日本のプロ野球の在籍年数の合計が5年以上経過

ドラフト会議を経て入団しないケース

・日本プロ野球でフリーエージェント(FA)の資格を取得

また、もともとは外国人選手としてプレーしていても、日本に帰化し、日本国籍を取得すると外国人枠から外れることが出来ます。

ドラフト会議を経て入団するケース

日本に在籍・在学した経歴があれば、ドラフト会議を経て日本人選手として契約することが可能です。

入団時から日本人としてプレーするため、「助っ人外国人」とはイメージが異なりますね。

日本の中学校・高等学校・短期大学・専門学校に通算3年以上在学

日本の中学校・高校・短大・専門学校に通算で3年以上在学した状態で、ドラフト会議の指名を受けると日本人選手としての入団が可能です。

日本人扱いとしてプレーする外国人選手は、このパターンが最も多くなっています。

日ハム、巨人で活躍した陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)が有名ですね。

陽岱鋼の兄・陽耀勲(ヤン・ヤオシュン)もソフトバンク等、NPBでプレーしていますが、日本での在学経験が無かったため外国人枠扱いでした。

このように、兄弟でも取り扱いが異なるケースがあるのですね。

日本の中学校・高校・短大・専門学校に通算で3年以上在学し、日本人選手扱いとなった選手は以下の通りです。

近年では、台湾代表としてプレミア12でベストナイン投手に輝いた張奕も日本人選手扱いですね。

選手名出身出身学校ドラフト指名所属球団
(NPB)
ケネス・ハワード・ライトオーストラリア岡山東商業高等学校 1971年
ドラフト4位
阪急
林威助台湾柳川高等学校
近畿大学
 2002年
ドラフト7位
阪神
瀬間仲ノルベルトブラジル日章学園高等学校 2002年
ドラフト7位
中日
陽岱鋼台湾福岡第一高等学校2005年
高校生ドラフト1位
日本ハム
巨人
李杜軒台湾岡山県共生高等学校 2006年
高校生ドラフト4位
ソフトバンク
ロッテ
朱大衛中国中部大学第一高等学校 2006年
高校生ドラフト3位
西武
金無英韓国早鞆高等学校
福岡経済大学
2008年
ドラフト6位
ソフトバンク
楽天
蕭一傑台湾日南学園高等学校
奈良産業大学
 2008年
ドラフト1位
阪神
申成鉉韓国京都国際高等学校 2008年
ドラフト4位
広島
金伏ウーゴブラジル佐野日本大学高等学校
白鴎大学
 2011年
育成ドラフト2位
ヤクルト
巨人
ルシアノ・フェルナンドブラジル桐生第一高等学校
白鴎大学
2014年
ドラフト4位
楽天
呉念庭台湾岡山県共生高等学校
第一工業大学
2015年
ドラフト7位
西武
廖任磊台湾岡山県共生高等学校2016年
ドラフト7位
巨人
西武
張奕台湾福岡第一高等学校
日本経済大学
2016年
育成ドラフト1位
オリックス
西武

日本の大学に継続して4年以上在学

高校までに日本での在学経歴が無くても、大学に4年間在学していれば日本人選手扱いでの入団が可能です。

このケースで入団した選手は以下の4選手です。

選手名出身国出身大学ドラフト指名所属球団
大豊泰昭 台湾名古屋商科大学 1988年
ドラフト2位
中日
阪神
大順将弘 台湾名古屋商科大学ドラフト外
(練習生)
ロッテ
ラファエル・フェルナンデスブラジル白鴎大学 2008年
育成ドラフト1位
ヤクルト
仲尾次オスカルブラジル白鴎大学2015年
ドラフト5位
広島

日本に5年以上居住したうえで、社会人野球チームに通算3年以上在籍

在学経歴が無い場合も、日本人選手としての契約は可能です。

このパターンでNPB入りした選手は広島で活躍したブラジル出身の玉木重雄のみです。

1990年に来日し、1995年ドラフト3位で広島に入団しています。

契約前の在学期間と日本のプロ野球の在籍年数の合計が5年以上経過

日本在学期間が足りていなくても、ドラフト会議で指名がかかれば、日本人選手扱いのチャンスはあります。

このパターンが唯一適用されたのが、2011年に中日へ入団した宋 相勲(ソン・サンフン)です。

2008年に来日した宋は福井工大福井高に在学していたものの、怪我のため2年生時に帰国したため、日本人選手扱いとなるためには期間が足りていませんでした。

一方で、日本でプレーした経緯があるため、2011年のドラフト会議で中日から指名がかかり入団。この特例が適用されました。
(宋は2014年に戦力外となっており、1軍でプレーすることはありませんでした)

ドラフト会議を経て入団しないケース

ドラフト会議を経ずにNPBに入団した外国人選手、いわゆる助っ人外国人が日本人扱いとなるためには、FA権を取得する必要があります。

日本プロ野球でフリーエージェント(FA)の資格を取得

過去、FA権を取得したことで日本人扱いとなった選手は9選手です。

2019年、ヤクルトからソフトバンクに移籍したバレンティンが9人目の日本人扱い選手となっています。

FA権を取得するためには、一軍で8シーズン以上プレーする必要があります。

外国人選手で契約を勝ち取り続けるのは至難の業なので、このパターンで日本人扱いとなった選手にはレジェンド級の選手がずらりと並びますね。

選手名出身国NPB所属球団FA権取得年
郭泰源 台湾西武1996年
タフィ・ローズアメリカ近鉄
巨人
オリックス
2004年
アレックス・ラミレスベネズエラヤクルト
巨人
DeNA
2008年
アレックス・カブレラベネズエラ西武
オリックス
ソフトバンク
2009年
ブライアン・シコースキーアメリカロッテ
巨人
ヤクルト
ロッテ
西武
2010年
許銘傑 台湾西武
オリックス
2011年
ホセ・フェルナンデスドミニカロッテ
西武
楽天
オリックス
2011年
ジェイソン・スタンリッジアメリカソフトバンク
阪神
ロッテ
2017年
ランディ・メッセンジャーアメリカ阪神2018年
ウラディミール・バレンティンオランダヤクルト2019年
ダヤン・ビシエドキューバ中日2023年

日本に帰化するケース

稀なケースですが、日本に帰化したことで、日本人となった選手も存在します。

この場合は、日本国籍を取得していますので、野球協約とは関係なく当然に日本人扱いとなります。

以下4選手がこのケースに該当します。

選手名出身所属帰化年
三宅宗源 台湾ロッテ
巨人
1981年
郭源治 台湾中日1989年
荘勝雄 台湾ロッテ1991年
松元ユウイチブラジルヤクルト2004年

プロ野球における外国人枠まとめ

ここまでの内容を箇条書きでまとめます。

  • 外国人選手の一軍登録は4選手まで。全員を野手、投手でそろえるのはNG
  • 支配下登録の人数は自由
  • 外国籍の選手でも、日本人扱いとなる例外があり。
  • 日本に帰化したことで日本人扱いとなった選手も4選手存在。

<野球協約で定められている外国人枠の例外>

ドラフト会議を経て入団するケース

・日本の中学校・高等学校・短期大学・専門学校に通算3年以上在学
・日本の大学に継続して4年以上在学
・日本に5年以上居住したうえで、社会人野球チームに通算3年以上在籍
・契約前の在学期間と日本のプロ野球の在籍年数の合計が5年以上経過

ドラフト会議を経て入団しないケース

・日本プロ野球でフリーエージェント(FA)の資格を取得

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