プロ野球基礎知識

現役ドラフトとは?日本版のルール・対象選手を考察【ルール5ドラフト】

 

最近、プロ野球に現役ドラフトの導入を検討しているってニュースを見たけど、何が始まろうとしてるの?

最近、スポーツニュースで目にするようになった現役ドラフト
プロ野球選手会主導で導入が検討されており、ブレイクスルードラフトと仮の名前もつけられています。

いわゆる「飼い殺し」状態の選手を救済する仕組みですが、どのような仕組みなのか、ピンときていない方も多いのではないでしょうか。

現役ドラフトはメジャーリーグではルール5ドラフトとして定着しており、一定の成果を残しています。

当記事では、このルール5ドラフトのルールを解説したうえで、日本版の現役ドラフトのルール・条件を考察します。

 

筆者のプロフィール

野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。

 

まずはメジャーリーグ版現役ドラフトを解説

現役ドラフトとは、他球団で出場機会に恵まれない選手を戦力として獲得する仕組みです。

いわゆる「飼い殺し」状態を防ぐ仕組みとして注目されており、メジャーリーグではルール5ドラフトとして定着しています。

日本においても、このルール5ドラフトを参考に現役ドラフトとして制度化を検討しています。

まずはメジャーリーグのルール5ドラフトについて解説します。

ルール5ドラフトのルール

メジャーリーグベースボール規約第5条に定められているため、ルール5ドラフトと呼ばれています。

ルール5ドラフトのルール

<開催概要>
・毎年12月に実施される
・指名したチームは元チームに約1,000万円を支払う
・指名したチームは、指名した選手を翌シーズン全期間、25人枠に登録する必要がある。
・25人枠から外す場合、指名した選手を元チームに返還する必要がある。

<指名対象選手>
・メジャーの40人枠に登録されていない選手(=マイナー契約選手)のみ指名が可能
・18歳以下で入団した選手で、在籍年数5年未満の選手は指名不可
・19歳以上で入団した選手で、在籍年数4年未満の選手は指名不可。

40人枠と25人枠

25人枠・・メジャーリーグ公式戦に出場可能な選手。日本でいう一軍。

40人枠・・メジャー契約選手。日本でいう支配下登録選手。公式戦出場可能な25人枠と順次入れ替わる。(40人枠には25人枠の選手も含まれる)

メジャーリーグにはマイナーリーグを含めると非常に多くの選手が所属しています。

一方で、メジャー契約を得られるのは各チーム40と限られています。

選手層が厚いチームでは、有望な選手であっても40名枠に入れないケースがあるのです。

このように、チーム事情でメジャーリーグに昇格出来ない選手を救済する仕組みがルール5ドラフトです。

安易に他球団の選手を引き抜くことを防ぐため、指名した選手は翌シーズンは25人枠に入れる必要があるなど、良く考えられた仕組みと言えますね。

 

 

ルール5ドラフト の成果

メジャーリーグのルール5ドラフト からは、スーパースターも誕生しています。

また、日本で活躍した外国人選手の中には、このルール5ドラフト経験者が多数います。

ルール5ドラフトで花開いたスーパースター

ルール5ドラフト をきっかけにスーパースターに上り詰めた選手は何人も存在します。

ルール5ドラフト経験スター選手

ヨハン・サンタナ・・サイ・ヤング賞

ダン・アグラ・・シルバースラッガー賞

ジョシュ・ハミルトン・・MVP選手

ロベルト・クレメンテ・・野球殿堂入り

これほどの選手が、かつてはマイナーリーグでくすぶっていた時期があるのです。

その他にも、ルール5ドラフトはオールスター級の選手を多数輩出しています。

日本で活躍した外国人も多数

日本プロ野球に助っ人外国人としてやってきた選手の中にも、ルール5ドラフト経験者は存在します。

ルール5ドラフト経験者

DJホールトン

トニ・ブランコ

エクトル・ルナ

DJカラスコ

ジャバリ・ブラッシュ

現在楽天で活躍するブラッシュを始め、日本で実績を残した外国人にはルール5ドラフト経験者がいるのですね。

 

日本版現役ドラフトのルールはどうなる?

日本プロ野球で導入を検討している現役ドラフトは、ルール5ドラフトを参考にしているものの、そもそもメジャーリーグと日本プロ野球ではリーグの規模も異なりますので、全く同じ制度というわけにはいかないでしょう。

調整中であるため明確なルールは公開されていませんが、2020年8月から導入する方針であることが2020年1月時点で報じられています。

新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年8月の導入は見送られる可能性が高いでしょう。

 

日本版現役ドラフトは「ブレイクスルードラフト」と仮称が与えられており、その名の通り「殻を破る」選手が出てくることが期待されます。

1球団8選手を指名対象とする案を骨子に検討が進んでいるとみられており、今後対象となる選手の条件などが公開されると思われます。

 

日本で現役ドラフトの対象選手を決めるのが難しい理由

日本プロ野球では、対象選手の条件をどうするか、というのが一つの課題になります。

日本プロ野球には、マイナーリーグに相当するリーグが存在しません。

強いて言うなら支配下登録選手ではない育成枠がマイナーリーグに相当するとも考えられますが、その規模は小さいです。

メジャーリーグのルール5ドラフトではマイナーリーグ所属の選手が対象となりますので、指名対象は豊富です。

さらに、ルール5ドラフト の対象外の40人枠はメジャー契約なので、簡単にはマイナー契約選手と入れ替わることはありません。

一方、日本プロ野球では育成枠を現役ドラフトの対象としたところで、そもそも育成選手の数は限られているので、現役ドラフトの活性化は難しいでしょう。

二軍選手を対象としたとしても、日本プロ野球の一軍と二軍は契約上は同じ支配下登録選手です。

メジャーリーグの40人枠とマイナーリーグに比較すると、日本プロ野球の一軍と二軍の入れ替えは容易です。

各球団が現役ドラフト対策で、無理矢理一軍登録してしまうことも想定されます。

こういった点を考慮して、日本プロ野球における現役ドラフトの対象選手は、単純に「育成枠」「二軍」などの枠組みではなく、「一軍出場●●試合未満」などの条件になるものと思われます。

また、球団が対象選手をリストアップする案も浮上しているようです。

いずれにしても、選手のためになる制度になることを期待したいですね。