野球において、フライを捕球すると打者がアウトになることは多くの方がご存じでしょう。
では、「捕球」とは具体的にどのように定義されているかご存じでしょうか。
一度グラブに収まったボールを落としてしまった場合、判定はアウトになるのでしょうか。
捕球をめぐるプレーはプロ野球の判定においてもしばしば問題になります。
当記事では、フライキャッチの判定における、「完全捕球」と「落球」の定義を分かりやすく解説します。
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
公認野球規則「捕球と落球の定義」
野球のルール上は捕球と落球はどのように線引きされているのでしょうか。
まずは公認野球規則をご覧ください。
以下は公認野球規則2.15(捕球)の一部抜粋です。
野手がボールを受け止めた後、これに続く送球動作に移ってからボールを落とした場合は、〝捕球〟と判定される。
要するに、野手がボールを手にした後、ボールを確実につかみ、かつ意識してボールを手放したことが明らかであれば、これを落とした場合でも〝捕球〟と判定される。公認野球規則2.15(捕球)一部抜粋
簡単に整理してみましょう。
- ボールを確実につかんでいる
- 意識してボールを手放している(≒送球動作に入っている)
⇒この条件に一致する場合、捕球は認められます。(これを完全捕球と呼んでいます)
ボールをキャッチした後、次の動作に移る中でボールを落としても、捕球は認められるというわけですね。
完全捕球の判定はプロの目でも難しい
公認野球規則を読んでみても、難しい印象を持ったのではないでしょうか。
規則は非常にあいまいで、プロの審判でもこの判定は難しいと言われています。
ボールを確実につかみ、次の動作に入っていれば完全捕球が認められるわけですが、これは審判の主観に委ねられています。
以下の動画をご覧ください。
この安達のプレーはエラーと判定されていますが、見方によってはボールを確実につかみボールを持ち替える際に落としたようにも見えます。
ボールを持ち替える際に落としたのであれば、それは送球動作の一部なので、捕球は認められるはずです。
審判はキャッチする際にファンブルしたと判断したものと思われますが、実際にファンからは「完全捕球ではないか」という声も多数上がりました。
完全捕球が話題となった事例(2014年高校野球)
完全捕球と落球をめぐるプレーとして有名な事例をひとつご紹介します。
2014年夏 高校野球愛知県大会準決勝 東邦vs豊田西
- 7回、3-1でリードする東邦がチャンスを作り2死1,2塁
- バッターの打った打球はセンターへ
- センターが打球をキャッチした後、落球
- 一度はグラブに収まっていたことから守る豊田西ナインはベンチに引き上げた
⇒このプレーが完全捕球ではなく、落球と判定
⇒落球の判定に気が付いていた東邦は打者走者含めて3人がホームに生還、3点を奪い、リードを広げた東邦はそのまま勝利
完全捕球か否か、という判定が試合の勝敗を左右した珍しい事例です。
完全捕球と落球のまとめ
完全捕球の定義をあらためておさらいしましょう。
- ボールを確実につかんでいる
- 意識してボールを手放している(≒送球動作に入っている)
⇒この条件に一致する場合、捕球は認められます。(これを完全捕球と呼んでいます)
当サイトでは、このような野球に関するルールを多数扱っています。
以下の記事では、中上級者向けの野球のルールを解説しています。
17問の野球のルールクイズもついてますので、野球の知識に自信のある方はぜひ試してみてくださいね。