シーズン終盤の9月頃になると、スポーツ紙面を賑わし始めるのが「引退」の話題です。
長年実績を残したスター選手には、引退セレモニー・引退試合の機会が与えられます。
当記事では、引退セレモニー・引退試合について解説します。
筆者のプロフィール
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
引退セレモニー・引退試合とは?
引退セレモニー・引退試合とは、引退を決意した選手に最後にファンの前で挨拶やプレーする機会が用意されるものです。
引退を決意した選手全てにこの機会が与えられるわけではなく、功労者、スター選手にのみ与えられる特権です。
引退セレモニーと引退試合は同時に行われることが多いですが、引退セレモニーと引退試合は別物です。
以下、それぞれを分けて解説します。
引退セレモニーとは?
引退セレモニーの内容は球団、選手によって様々で、決まりはありません。
ファンに挨拶することを目的としていますので、引退選手によるスピーチが行われるのが一般的です。
その他、引退選手の野球人生を振り返るムービーの放映や、親しい選手からのビデオメッセージが放映されることもあります。
大歓声の中、引退選手がグラウンドを一周し挨拶をする姿や、最後に胴上げされる姿はプロ野球秋の風物詩と言えるでしょう。
引退セレモニーは試合前に行われる場合も、試合後に行われる場合もあります。
その日の試合に引退試合として出場する場合は、引退セレモニーは試合後になることが多いですね。
引退セレモニーはシーズン本拠地最終戦で行われることが多いですが、オフシーズンに引退を表明した選手などについては、翌シーズンのオープン戦試合前に実施されることもあります。
引退試合とは?
引退試合とは、引退を表明した選手が最後に出場する試合を指します。
引退試合のために個別に試合が組まれるということはなく、ペナントレースの中で実施されます。
優勝争い、Aクラス争いの中で引退試合が組まれるケースもあるのです。
近年はクライマックスシリーズの導入で消化試合が減少していることもあり、順位がかかったシビアな場面で行われる引退試合も増えています。
引退する選手は多くの場合、自らの衰えを感じて引退しますので、スタメン・レギュラーとして定着していないことが多いです。
引退試合では、そのようなベテラン選手にファンの前でプレーする機会が与えられます。
出場の仕方については選手によって様々ですが、以下のようなケースが多いです。
〈投手〉
・先発の役割が多かった投手:引退試合で先発し、先頭打者と対戦。
・中継や抑えの役割が多かった投手:引退試合の9回に登板、打者1人と対戦。
まだスタミナが残っている選手であれば、複数イニングや1イニングを投げ切ることもありますが、多くの場合は打者1人で降板します。
特に、チームが順位争いの最中の場合、試合展開に影響を与えないよう、打者1人で降板することが多くなります。
〈野手〉
・スタメン出場し、最後までプレー
・試合終盤で代打での出場、長年プレーした守備位置へ
・最終回に長年プレーした守備位置へ
野手の場合、出場形式は様々です。
スタメン出場し、最後までプレーするケースや、代打や守備固めだけの出場となるケースもあります。
順位争いなどのチーム状況や、選手の特徴によってスタイルは変わります。
また、引退試合では引退する野手がヒットを打てるようにど真ん中のストレートを投げたり、引退する投手を相手にわざとフルスイングで三振するなどの「忖度」がしばしば見られます。
これは引退選手に最後の花道を用意するための気遣いですが、八百長じみたこの姿勢には賛否両論があります。
一方、チームが優勝争いしている場合やタイトル争いが絡む場合は、引退試合であっても忖度はありません。
また、近年は引退選手が全力勝負を望むことも多く、その場合は相手選手も遠慮なく全力を尽くします。
引退セレモニー・引退試合まとめ
引退セレモニー・引退試合についてここまでの内容を箇条書きでまとめます。
・引退セレモニーと引退試合は別物
・引退セレモニーは試合前後に行われるファンへの挨拶
・引退試合は引退選手が実際に出場する試合
・引退試合は選手によって出場方法が異なる
・順位争いの最中に引退試合が組まれることも