当記事では野球におけるサヨナラ勝ち(負け)について解説します。
野球実況でも当たり前のように使われる用語ではありますが、しっかり意味を説明できますでしょうか。
また、意味はわかっても由来は知らない方も多いのではないでしょうか。
当記事が参考になれば嬉しいです。
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
野球における「サヨナラ」の意味
「サヨナラ」とは、決勝点が入ってその時点で試合終了となることを指します。
- 最終回または延長戦
- 後攻チームの攻撃
その後に相手チームの攻撃が控えていないため、リードを奪った瞬間に勝利が決まるというわけです。

それ以上攻撃を続ける意味がないので、その時点で試合を打ち切ります
極端な例ですが、スコアボードには以下のように得点の隣に「×」が記載されます。


サヨナラを決める一打がホームランであれば「サヨナラホームラン」、エラーであれば「サヨナラエラー」等と言葉を組み合わせて呼びます。
なお、アマチュア野球ではコールドゲームが存在します。
たとえば高校野球の地方大会では、以下のようなケースではコールドとなり、その時点で試合終了となります。
- 5回終了以降に10点差
- 7回終了以降に7点差
コールド勝ちを決定づける一打を放った場合も、それは「サヨナラ」と扱われます。
例えば5回裏に10点差をつけた場合は、以下のようなスコアボードになるのです。


その時点で勝ちを決める一打を打つと、「サヨナラ打」になるというわけですね。
「サヨナラ」の言葉の由来
サヨナラの言葉の由来は明確には記録されていません。
サヨナラの意味、その時のシチュエーションを踏まえると、以下のように考えるのが一般的です。
- その時点で試合が終わる
→野球に対してさようなら - 両チームはグラウンドから去る
→両チームに対してさようなら - 相手チームは攻撃のチャンスはなく、そのまま去る必要がある
→相手チームにさようなら(ちょっと煽り気味?)
要するに「さようなら」を語呂よく「サヨナラ」と表現するようになったわけですね。
ちなみにメジャーリーグの用語「GoodBye」を日本語訳したという説もありますが、おそらくこれは誤りです。(2007年のYaho知恵袋でベストアンサーを取っているので、これが広まってしまった可能性があります)
以下、メジャーリーグの「サヨナラ」についても解説します。
メジャーリーグにおける「サヨナラ」
野球の起源はアメリカのベースボールです。
では、アメリカ・メジャーリーグでは「サヨナラ」を何と呼ぶのでしょうか。
英語では「Walk Off」
アメリカではサヨナラを「Walk Off」と表現します。
サヨナラ勝ちであれば「Walk Off-Win」となるわけです。



サヨナラの英訳「Goodbye」ではないのです
「Walk Off」は日本語訳すると「立ち去る」という意味です。
- その瞬間に選手がグラウンドを立ち去っていく様子
- 負けたチームの選手が歩いてトボトボと立ち去って行く様子
が連想できますね。
ニュアンスは日本の「サヨナラ」に近く、言葉の由来は似たようなものと考えられます。
「Goodbye!」は「サヨナラ」ではない
ちなみにメジャーリーグの実況では「GoodBye!」も頻繁に使用されます。
これはホームランの際にボールがはるかかなたに消えていくことを表現したものです。



「GoodBye」はホームランに対して使うのです
- GoodBye!
→ボールが遠くに飛んでいく様子に「バイバイ!」 - See ya!
→GoodByeと同様 - It’s gone!
→行ってしまった、消えてしまったのニュアンス
GAORA(CSチャンネル)で日本ハム中継を主に担当した近藤アナウンサーが、このメジャー流の実況を取り入れていました。
パ・リーグファンには「グッバイ」や「イッツ!ゴーンヌ!」という実況はホームランのイメージが定着したかもしれませんね。



近藤アナ=ゴーンヌのイメージでしたよね(笑)
ちなみにメジャーリーグの実況は日本人選手のプレーには積極的に日本語も活用してくれます。
たとえば大谷がホームランを打てば、「さよなーーーら!」と叫ぶこともあります。
これはあくまでもホームラン実況で、日本でいうサヨナラホームランというわけではありません(切り抜きのハイライトをみた日本人は誤解することも多いです)
「サヨナラ」に関する名場面
サヨナラゲームというだけで劇的な試合ではありますが、ここではさらに劇的な名場面を紹介します。
【プロ野球】代打逆転サヨナラ満塁釣り銭なし優勝決定本塁打
野球ファンの間では有名なサヨナラホームランが、2001年9月26日、大阪近鉄バファローズ対オリックスブルーウェーブ戦(@大阪ドーム)で生まれています。
当時近鉄・北川の代打逆転サヨナラ満塁釣り銭なし優勝決定本塁打です。
スコアボードは以下のとおりです。


近鉄の優勝マジック1で迎えた試合は3点ビハインドで9回裏を迎えます。
9回裏にノーアウト満塁のチャンスを作った近鉄は、代打に北川博敏が告げられます。
ここで放ったホームランが「代打逆転サヨナラ満塁釣り銭なし優勝決定本塁打」であり、プロ野球史上唯一の記録となっています。
最も長い肩書の付く本塁打としても有名ですね。
【高校野球】最終回8失点からの5得点の大逆転サヨナラ
高校野球のサヨナラゲームで紹介するのは、2006年8月17日の夏の甲子園(第88回全国高校野球選手権)準々決勝第2試合・帝京対智弁和歌山戦です。
9回裏1アウト満塁から押し出しサヨナラ四球という結末ですが、注目すべきは9回のスコアボードです。


4-8とリードを許していた帝京ですが、なんと9回表に8得点の大逆転劇を見せます。
12-8と智弁和歌山にとっては苦しい展開で9回裏を迎えますが、ここから智弁和歌山が3ランホームランを含め5得点を奪いサヨナラ勝ちとなるのです。
最終回に両軍合わせて13得点というこの試合は、壮絶な乱打戦として高校野球ファンの間では有名です。
【公式動画】パ・リーグサヨナラ珍場面集
パ・リーグ公式がサヨナラの珍場面をまとめてくれています。
- サヨナラワイルドピッチ
- サヨナラ押し出し四球
- サヨナラ押し出し死球
- サヨナラエラー
などなど、サヨナラホームランやサヨナラタイムリーとはまた一味違った名場面集です。
2016年~2018年のまとめ動画なので、日ハム時代の大谷も登場していますね。
以下はサヨナラタイムリーの動画ですが、こちらも記憶に残る芸術展の高いサヨナラ動画でおすすめです(笑)
最後までお読みいただきありがとうございました。
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