野球の基礎知識

【プロ野球】クライマックスシリーズとは?その全貌を分かりやすく解説!

プロ野球は140試合を超える長く熱いペナントレースを終えると、ポストシーズンに突入します。

ポストシーズンとはクライマックスシリーズ、日本シリーズで構成されており、まさに日本一のチームを決める最後の戦いです。

当記事では、ポストシーズンの入り口であるクライマックスシリーズについて、ルールや日程、歴史、さらにはその面白さまで徹底的に解説します。

 

筆者のプロフィール

野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。

 

※目次から気になる項目まで飛ぶことができますのでご活用ください↓

 

クライマックスシリーズの概要

クライマックスシリーズとは、ペナントレース終了後の10月に開催されるトーナメント方式の試合です。

日本シリーズへの出場権をかけ、セ・リーグ、パ・リーグのシーズン上位3球団が対戦します。

シーズン順位2位、3位のチームの対戦をファーストステージ、ファーストステージ勝者とシーズン優勝チームの対戦をファイナルステージと呼びます。

クライマックスシリーズのルール

ここでは、クライマックスシリーズの優勝の決め方など、ルールについて確認します。

クライマックスシリーズの優勝の決め方

クライマックスシリーズはトーナメント方式で対戦カードが組まれます。

シーズン2位チームとシーズン3位チームの対戦するファーストステージにおいては先に2勝したチームが勝ちぬけとなります。

ファーストステージの勝者とシーズン優勝チームが対戦するファイナルステージにおいては、先に4勝したチームが勝ち抜けとなり、クライマックスシリーズ優勝、日本シリーズへの切符を手にすることとなります。

ファーストステージの対戦ルール

ファーストステージは3戦2勝制で実施されます。

ファイナルステージのように1勝のアドバンテージがシーズン2位チームに与えられているわけではありませんが、いくつか2位チームに有利な仕組みが存在します。

<2位チームに有利な仕組み>

・試合はすべて2位チームのホーム球場で行う

・3試合の結果、「1勝1敗1分」もしくは「0勝0敗3分」となった場合、2位チームを勝ち抜けとする。

2位チームはホーム球場で戦えるメリットに加え、引き分けは実質勝利に等しい取り扱いとなります。

このルールのもと、勝ち抜けたチームがファイナルステージでシーズン優勝チームと対戦します。

なお、一方のチームが2連勝した場合、その時点で勝ち抜けが確定となるため、3試合目は実施されません。

ファイナルステージの対戦ルール

ファイナルステージは6戦4勝制で実施され、シーズン1位チームには最初から1勝分のアドバンテージが与えられています

6戦の間に1位チームは3勝すれば勝ち抜けですが、ファーストステージから勝ち抜いたチームは4勝する必要があります。

さらにファーストステージと同様の仕組みも導入されています。

6試合はすべてシーズン1位チームのホーム球場で実施され、引き分けを含み対戦成績が5分となった場合はシーズン1位チームが勝ち抜けとなります。

シーズン優勝チームに日本シリーズ出場を望む声は多いためか、シーズン1位チームに極めて有利なルールとなっていますね。

また、ファーストステージ同様、勝ち抜けチームが確定した時点で残りの試合は実施されません。

その他クライマックスシリーズの重要ルール

クライマックスシリーズを楽しむうえで、延長戦・引き分けのルールと予告先発制度については把握しておきましょう。

延長戦・引き分けの取り扱いに関するルール

延長戦のルールはシーズン同様、12回までのイニング制限が設けられています。

12回裏終了時点で同点の場合、引き分けとなります。

レギュラーシーズンと異なるのは、延長12回裏が実施されない可能性がある点です。

その試合を勝っても引き分けでも勝ち抜けが決まる場合、わざわざ12回裏の攻撃は実施しないルールとなっているのです。

具体的には2014年セ・リーグのファーストステージ阪神VS広島(甲子園)でこの光景が生まれました。

阪神1勝で迎えた第2戦、試合は延長戦にもつれこみ、12回表の広島の攻撃を終了。

この時点で阪神の負けはなくなったため、「1勝1分」が確定し、仮に次の第3戦に敗れても「1勝1敗1分」で勝ち抜けが確定となりました。

そのため、12回裏の阪神の攻撃は行われず、12回表終了時点でコールドゲームとして試合終了となったのです。

阪神は「1勝1分」でファイナルステージへコマを進めています。

ファン心理としては12回裏の攻撃も見たい、せっかくならサヨナラ勝ちでファイナルステージ進出を決めたいと思いますが、試合時間短縮や選手の体力を考慮すると仕方ないと言えるでしょう。

 

予告先発制度

従来、予告先発制度はパ・リーグだけの採用でしたが、2018年からはセ・リーグでも予告先発制度を導入しており、両リーグで予告先発制度が採用されています。

クライマックスシリーズのような短期決戦では相手先発投手の読みあいも楽しみな要素であったのですが、事前に予告する真っ向勝負に変わっています。

なお、レギュラーシーズンでは試合開始前に翌日の先発投手が発表されますが、クライマックスシリーズの場合、発表タイミングが少し異なります。

<予告タイミング>

・セ・リーグ:レギュラーシーズン同様、試合前に翌日の先発投手を発表

・パ・リーグ:試合終了後に、翌日の先発投手を発表

クライマックスシリーズの日程

クライマックスシリーズは基本的にはレギュラーシーズン終了後の10月上旬~中旬に実施されます。

2019年の試合日程は以下のとおりです。

月日組み合わせ
10/5(土)クライマックスシリーズ ファーストステージ(2位 対 3位)
10/6(日)クライマックスシリーズ ファーストステージ(2位 対 3位)
10/7(月)クライマックスシリーズ ファーストステージ(2位 対 3位)
10/8(火)(予備日)
10/9(水)クライマックスシリーズ ファイナルステージ(1位 対 ファーストステージ勝者)
10/10(木)クライマックスシリーズ ファイナルステージ(1位 対 ファーストステージ勝者)
10/11(金)クライマックスシリーズ ファイナルステージ(1位 対 ファーストステージ勝者)
10/12(土)クライマックスシリーズ ファイナルステージ(1位 対 ファーストステージ勝者)
10/13(日)クライマックスシリーズ ファイナルステージ(1位 対 ファーストステージ勝者)
10/14(月)クライマックスシリーズ ファイナルステージ(1位 対 ファーストステージ勝者)
10/15(火)(予備日)
10/16(水)(予備日)

厳密にはレギュラーシーズンの予備日と日程が被っており、レギュラーシーズンの試合が消化できていない場合、レギュラーシーズンの試合がクライマックスシリーズと同日に行われるケースが稀に存在します。(2018年など)

 

雨天中止の場合は?

雨天中止の取り扱いはレギュラーシーズンの試合と同様です。

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試合が中止となった場合は予備日に試合が組まれることとなります。

一方で、クライマックスシリーズの雨天中止には大きな課題が存在します。

クライマックスシリーズは後ろに日本シリーズが控えていることから、非常にタイトなスケジュールが設定されており、ファイナルステージには1試合分、ファイナルステージでも2試合分しか予備日が用意されていません。

試合予定日に秋雨前線や台風が直撃した場合、スケジュール内で試合をこなすのが難しくなってしまうのですね。

この課題に直面したのが2017年のファーストステージ(阪神VSDeNA、甲子園)です。

ファーストステージの期間中、甲子園は常に雨模様。

1試合で結果が決まる可能性や、阪神が不戦勝で勝ち抜く可能性がささやかれました。

結果的には甲子園で雨天の中試合を強行。

雨の中、グラウンドコンディションも最悪の中試合を強行したため、選手も泥だらけ。言葉のとおり泥仕合となりました。

クライマックスシリーズの歴史

クライマックスシリーズの導入は2007年に遡ります。

その前年まで、パ・リーグではプレーオフ制度と呼ばれるトーナメント制度を実施しており、これがクライマックスシリーズの源流となっています。

プレーオフ制度は2004年~2006年までの3年間に実施されていましたが、これによりレギュラーシーズンのAクラス入りの重要性が高まり、消化試合が減少するなど、興行的に成功をおさめました。

この流れを受けてセ・リーグにもトーナメント方式が導入されることとなり、セ・リーグ、パ・リーグともにポストシーズンの形が作られていきます。

なお、「クライマックスシリーズ」という名称は2007年に実施した一般公募をもとに決定されています。

クライマックスシリーズの歴代戦績(~2020年)

2007年~2020年の過去の対戦戦績を紹介します。

ファイナルステージ、ファイナルステージそれぞれをセ・リーグ、パ・リーグのリーグ別に一覧化します。

ファーストステージ

まずはファーストステージの対戦戦績です。

ファイナルステージのようにアドバンテージの1勝が無い分、2位チーム、3位チームの勝率は均衡しています。

セ・リーグ ファーストステージ

過去12回のうち、2位チームの勝ち抜きが6回、3位チームの勝ち抜きが6回と均衡しています。

特に近年は3位チームの勝ち抜きが3年連続で続いています。

開催年度対戦カード勝利チーム
2位チーム3位チーム
2007年中日阪神中日(2位)
2008年阪神中日中日(3位)
2009年中日ヤクルト中日(2位)
2010年阪神巨人巨人(3位)
2011年ヤクルト巨人ヤクルト(2位)
2012年中日ヤクルト中日(2位)
2013年阪神広島広島(3位)
2014年阪神広島阪神(2位)
2015年巨人阪神巨人(2位)
2016年巨人DeNADeNA(3位)
2017年阪神DeNADeNA(3位)
2018年ヤクルト巨人巨人(3位)
2019年DeNA阪神阪神(3位)
2020年

※2020年は新型コロナウイルス感染症の影響でセ・リーグはクライマックスシリーズは開催されませんでした。

 

パ・リーグ ファーストステージ

過去12回のうち、8回も3位チームが勝ち抜いているのが特徴です。

特に千葉ロッテマリーンズは「逆襲のロッテ」「史上最大の下剋上」などと称されたように、3回も3位チームとしてファーストステージを突破しており、短期決戦の強さが見て取れます。

開催年度対戦カード勝利チーム
2位チーム3位チーム
2007年ロッテソフトバンクロッテ(2位)
2008年オリックス日本ハム日本ハム(3位)
2009年楽天ソフトバンク楽天(2位)
2010年西部ロッテロッテ(3位)
2011年日本ハム西部西部(3位)
2012年西部ソフトバンクソフトバンク(3位)
2013年西部ロッテロッテ(3位)
2014年オリックス日本ハム日本ハム(3位)
2015年日本ハムロッテロッテ(3位)
2016年ソフトバンクロッテソフトバンク(2位)
2017年西部楽天楽天(3位)
2018年ソフトバンク日本ハムソフトバンク(2位)
2019年ソフトバンク楽天ソフトバンク(2位)
2020年

※2020年は新型コロナウイルス感染症の影響でセ・リーグはクライマックスシリーズファーストステージは開催されませんでした。(ファイナルステージは開催)

 

ファイナルステージ

ファイナルステージの対戦戦績です。

ファイナルステージはリーグ優勝チームに1勝のアドバンテージがあるため、リーグ優勝チームが圧倒的な成績を残しています。

過去12年間、セ・リーグ、パ・リーグあわせて24の対戦カードが組まれていますが、その中でリーグ2位のチームが日本シリーズ出場を決めたのが3回、リーグ3位のチームが日本シリーズ出場を決めたのは2回だけとなっています。

セ・リーグ ファイナルステージ

過去、12回の中で6球団すべてが日本シリーズ出場を経験しています。

阪神、DeNAは過去12回にリーグ優勝は無いものの、2位チーム、3位チームとして突破していますので、まさにクライマックスシリーズの恩恵を受けたチームと言えるでしょう。

開催年度対戦カード勝利チーム
リーグ優勝チーム1stステージ
突破チーム
2007年巨人中日(2位)中日(2位)
2008年巨人中日(3位)巨人(1位)
2009年巨人中日(2位)巨人(1位)
2010年中日巨人(3位)中日(1位)
2011年中日ヤクルト(2位)中日(1位)
2012年巨人中日(2位)巨人(1位)
2013年巨人広島(3位)巨人(1位)
2014年巨人阪神(2位)阪神(2位)
2015年ヤクルト巨人(2位)ヤクルト(1位)
2016年広島DeNA(3位)広島(1位)
2017年広島DeNA(3位)DeNA(3位)
2018年広島巨人(3位)広島(1位)
2019年巨人阪神(3位)巨人(1位)
2020年

※2020年は新型コロナウイルス感染症の影響でセ・リーグはクライマックスシリーズは開催されませんでした。

 

パ・リーグ ファイナルステージ

オリックス・バファローズだけがファイナルステージ出場を経験していません。

パ・リーグはソフトバンクの実力が如実に出ていますね。

ソフトバンクは2004年~2006年のプレーオフ時代は短期決戦に弱く、日本シリーズ出場を逃していた経緯もありますが、クライマックスシリーズでは確実にリーグ優勝の勢いそのままに日本シリーズ出場を決めています。(2010年はロッテに敗れていますが・・)

開催年度対戦カード勝利チーム
リーグ優勝チーム1stステージ
突破チーム
2007年日本ハムロッテ(2位)日本ハム(1位)
2008年西部日本ハム(3位)西部(1位)
2009年日本ハム楽天(2位)日本ハム(1位)
2010年ソフトバンクロッテ(3位)ロッテ(3位)
2011年ソフトバンク西部(3位)ソフトバンク(1位)
2012年日本ハムソフトバンク(3位)日本ハム(1位)
2013年楽天ロッテ(3位)楽天(1位)
2014年ソフトバンク日本ハム(3位)ソフトバンク(1位)
2015年ソフトバンクロッテ(3位)ソフトバンク(1位)
2016年日本ハムソフトバンク(2位)日本ハム(1位)
2017年ソフトバンク楽天(3位)ソフトバンク(1位)
2018年西部ソフトバンク(2位)ソフトバンク(2位)
2019年西武ソフトバンク(2位)ソフトバンク(2位)
2020年ソフトバンクロッテ(2位)ソフトバンク(1位)

 

クライマックスシリーズのここが面白い

クライマックスシリーズのように短期決戦となると、レギュラーシーズンとは異なった面白さが生まれます。

短期決戦ならではの緊張感

140試合以上を戦うレギュラーシーズンに対して、クライマックスシリーズは最大でも同じ対戦カードは6試合です。

そのため、1試合に対する試合の重みは非常に重くなります。

絶対に負けるわけにはいかない戦いは、まるで高校野球のような緊張感、必死さをもたらします。

普段は送りバントをしないような選手がバントをするようなシーンや、本来は先発登板するはずの選手がリリーフ登板する等、レギュラーシーズンには見られないシーンも見ることが出来ます。

選手の表情、動きもレギュラーシーズンより緊張感が感じられますので、是非この緊張感を感じ取ってみてください。

スター誕生

短期決戦にスター誕生はつきものです。

クライマックスシリーズや日本シリーズは世間の注目度も高く、また、その短期決戦に調子のピークを合わせられた選手が活躍すると、その知名度は一気に全国区になります。

2018年の日本シリーズの例でいうと、「甲斐キャノン」で一躍全国区の選手となったソフトバンクの甲斐捕手です。

盗塁を何度も刺し、強肩を見せつけたことで注目を浴びました。

もともと素晴らしい選手ではあるのですが、短期間でここまで知名度を向上させられるのは短期決戦ならではでしょう。

また、逆を言えばレギュラーシーズンで素晴らしい成績を残しても短期決戦で調子を落とす選手もいます。

短期決戦は選手の調子も大きなポイントになります。これもレギュラーシーズンとは異なる面白さと言えるでしょう。

 

クライマックスシリーズには廃止論も

クライマックスシリーズには廃止論も存在します。

クライマックスシリーズは日本一のチームを決める日本シリーズへの出場権をかけた大会ですが、リーグ2位、3位のチームが日本シリーズに出場して本当にいいのか?という意見ですね。

確かに140試合以上を戦い抜いて決めた順位が、たった数試合でひっくり返るのはどうか、という意見は分かります。

特にこれが問題視されたのは、2017年のDeNAが3位で日本シリーズ出場を決めた時です。

この年のセ・リーグは広島が圧倒的な強さでリーグ制覇、DeNAとのゲーム差は14.5ゲーム差が開いていました。

このような状況で日本シリーズに出場しても、本当にそのチームは「日本一」と言えるのか、というわけですね。

クライマックスシリーズの登場により、日本シリーズの品格は確かに下がったように感じられます。

ただ一方でレギュラーシーズンに消化試合が減り、3位争いの面白さが生まれたのも事実です。おそらく、クライマックスシリーズはこのまま継続されるでしょう。

まとめ

クライマックスシリーズについて、ルール、日程、歴史、面白さ、そして廃止論にいたるまで解説してきました。

クライマックスシリーズの全貌をつかんでいただけたことと思います。

クライマックスシリーズはレギュラーシーズンとは異なる面白さであふれています。

是非楽しんで観戦しましょう!

 

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