当記事では野球におけるフィルダースチョイスについて解説します。
フィルダースチョイスは野球に詳しい人でも誤解していることの多いプレーです。
野球初心者の方はもちろん、「フィルダースチョイスって野手の判断ミスのことでしょ?」と思っている方も最後までご覧いただけると幸いです。
筆者のプロフィール
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
フィルダースチョイス(野手選択)とは?
フィルダースチョイスはエラーでもなければ、ヒットでもありません。
まずはフィルダースチョイスの言葉の定義と、フィルダースチョイスの発生する状況について順番に解説します。
言葉の定義 「野手の判断ミス」ではない!
フィルダースチョイス(野手選択)は公認野球規則では以下のとおり定義されています。
1.フェアのゴロを扱った野手が、打者走者を一塁でアウトにする代わりに、前を走る走者をアウトにしようとして、他の塁に送球する行為
公認野球規則 「本規則における用語の定義」(28)より引用
2.安打を打った打者が、野手が前を走る走者をアウトにしようとして他の塁へ送球する間に、余分に進塁した場合
3.走者が、盗塁や失策(エラー)によらずに、自分以外の走者をアウトにしようとして野手が他の塁へ送球する間に、余分に進塁した場合
4.盗塁に対して守備側が無関心のために何も守備を行わないために、走者が進塁した場合
ポイントは「他の塁に送球する行為」自体がフィルダースチョイスと定義されている点です。
「野手の判断ミスで出塁した場合にフィルダースチョイス」と誤解されていることが多いのですが、定義上は野手の判断そのものがフィルダースチョイスです。
判断ミスの有無は用語の定義上は関係ないのです
ただし、フィルダースチョイスで進塁や出塁が無い場合は、わざわざスコアに記録されることはありません。スコアにフィルダースチョイスが記録されるのは、進塁や出塁を生んでしまった場合です(=判断ミスがあった時)
そのため、「フィルダースチョイス=野手の判断ミス」と誤解されていることが多いのです。
実際は誤解したままで困ることはほぼありません・・笑
フィルダースチョイスが発生する状況
フィルダースチョイスはその規定上、ランナーが存在する場合に発生するプレーです。
ランナー無しの状況ではフィルダースチョイスは発生しません。
前のランナーをアウトにするために送球するプレーですからね。
フィルダースチョイスが記録される具体的な事例をいくつかご紹介します。
ケース1:送りバントでオールセーフ
- ノーアウト1塁で打者がバント
- 打球を処理した捕手は2塁に送球
- 送球間に合わず、1塁走者2塁走者ともにオールセーフに
本来バント処理を1塁に送球しておけば、アウトを1つ取れた場面です。
この場合、フィルダースチョイスによる進塁・出塁ということになります。
※捕手が1塁に送球してセーフとなった場合は内野安打です。
ケース2:ショートゴロを2塁に送球
- ツーアウト1塁で打者がショートゴロ
- 打球を処理したショートは距離が近い2塁に送球
- 1塁走者の2塁到達が速く、オールセーフ
ショートゴロやサードゴロは、距離が近い2塁に送球されることも多いですよね。
この2塁に送球がセーフとなった場合、フィルダースチョイスによる進塁・出塁です。
また、併殺を狙ってオールセーフとなる場合も同様です。
ケース3:クロスプレーの間に打者走者が進塁
- ノーアウト2塁で打者がセンター前ヒット
- 2塁走者はホームに突入
- センターはバックホーム送球するも、2塁走者は生還
- この送球の間に打者走者は2塁に進塁
ホーム生還を阻止する間に、打者走者が次の塁に進むケースは良くありますよね。
この進塁でもフィルダースチョイスが記録されます。
野球中継では「送球の間に進塁」と表現されることが多いですが、これもフィルダースチョイスです。
フィルダースチョイスで記録はどうなる?
フィルダースチョイスはエラーでもヒットでもありません。
では、選手の成績にはどのように影響するのでしょうか。
以下では、投手成績と打者成績に分けて解説します。
投手記録(自責点・防御率)
まずは投手記録へのフィルダースチョイスの影響です。
フィルダースチョイスはエラーではありませんので、投手の自責点となります。
投手の自責点となりますので、フィルダースチョイスで失点した場合は防御率も悪化します。
明らかに野手の判断ミスでも投手の自責点となるので、少し投手はかわいそうですね・・
なお、エラーが原因の失点は自責点にはなりません。
フィルダースチョイスがエラーではないという点は投手成績を考える上で重要ですので覚えておきましょう。
打者記録(打点・打率・出塁率)
打者記録を考える上では、フィルダースチョイスはヒットではないという点です。
記録上、基本的には内野ゴロと同じ扱いとなります(バントの場合は犠打が記録されます)
そのため、記録については以下の動きとなります。
フィルダースチョイスの打者成績
- 打率:下がる
- 打点:記録される
- 出塁率:下がる
フィルダースチョイスは出塁できても出塁率が下がる点に注意です。
打率と出塁率の考え方は以下の記事でも詳細に解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
プロ野球で起きたフィルダースチョイス
フィルダースチョイスは決して珍しいプレーではありません。
Youtubeにパ・リーグが2つのプレーを上げてくれていますので、ここでは動画とセットでご紹介します。
まずはノーアウト2塁でのバントの事例です。
バント処理の3塁送球が間に合わず、フィルダースチョイスでの出塁・進塁となっています。
(ちなみに、この動画の2塁ランナーはあの大谷翔平です)
次に、ツーアウト満塁でショートゴロを2塁に送球したケースです。
送球が間に合わず、オールセーフとなっています。
ここでアウトになっていれば試合終了だっただけに、手痛いフィルダースチョイスです。
フィルダースチョイス まとめ
フィルダースチョイスは具体的な事例とセットで覚えると簡単でシンプルです。
「他の塁に送球する行為」自体がフィルダースチョイスという用語定義については誤解している方も多いので、ぜひ野球ウンチクとして披露してみてください。
当サイトでは、このような野球に関するルールや小ネタを発信しています。
ぜひ、他の記事もセットでご覧ください。
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