当記事では投手の投球姿勢について解説します。
「ワインドアップって頭の上で振りかぶることでしょ?」と思っている方にはぜひ読んでいただきたいです。(これ、実は正しい説明ではありません)
ワインドアップ、セットポジションについての理解が深まれば幸いです。
筆者のプロフィール
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
ワインドアップ・セットポジションの概要
まずはワインドアップとセットポジションをざっくりと整理してみましょう。
以下の図をご覧ください。
まずピッチングにはワインドアップポジションとセットポジションの2つの投球姿勢が存在します。
この投球姿勢の中に、ワインドアップモーションやノーワインドアップモーション、クイックモーション等の投球のモーションが存在するのです。
振りかぶるイメージで使われるワインドアップは、ワインドアップモーションのことを指しているのですね。
以下では、これらの投球姿勢やモーションについて、動画も活用しながら解説します。
ワインドアップポジションとは?
ワインドアップポジションとは、基本的にランナーがいない場合の投球姿勢です。
ワインドアップポジションの姿勢
軸足を投手板に触れさせ、逆の足を投手板の上かその後方にずらせて置く
※両手を高く振りかぶるかどうかは無関係
右投げの投手なら、左足を一歩後ろに置くイメージです。
ランナーがいる場合、ワインドアップポジションを取ると盗塁を許す可能性が高まります。
(ワインドアップポジションを始めた時点でランナーがスタートを切れるため)
だからランナーがいない場面の投球姿勢なのですね
ワインドアップポジションに入ってから(足を後ろに引いたり、振りかぶったりした後)牽制を入れると、投球を途中で止めたとみなされボークになります。
ボークは少々難しいルールですが以下で解説していますので、合わせてご覧ください。
ワインドアップポジションについては、両手を頭上に振りかぶるかどうかは関係ありません。
振りかぶるかどうかで以下のとおり分類されますが、これはどちらもワインドアップポジションです。
- 振りかぶる・・ワインドアップモーション
- 振りかぶらない・・ノーワインドアップモーション
続いて、これら2つのモーションについて解説します。
ワインドアップモーション(振りかぶる投球)
「ワインドアップ」と言われる多くのケースでは、このワインドアップモーションを指しています。
両手を頭上に上げるいわゆる「振りかぶる」投球です。
以下の動画のようなフォームですね。
振りかぶるのと同時に左足を一歩後ろに引いているのも分かりますね。(しっかりワインドアップポジションになっています)
ワインドアップモーションのメリット・デメリットは一般的に以下のような点が挙げられます。
ワインドアップモーションのメリット
- かっこいい(威圧感を与えられる)
- 振りかぶる方が球が増すという投手が多い
ワインドアップモーションのデメリット
- 体がぶれやすいためコントロールが安定しない
- 動作が多いため癖が出やすい
- ボールの握りが打者や走者に見えやすい
大きな動作のためボールに力が乗りやすい一方、動作が多いのでデメリットもあるということですね。
「振りかぶる=球威が増す」という点は科学的には根拠に乏しく、近年はノーワインドアップモーションの選手が増えています。
ノーワインドアップモーション(振りかぶらない投球)
ワインドアップポジションで構えつつも、振りかぶらない場合はノーワインドアップモーションと呼ばれます。
ノーワインドアップモーションのメリット
- 動作が少ないためコントロールが安定する
- フォームが固定しやすい
ノーワインドアップモーションのデメリット
- 投手によっては球威が出ない場合がある
セットポジションと見分けが難しいのがこのノーワインドアップモーションです。
「ノーワインドアップモーション=セットポジション」と考えている方もいますが、これは誤解です。
振りかぶらなくても足を後ろに引いていればワインドアップポジションなのです
記事後半では、実際の動画を見ながらノーワインドアップモーションとセットポジションを見比べてみます。
その前に、まずはセットポジションについて解説します。
セットポジションとは?
セットポジションはランナーを置いた場面では必須の投球姿勢です。
ランナーがいない場面でセットポジションで投げることも認められており、近年は常にセットポジションで投げる選手も増えています。
セットポジションの姿勢
軸足を投手板につけ、他の足を前方に出し、球を両手で保持して静止する姿勢
ランナーがいない場合、一般的には足を高く上げて投球します。
ただ、ランナーがいる場合は足を上げずに投げるクイックモーションと呼ばれるテクニックが必要です。
足を上げてる間にランナーに走られるためですね
セットポジションで投げる投手は、ランナーがいない場面でも時折クイックモーションで投げることがあります。
投球フォームを変えることで、打者のタイミングをずらしているのです。
球種やコースだけではなく、フォームにまで注目するとさらに野球を見るのが楽しくなるのでおすすめです。
ノーワインドアップとセットポジションの違い【動画でチェック】
最も見分けが難しいのが、ノーワインドアップとセットポジションです。
以下は山本由伸の4つの見逃し三振をまとめた動画です。
山本由伸はランナーがいない場面ではワインドアップポジション(ノーワインドアップモーション)で投球します。
まずは動画をご覧ください。
爽快な動画ですね。
ただ、ここでは足元に注目してみましょう。
1,3,4つ目はランナーがいない場面なので、構えたタイミングで左足がプレートの後ろに置かれているのがわかりますでしょうか。(例えば5秒あたり)
一方で、2つ目の三振(26秒あたり)はランナーがいるので、左足を前に、セットポジションで構えています。また、足も高く上げずにクイックモーションになっていますね。
じっくり見てみると、同じ投手でもかなり違ったフォームで投げていることが分かるのではないでしょうか。
投球姿勢 まとめ
冒頭でご紹介した図を再掲載します。
当記事にひととおり目を通した後なら、かなり理解が深まったのではないでしょうか。
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ぜひ、他の記事もセットでご覧ください。
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