当記事では、プロ野球における退場のルールについて解説します。
プロ野球では審判から退場が宣告されることがあります。
頻繁に目にする場面ではありませんが、それほど珍しいものでもありません。
当記事でプロ野球の理解がさらに深まれば幸いです。
筆者のプロフィール
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
プロ野球で退場が宣告されるケース
退場は審判から宣告されます。
退場が宣告されるのは選手だけではなく、監督やコーチ等、チームスタッフも対象です。
退場が宣告される主なケースは以下のとおりです。
- 審判への暴言・暴力・侮辱行為
- 審判の判定に異議を唱え続ける
- 乱闘(暴力行為)
- 危険球
- 警告試合における死球
以下、それぞれのケースについて順番に解説します。
審判への暴言・暴力・侮辱行為
審判の判定(ストライク/ボール、アウト/セーフ等)を受けて不適切な態度を取ると退場が宣告されることがあります。
あくまでも判断は審判に委ねられていますが、暴言や暴力がNGなのは理解できますよね。
では、侮辱行為とは何を指すのでしょうか
侮辱行為の代表例と言えるのが、バットでボールの軌道を描く仕草です。
以下の動画をご覧ください。
ボール判定に抗議する動きですが、この動きは基本的に1発アウトと考えられています。
過去にはあのイチローもメジャー時代にこの動きで退場を受けています。
なお、近年はリクエスト制度の導入により、審判の判定を巡るトラブルは減少しています。
ただし、ストライクゾーンの判定はリクエスト制度の対象外です。
ストライク判定を巡るトラブルは残念ながらしばしば発生しています。
審判の判定に異議を唱え続ける
暴言や暴力が無かったとしても、審判の判定に異議を唱え続けると退場となる場合があります。
公認野球規則では以下のとおり定められています。
ボール、ストライクの判定について異議を唱えるためにプレーヤーが守備位置または塁を離れたり、監督またはコーチがベンチまたはコーチスボックスを離れることは許されない。もし、宣告に異議を唱えるために本塁に向かってスタートすれば、警告が発せられる。警告にもかかわらず本塁に近づけば、試合から除かれる。
野球規則 8.02より引用
つまり、文句があっても審判には近づくなというわけです。
警告されてもなお抗議を続けた場合、退場となる可能性があります。
審判の判定は絶対というわけです。
以下の動画での審判の動きが分かりやすいのでご覧ください。
こちらの退場は暴言が理由とされていますが、レアードの抗議に対して一度警告を入れているのが分かります(手を差し出して止める動きをしています)
制止されたにもかかわらず、文句を続け、さらには内容も暴言であったため退場となりました。
乱闘(暴力行為)
近年は減少したものの、乱闘における暴力行為は退場の対象となります。
ユニフォームを掴む、平手で軽く小突く等の程度で退場になるケースは稀ですが、悪質な場合には退場が宣告されます。
「殴る」「蹴る」「タックル」等、相手に怪我を加える行為は基本的にアウトです。
もはや傷害事件ですからね
危険球
プロ野球では「投手の投球が打者の顔面、頭部、ヘルメット等に当たり、審判員がその投球を危険球と判断したとき、その投手は退場となる」というのが原則です。
危険なボールを投げると審判の判断で退場となります。
わざとか否かは無関係です
公認野球規則に明記されているわけではありませんが、セパ両リーグのアグリーメント(申し合わせ事項)で合意されています。
頭や顔に当たった場合はほとんどの場合退場が宣告されます。
ただし、緩い変化球のすっぽ抜けは退場とならない場合もあります。
あくまでも判断は審判に委ねられているのです。
警告試合における死球
プロ野球には警告試合のルールが存在します。
乱闘等でもめた試合で、さらなるトラブルを防ぐために設けられたルールです。
この警告試合の状況下では、通常の死球(腰や足等)でも退場が宣告されます。
プロ野球で退場になるとどうなる?
それでは退場を宣告された場合はどうなるのでしょうか。
以下の観点で順番に解説します。
- 退場者は原則球場にとどまっている
- 代わりの選手を出場させることができる
- 後日制裁金や出場停止処分が下される場合もある
退場者は原則球場にとどまっている
退場者はそのまま帰宅するわけではなく、多くの場合球場にとどまっています。
ロッカールーム等で映像を見ながら試合終了を待つようです。
試合後のミーティングに参加するのが主な理由で、勝手に帰宅すると球団から処分されることもあります。
なお、退場者の動きについては公認野球規則でも記載されています。
監督、プレーヤー、コーチまたはトレーナーは、試合から除かれた場合、ただちに競技場から去り、以後その試合にたずさわってはならない。
公認野球規則 6.04より引用
試合から除かれた者はクラブハウス内にとどまっているか、ユニフォームを脱いで野球場構内から去るか、あるいはスタンドに座る場合には、自チームのベンチまたはブルペンから離れたところに席をとらなければならない
代わりの選手を出場させることができる
サッカーの退場と混同している方もいますが、野球の退場は代わりの選手が出場することができます。
サッカーでは1人少ない状況でプレーする必要がありますよね
特に危険球で投手が退場となった場合は、代わりの選手は急遽登板することになります。
準備ができていない場合は、じっくりと肩を作る時間も与えられます。
後日制裁金や出場停止処分が下される場合もある
退場の理由が暴言や暴行等の悪質な場合、後日制裁金や出場停止処分が下される場合があります。
制裁金は退場理由にもよりますが、数万円~数十万の間であることが多いです。
また、出場停止処分は珍しく、よっぽど悪質な場合に下されます。
- 清原和博(当時巨人):2日間の出場停止
→乱闘での相手選手への暴力行為 - ガルベス(当時巨人):シーズン出場停止(+球団から4,000万の罰金)
→審判の判定に不服、審判にボール投げつけ - 島野育夫・柴田猛(当時阪神コーチ):無期限出場停止
→審判への暴力行為
NPBからの制裁金は数十万円でも、球団から多額の罰金が与えられることもあります(上記のガルビスの事例が典型)
さらに、出場停止期間中の年俸は没収となりますので、選手にとって出場停止はなかなか重い処分です。
試合中の行為ではなく、不祥事で出場停止となることもありますね
なお、危険球退場や警告試合での退場では追加の罰則はほとんどありません。
プロ野球の退場処分まとめ
もう一度退場が宣告されるケースをおさらいしておきましょう。
- 審判への暴言・暴力・侮辱行為
- 審判の判定に異議を唱え続ける
- 乱闘(暴力行為)
- 危険球
- 警告試合における死球
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