プロ野球では長いペナントレースを戦い、その順位を競います。
各球団の順位は連日スポーツニュースで報じられ、その差は「ゲーム差」として表現されます。
ゲーム差が大きければ大きいほど、順位の差が大きいことは感覚的に理解出来ますよね。
では、その細かい意味、計算方法などはご存じでしょうか。
当記事では、ゲーム差について徹底解説します。
スポーツニュースを見る目を深めましょう。
筆者のプロフィール
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
プロ野球の順位におけるゲーム差とは?
プロ野球におけるゲーム差とは、上位チームと下位チームの順位の差を表現する指標です。
首位チームとの差や、ひとつ上の順位のチームとの差を表すために使用されます。
ゲーム差は、直接対決で勝利すると1つ追いつくことが可能です。
以下は2019年のパ・リーグの順位表です。
優勝の西武と2位のソフトバンクのゲーム差は2ですので、ソフトバンクが西武にあと3勝出来ていれば、ソフトバンクが西武を追い越すことが出来ていたわけですね。
勝 | 負 | 分 | 勝率 | ゲーム差 | |
西 武 | 80 | 62 | 1 | 0.563 | — |
ソフトバンク | 76 | 62 | 5 | 0.551 | 2 |
楽 天 | 71 | 68 | 4 | 0.511 | 7.5 |
ロッテ | 69 | 70 | 4 | 0.496 | 9.5 |
日本ハム | 65 | 73 | 5 | 0.471 | 13 |
オリックス | 61 | 75 | 7 | 0.449 | 16 |
とはいえ、プロ野球の順位はゲーム差で決まるわけではなく、順位は勝率が高いチームが上位となります。
一方で、先ほどのパ・リーグ順位でも、西武が勝率.563、ソフトバンクが勝率.551と言われても、その差がどれくらいなのかイメージが湧きませんよね。
勝率の比較では、ぱっと見で上位チームとの差が分かりづらいので、便宜的にゲーム差が用いられているわけです。
ゲーム差は計算方法を理解するとより理解が深まりますので、次では計算方法について解説します。
プロ野球のゲーム差の計算方法
ゲーム差の計算方法
ゲーム差={(上位チームの貯金数)-(下位チームの貯金数)}÷2
ゲーム差は、2チームの貯金数(勝ち越し数)を用いて算出します。
順位は勝率で決まりますので、いかに勝率を高くできるか(勝ち越し数が多いか)を比較するわけです。
勝率の計算方法
勝利数÷(勝利数+敗戦数)
※計算式に引き分けが含まれないのがポイントです。
プロ野球のゲーム差計算の具体例
ゲーム差の算出について、具体例を踏まえて考えてみましょう。
勝 | 負 | 分 | 勝率 | ゲーム差 | |
西 武 | 80 | 62 | 1 | 0.563 | — |
ソフトバンク | 76 | 62 | 5 | 0.551 | 2 |
2019年の西武とソフトバンクを例にとります。
西武の貯金は80(勝利数)ー62(敗戦数)で18、
ソフトバンクの貯金は76(勝利数)ー62(敗戦数)で14です。
この時点でのゲーム差は、(18-14)÷2で2ゲーム差となるわけですね。
仮にこの後、もう1試合直接対決でソフトバンクが勝利したとするとどうなるでしょうか。
西武は貯金が一つ減って17
ソフトバンクは貯金が一つ増えて15です。
この場合のゲーム差は、(17-15)÷2で1ゲーム差となります。
直接対決で勝利したことで、ゲーム差が1縮まりましたね。
なお、一方のチームが試合がない場合や引き分けとなった場合は、ゲーム差は0.5ずつ変動することになります。
プロ野球のマイナスゲーム差とは?
ゲーム差はあくまでも参考数値ですので、時に順位とゲーム差が逆転してしまう現象が発生します。
マイナスゲーム差と呼ばれ、引き分けや未消化の試合が多い場合に発生するケースです。
こちらも具体例を踏まえて考えてみましょう。
極端な例で、以下のようなチームが存在したとしましょう。
- 4勝1敗5分のAチーム
→勝率=4÷(4+1)=.800 - 7勝3敗のBチーム
→勝率=7÷(7+3)=.700
順位は勝率で上回るAチームが上位となります。
一方で、貯金数はどうでしょうか。
- Aチームの貯金=4-1=3
- Bチームの貯金=7-3=4
貯金数では、勝率では下回るBチームの方が多いのですね。
これをもとにゲーム差を算出してみましょう。
ゲーム差={3(Aの貯金)-4(Bの貯金)}÷2=-0.5
順位と貯金数の関係が逆転しているため、ゲーム差はマイナスで計算されるのです。
勝 | 負 | 分 | 勝率 | ゲーム差 | |
A | 4 | 1 | 5 | 0.800 | — |
B | 7 | 3 | 0 | 0.700 | -0.5 |
このように、引き分けや未消化の試合数が極端に多い場合には、マイナスゲーム差が現れます。
あくまでも順位は勝率に基づいて、ゲーム差は差を表す参考数値ということですね。
プロ野球ゲーム差まとめ
ここまでの内容をまとめます。
- ゲーム差は順位の差を表現するための指標
- ゲーム差は上位チームとの直接対決で勝利すると1つ追いつくことが可能
- 計算式はゲーム差={(上位チームの貯金数)-(下位チームの貯金数)}÷2
- プロ野球の順位は勝率で決定するため、貯金数が重要
- 引き分けや未消化の試合が多く順位と貯金数に逆転現象が起こる場合、ゲーム差はマイナスとなる。
シーズンが終盤になればなるほど、ゲーム差は気になりますよね。
あわせて、「自力優勝」や「マジックナンバー」という単語も耳にするのではないでしょうか。
これらの単語は正しく理解できていますか?以下の記事で詳細に解説していますので、あわせて、参考にしていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。