プロ野球の優勝争いが佳境になってくると頻繁に目にするのが優勝へのマジックナンバーです。
スポーツニュースでも順位と合わせて連日報道されますが、マジックナンバーの計算が出来る方は多くはないのではないでしょうか。
当記事では、優勝マジックナンバーの計算式について具体例を交えながらわかりやすく解説します。
筆者のプロフィール
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
優勝マジックナンバーとは?
優勝マジックナンバーとは、「あと何勝することで優勝が決定するか」を示す参考数値です。(共同通信社により算出)
マジックナンバーがゼロ=優勝です。
日本プロ野球においては、2位以下のチームに自力優勝がなくなった場合にマジックナンバーが点灯します。
自力優勝とは?
他チームの試合結果にかかわらず、そのチームが優勝出来る状態のことを指します。他チームがどんな成績であっても自分が勝てば確実に優勝できる状態、つまり、言葉の通り自力で優勝出来る状態です。
日本のプロ野球では2位以下のチームの自力優勝が消えた瞬間を、「マジックナンバーの点灯」と呼んでおり、優勝までこのマジックナンバーをカウントダウンしていきます。
一方で、一度点灯したマジックナンバーが消滅する可能性もあります。
マジックが点灯した首位チームが連敗し、2位チームが連勝したようなケースです。
こういった場合、2位チームに自力優勝の可能性が復活する可能性があり、「首位チームのマジックナンバーが消滅」することとなります。
マジックナンバーの計算方法
マジックの計算方法は様々な手法が存在しますが、簡単な計算方法は以下のとおりです。
マジックナンバー計算の公式
マジック=(マジック対象チームの現在の勝利数 + マジック対象チームの残り試合数) − (首位チームの現在の勝利数 )+ 1
※マジック対象チームは2位~6位のいずれかのチームを想定
基本的に、マジック対象チームは2位チームとなりますが、残り試合数によっては3位チームや4位チームが計算対象チームとなるケースもあります。
引き分けが絡む場合や首位チームとマジック対象チームの直接対決の残り試合数によっては、厳密にはこの計算式では答えがずれる可能性もあります。
あくまでも簡易的な計算式なのでご了承ください。
マジックナンバー計算の具体例
計算の公式だけではピンとこない方も多いでしょう。
ここではマジックナンバーの計算方法を具体例で解説します。
全143試合のケースで以下のような状態の場合、マジックナンバーはいくつが点灯するのでしょうか。
〈具体例〉
順位 | チーム | 消化試合数 | 勝利数 | 残り試合数 |
1 | Aチーム | 135 | 85 | 8 |
2 | Bチーム | 134 | 80 | 9 |
3 | Cチーム | 134 | 74 | 9 |
4 | Dチーム | 135 | 61 | 8 |
5 | Eチーム | 136 | 56 | 7 |
6 | Fチーム | 136 | 51 | 7 |
このケースの場合、(マジック対象チームの現在の勝利数(80) + マジック対象チームの残り試合数(9)) − (首位チームの現在の勝利数(85) )+ 1 でマジックは5となります。
仮に2位のBチームが全勝しても89勝なので、Aチームが5勝できれば90勝となり、首位をキープできるというわけですね。
それでは、ここでAチームがEチームに勝ったとしましょう。
順位 | チーム | 消化試合数 | 勝利数 | 残り試合数 |
1 | Aチーム | 135 | 86 | 7 |
2 | Bチーム | 134 | 80 | 9 |
3 | Cチーム | 134 | 74 | 9 |
4 | Dチーム | 135 | 61 | 8 |
5 | Eチーム | 136 | 56 | 6 |
6 | Fチーム | 136 | 50 | 7 |
この場合、(マジック対象チームの現在の勝利数(80) + マジック対象チームの残り試合数(9)) − (首位チームの現在の勝利数(86) )+ 1 でマジックは4と1減少します。
さらにAチームがBチームとの直接対決に勝利したとしましょう。
順位 | チーム | 消化試合数 | 勝利数 | 残り試合数 |
1 | Aチーム | 135 | 87 | 6 |
2 | Bチーム | 134 | 80 | 8 |
3 | Cチーム | 134 | 74 | 9 |
4 | Dチーム | 135 | 61 | 8 |
5 | Eチーム | 136 | 56 | 6 |
6 | Fチーム | 136 | 49 | 7 |
この場合、(マジック対象チームの現在の勝利数(80) + マジック対象チームの残り試合数(8)) − (首位チームの現在の勝利数(87) )+ 1 でマジックは2と2減少します。
このように、マジックナンバーは首位チームが勝利すると1減少、マジック対象チームが敗れると1減少します。直接対決で首位チームが勝利するとマジックナンバーは2減少するというわけですね。
マジックナンバー点灯後はマジックナンバーがゼロ(優勝)、もしくは消滅するまでカウントダウンを続けます。
【参考】クリンチナンバーとは?
クリンチナンバーとは、ある順位の決定までに必要な勝利数を示す参考数値です。
こちらもマジックナンバー同様、共同通信社により算出されています。
例えば優勝までのクリンチナンバーはリーグ開幕と同時に全チームに存在しています。
全143試合のペナントレースが開幕した瞬間は、143勝すれば間違いなく優勝ですよね。
そのため、開幕直後は全チームに自力優勝の可能性があり、クリンチナンバー143を持つのです。
なお、優勝のクリンチナンバーが残り試合数を上回った場合、自力優勝の消滅を意味します。
日本のプロ野球においては、このクリンチナンバーはクライマックスシリーズ進出に必要な勝利数の情報として2010年から使用されています。
マジックナンバー まとめ
マジックナンバーの算出方法や仕組みを理解しておくと、スポーツニュースやプロ野球順位争いもさらに楽しめます。
是非、何度もこの記事をご覧いただき、マジック計算をマスターして頂けると嬉しいです。
マジックナンバーを正しく理解するためには、順位の決め方やゲーム差についても理解を深めておきましょう。
以下の記事を参考にしていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。