当記事では、アンチ巨人のテーマソングともいえる「商魂込めて」について解説します。
子どもには絶対に聞かせたくないひどい歌詞が特徴です。
このような行為があることを知っていただき、ぜひ球場では便乗しないようにお願いします。
野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。
アンチ巨人の替え歌「商魂こめて」とは
「商魂こめて」はアンチ巨人によって歌われるひどい替え歌です。
巨人がラッキー7に流す球団歌「闘魂込めて」を作り変えており、「闘魂込めて」が流れるとアンチ巨人のファンが「商魂こめて」を被せて歌います。
その歌詞は以下のとおりです。
(ブーイング)
商魂こめて 大金(おおがね)で
球は飛ぶ飛ぶ ドームの風で
おおジャイアンツ
八百長プレイでグラウンドを
汚すプレイの恥ずかしさ
ジャイアンツ、ジャイアンツ
○ね○ねく○ばれ 巨人軍
(ブーイング)
ロッテのパクリーロッテのパクリー
伏字が必要なほどひどい歌詞です。
一方で、「闘魂込めて」同様に歌いやすいゴロの良さや、巨人批判が一部のファンに受け、プロ野球界に浸透してしまったのです。
歴史ある巨人はファンも多いですがアンチも多いため、プロ野球ファンの共感を得やすかったのでしょう。
球場全体を阪神ファンが覆う甲子園では、商魂こめてが響き渡ることが特に多いです。
過去のオールスターゲームでは巨人ファン以外の11球団ファンによる「商魂こめて」が歌われた事例もあります。
「商魂こめて」の歌詞解説
「商魂こめて」は巨人を罵倒することを目的に作られています。
ひどい歌詞が並びますが、プロ野球界にくすぶっていた不満を絶妙に取り込んでいるのです。(だからこそ、多くのファンに受け入れられてしまったのかもしれません…)
ここでは、以下の観点で歌詞を解説します。
- FAで選手を乱獲したことへの批判
- 都市伝説・ドームラン・・・?
- 巨人が八百長・・・?
- ロッテのパクリ・・・?
アンチが誹謗中傷を目的に作っているいい加減な歌詞、という前提ですので、この歌詞を真に受けないように気を付けましょう。
他球団の選手を乱獲したことへの批判
まずは以下の表をご覧ください。
FA導入から2011年(「商魂こめて」がつくられたと噂される時期)までのFA獲得数ランキングです。
球団 | FA獲得選手数 |
---|---|
巨人 | 15 |
ソフトバンク(旧ダイエー) | 10 |
阪神 | 8 |
横浜 | 7 |
中日 | 5 |
オリックス | 2 |
西武 | 2 |
ヤクルト | 2 |
ロッテ | 2 |
近鉄 | 1 |
日本ハム | 1 |
楽天 | 1 |
資金力も知名度もある巨人は選手からも人気が高く、多くの選手をFAで獲得してきました。
清原や小笠原、村田や杉内など他球団の中心選手を獲得する例も多く、他球団ファンの恨みを買っている状況でした(ルール上は何も問題はないのですが…)
また、一時期は他球団で活躍した外国人選手を引き抜くケースも頻繁に見られました。
こうした経緯を受けて生まれた歌詞が「商魂こめて 大金(おおがね)で」と考えられます。
巨人自身は何もルールを破ったわけではないのですが、他球団のイライラを替え歌と言う形でぶつけられてしまったわけです。
都市伝説・ドームラン
「球は飛ぶ飛ぶ ドームの風で」という歌詞は、いわゆる「ドームラン」のことです。
- 他球場なら外野フライであるが、東京ドームだからスタンドインしたと思われるホームランを揶揄する言葉
- 東京ドームは観客席が前に突き出している形状から、左中間・右中間が他球場より狭い(=ホームランが入りやすい)
- 複数の選手が「東京ドームは打球が飛びやすい」と発言している
- ドームの屋根を膨らませる空調を操作して、打球の飛距離を伸ばしているという噂がある(根拠はない都市伝説)
- 巨人が攻撃中だけ空調を操作して、打球を飛びやすくしているという噂がある(根拠はない都市伝説)
東京ドームはホームランが多いというのは事実ですが、空調操作に関しては根拠のない噂です。
巨人が八百長・・・?
「八百長プレイでグラウンドを」の不穏な歌詞は、全く根拠はないでしょう。
アンチが巨人を罵倒したいがために入れたフレーズであると思われます。
プロ野球の八百長事件といえば永久追放者や逮捕者も出た「黒い霧事件(1969年-71年)」ですが、巨人の選手が関与した事実は確認されていません。
なお、「商魂こめて」が作られた後の2015年に発覚した巨人の野球賭博事件の際には「やっぱり巨人は八百長をしていた!」というアンチの声も上がりましたが、この時も八百長の事実はありませんでした。
ロッテのパクリ・・・?
「商魂こめて」を作られたきっかけとも噂されるフレーズが「ロッテのパクリ」です。
タオル回しやサッカー風の応援スタイルは巨人の応援として定着していますが、これがロッテのパクリと言われることがあります。
実態はパクリと言うよりも、巨人応援団(Gーフリーク)がロッテの私設応援団に頼んで真似をしています。
応援団自身は許可を取って応援スタイルを取り入れたわけですが、ファンの間では確執が生まれてしまいます。
「ロッテが巨人をパクった」「オリジナルは巨人」等と発言するファンが出てきたことで、しばしばケンカになってしまったのです。
巨人の球団歌「闘魂込めて」では、最後に「絶対勝つぞ オー ジャイアンツ」と叫びます。
この部分がロッテの応援にも似ているため、「商魂こめて」ではここに重ねる形で「ロッテのパクリー」と叫ぶことになったのです。
「商魂こめて」はいつから歌われている?
「商魂こめて」は当然非公式な歌です。
歌われ始めた時期ははっきりとは記録されていませんが、2011年頃からというのが通説です。
「ロッテのパクリ」確執などを受けて作られた替え歌が、球場でじわじわと広がっていったのです。
本来は禁止!「商魂こめて」は誹謗中傷行為です
「商魂こめて」は明らかに誹謗中傷であり、観戦の禁止行為に該当します。
他の観客及び監督、コーチ、選手、主催者及びその職員等、販売店その他の球場関係者への威嚇、作為又は不作為の強要、暴力、誹謗中傷その他の迷惑を及ぼす行為
試合観戦契約約款より
近年は各球団から「替え歌等で相手を侮辱」することは避けるように公式なアナウンスも出ています(球場のビジョンにメッセージが出されたこともありました)
ご観戦されるお客様へ、試合観戦時のマナーについてのお願い
— 阪神タイガース (@TigersDreamlink) August 24, 2023
皆様からの熱いご声援は日々戦うチーム・選手にとって、大変心強く、そして何よりの励みになっております。…
ご観戦されるお客様へ、試合観戦時のマナーについてのお願い
皆様からの熱いご声援は日々戦うチーム・選手にとって、大変心強く、そして何よりの励みになっております。
しかしながら、昨今、球場において、残念ながら一部のお客様による誹謗中傷、過度な野次、替え歌等で相手を侮辱するなど、観戦マナーに反する迷惑行為が散見されております。ご観戦にあたり、このような行為は絶対におやめください。
我々は、ともにグラウンドに立つ各球団の選手・関係者、審判員に敬意を持って日々戦っています。そのような選手・球団、またプロ野球関係者に対する悪質な言動は、本人の尊厳を傷つけるばかりか、観戦に来たお客様、特に子供たちに怖く不愉快な思いをさせてしまうものであり、決して看過することはできません。
今一度、ご来場のお客さまひとりひとりが観戦マナーを遵守し、すべての皆様が楽しく快適に観戦できる環境を作り上げ、健全な応援でチーム・選手を鼓舞していただきますよう、心よりお願いいたします。
阪神タイガース公式アナウンスより
このようなアナウンスが繰り返されても、残念ながら「商魂こめて」は歌われています。
これもプロ野球のひとつの文化だ、という主張もあるようです。
ルール違反として取り締まりたくても、集団での行為なのでそれも難しいのでしょう。
近年は「商魂こめて」を白い目で見るファンも増えてきています。
ファンどおしのケンカのきっかけにもなりますので、やはり避けたい行為ですね。
子どもにも聞かせたくないフレーズなので、完全にマナー違反でありルール違反です。
「商魂こめて」が過去のものとなり、球場がさらに快適な場所になれば嬉しいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。