高校野球

【延長戦は何回まで?】高校野球の延長戦・タイブレークのルールを解説

高校野球の延長戦

当記事では、高校野球の延長戦のルールについて解説します。

近年、高校野球で課題となっているのが選手の体調管理の問題です。

休養日の設定や、2020年からは球数制限も導入されるなど、ルールや大会運営の見直しが進められています。

延長戦のルールも、2018年に大きく見直しが実施され、タイブレークが導入されました。

23年センバツから、さらにルールの見直しが行われました

当記事では、高校野球における延長戦の最新のルールについて解説します。

筆者のプロフィール

野球観戦歴20年超の野球オタクで、元球場職員の経歴を持ちます。
愛読書は公認野球規則で、野球のルール解説も得意としています。

高校野球の延長戦のルール

甲子園の壁

まずは高校野球の延長戦のポイントを整理してみます。

高校野球の延長戦のポイント

  • 9回終了時点で決着がつかない場合、延長戦に突入する
  • 9回終了時点で決着がつかない場合、タイブレークに突入する
    ※イニングの先頭からノーアウト1,2塁で攻撃を始める仕組み
  • 原則、決着がつくまで試合を継続(決勝は再試合あり)

2018年にタイブレークが導入されて以降、決着がつくまで延長戦が続くこととなりました。

再試合の選手への負担を考慮したルール変更です。

以下では、このタイブレークのルールについて解説します。

高校野球のタイブレークのルール

阪神甲子園球場

タイブレークとは、イニングの先頭からノーアウト1,2塁で攻撃を始める仕組みです。

チャンスの状態で攻撃が始まるため得点が入る可能性が極めて高く、試合を短時間で終わらせる狙いがあります。

タイブレークのポイントについて、以下の観点で順番に解説します。

  • タイブレークは13回から開始
  • 原則、決着がつくまで試合を継続
  • ひとりの投手が投げられるのは15回まで
  • タイブレーク開始時点の打順・走者の規定
  • タイブレークにおける個人成績の取り扱い

タイブレークについては高野連が公開している高校野球特別規則に定められています。

以下では規定を確認しながらタイブレーク・延長戦のルールについて解説します。

高校野球のタイブレークは10回から開始

タイブレーク導入開始回については、9 回終了時に同点の場合 10 回から タイブレークを開始する。

高校野球特別規則より抜粋

タイブレークは10回から開始されます。

22年までは13回からタイブレークとなっていましたが、23年からはタイブレークの開始が早まっています。

原則、決着がつくまで試合を継続

タイブレーク開始後、15 回を終了し決着していない場合はそのまま試合を続行する。

高校野球特別規則より抜粋

タイブレーク導入以降、引き分け再試合は無くなりました

決着がつくまで延長戦を戦い続けます

従来は15回で決着がつかない場合、引き分けとして再試合が組まれましたが、再試合は選手の負担が大きいため原則廃止となっています。

決着がつくまでタイブレークを繰り返し、必ずその試合の中で決着をつけるルールです。

決勝戦と雨天中止の場合は再試合の可能性あり

決勝はタイブレーク制度を採用しない。

決勝での延長回は 15 回で打ち切り、翌日以降に改めて再試合を行う。

ただし、決勝の再試合ではタイブレーク制度を採用する。

高校野球特別規則より抜粋

例外的に再試合が組まれるケースも存在します。

決勝戦と雨天中止です。

決勝戦については、タイブレーク自体が導入されていないのです。

決勝戦については従来同様のルールで、延長15回で決着がつかない場合は再試合が組まれます。

万が一、再試合でも延長戦に突入する場合はタイブレークが採用されます。

また、タイブレークは決着がつくまで試合を続けるものですが、天候には勝てません。

降雨の場合は、その時点で試合が中断になる可能性があります。

2022年以降、降雨継続試合のルールが導入されました。

タイブレークが降雨で中断となった場合も、翌日以降からタイブレークの続きを戦うことになります。

関連記事:【継続試合を導入】高校野球(甲子園)の雨のルールを解説【コールド廃止】

ひとりの投手が投げられるのは15回まで

1人の投手が登板できるイニング数については 15 イニ ング以内を限度とする。

高校野球特別規則より抜粋

タイブレークは15回を超えて試合が継続する可能性があります。

ただし、ひとりの投手が投げられるイニングは15回以内と定められています。

ひとりのエースが投げ続けるということも想定されるため、選手の体調面を考慮した規定ですね。

投手の体調考慮という意味では、球数制限ルールも有名です。

以下の記事では、2019年に導入が決定した球数制限についても解説していますので、合わせてご覧ください。

タイブレーク開始時点の打順・走者の規定

タイブレークはノーアウト一、二塁で開始します。この際のバッター、ランナーは誰が務めるのでしょうか。

打順は、12 回終了時の打順を引き継ぐものとする。(次回以降も前イニング 終了後からの継続打順)

走者は、無死、一・二塁の状態から行うものとする。 この場合の2人の走者は、前項の先頭打者の前の打順のものが一塁走者、 一塁走者の前の打順のものが二塁走者となる。

高校野球特別規則より抜粋

要するに、前の回の続きです。

具体例を挙げて解説します。

タイブレーク打者走者の具体例

9回の攻撃が4番打者で終了したとしましょう。

10回、タイブレークに突入する場合、タイブレークの攻撃は5番打者から始まります。

この時、一塁ランナーはバッターの前の打者なので4番の選手、二塁ランナーはさらに前の選手なので3番の選手が自動で出塁します。

なお、自動出塁の選手にも代走を出すことは可能です。

タイブレークを開始する各イニングの前に、審判委員と両チームは各塁上 の走者に誤りがないか十分に確認する。 その後、守備側の選手交代およびポジション変更、攻撃側の代打および代走 は認められる。

高校野球特別規則より抜粋

タイブレークにおける個人成績の取り扱い

高校野球はプロ野球ではありませんので、個人成績の重要性はそこまで大きくはありません。

個人の成績よりもチームが勝つことが何よりも大事だと考える選手の方が多いでしょう。

一方で、大会記録がかかっている場面など、個人成績に注目が集まるケースもありますよね。

タイブレークの中の成績は個人成績に反映されるもの、反映されないものが明確に規定されています。

▽ 公式記録の取り扱い

チームおよび個人の記録は、すべて公式記録とするが次項以下に掲げることには留意する。

1 投手成績

(a) 規定により出塁した2走者は、投手の自責点としない。

(b) 完全試合は認めない。

(c) 無安打無失点試合は認める。

2 打撃成績

(a) 規定により出塁した2走者の出塁記録はないものとする。ただし、「盗塁」

「盗塁刺」「得点」「残塁」等は記録する。

(b) 規定により出塁した2走者を絡めた「打点」「併殺打」等はすべて記録する。

高校野球特別規則より抜粋

基本的にほとんどの事項は個人成績に反映されるということですね。

自動出塁とはいえ、タイブレークのランナーを返せば打点にカウントされます。

タイブレークのランナーが盗塁をすれば、盗塁も記録されます。

一方で、自動出塁のランナーを返された場合には投手の自責点にはならない等の配慮も感じられます。

個人成績については基本的には選手に有利なように設計されているといえそうです。

高校野球の延長戦・タイブレークまとめ

ここまでの内容を箇条書きでまとめます。

高校野球の延長戦のポイント

  • 延長戦にはタイブレークが導入されている
  • タイブレークは10回から開始、ノーアウト1,2塁でスタート
  • 高校野球では原則、決着がつくまで試合を継続(決勝を除き再試合規定は無し)
  • タイブレーク開始時点の打順・走者は前の回の続きから
  • タイブレークにおける個人成績は選手に有利に設計されている

当サイトでは、高校野球に関する記事を多数扱っております。

以下の記事では、平成30年間の成績をもとに、各地域の強豪校をご紹介しています。

合わせてご覧いただければ幸いです。

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